社説

イラン侵略戦争で生活と経済に大打撃 米国支持で突出する高市政権を倒そう

 米国とイスラエルによる無法なイラン侵略は、核戦争の危機を高め、全世界人民の生活を激しく揺さぶっている。

 両国は、イラン最高指導部への「斬首作戦」を強行、無差別空爆を繰り返している。「核開発」は口実にすぎない。

 イランによる反撃は、自国の主権を守るための正当な行為である。

 イランに呼応し、レバノンのヒズボラなども反米反イスラエル闘争に立ち上がった。イランの「早期打倒」というトランプ政権のもくろみは完全に外れた。

 戦争により、世界第一の油路であるホルムズ海峡は事実上の封鎖状態となった。原油価格は高止まりし、世界的なエネルギー供給不安が続いている。

 混乱の元凶は、米国とイスラエルだ。トランプ大統領は「(イランを)石器時代に引き戻す」などと演説したが、追い詰められているのは米国である。

 両国によるイラン侵略に強く抗議し、攻撃の即時中止を求める。

 高市政権は自衛艦の中東派遣をもくろみ、国民生活の再生はそっちのけである。

 物価高で国民生活は追い込まれ、政権への怒りが高まりつつある。行動も始まった。

 自衛隊派兵に反対し、高市政権を打倒して、独立・自主の政権を樹立しなければならない。

イランの反撃は正当

 イランは長年、経済制裁をはじめ米国による敵視政策と闘ってきた。

 第2次世界大戦後、モサデク・イラン首相は「石油国有化」を打ち出した。だが、米中央情報局(CIA)がクーデターを画策、パーレビ国王が実権を握った。王政は、米国による中東支配の支柱となった。イラン人民が反米姿勢を強めたのは当然である。

 王政が倒されたイラン革命(1979年)以降、米国は一貫してイランを敵視した。80年には、隣国イラクをけしかけてイラン・イラク戦争を起こさせた。

 米国は2000年以降、イランの「核開発」を口実に干渉を強化した。イランは「平和目的」を言明したが、米国は耳を貸さない。2015年に米英独仏中ロが加わる「核合意」が締結されたが、トランプ米政権は18年、一方的に離脱して制裁を再開した。

 第2次トランプ政権は、昨年6月にイラン核施設への空爆を強行した。そして今回の再侵略である。イランが米国を信用しないのは当然である。

 イランは、トランプ政権による降伏要求を断固として拒否した。全世界の労働者階級・人民、中小諸国はイランの闘いを支持し、米帝国主義との闘いを強めなければならない。

戦争は世界政治の変化を加速

 世界は中国をはじめグローバルサウス諸国が主導的役割を果たすようになった。戦後の米国による支配は完全に終わった。米国とイスラエルの暴挙は、こうした世界の構造変化に対する焦りの表れである。

 中国は「一方的な行動、強権、いじめに断固反対する」と米国を批判し、即時停戦を求めている。湾岸諸国やロシア、英仏などと活発な外交を繰り広げ、「対話による解決」を訴えた。米国とイランの交渉仲介を行うパキスタンとは、敵対的行動の即時停止、航路の安全確保など「5項目提案」で合意した。

 BRICS諸国も、攻撃を明確に非難する共同声明を採択した。インドネシアは、米国が求めたパレスチナ・ガザ地区への平和維持部隊派遣を「延期・保留」した。

 欧州諸国でも、スペインはいち早く「国際法違反」として攻撃を非難し、米軍機の領空通過と基地使用を拒否した。フランスも領空通過を拒否した。

 全世界で、米国とイスラエルへの抗議行動が続いている。

 両国とも、深刻な国内矛盾を「外」にそらそうとたくらんでいる。とくにトランプ政権は秋に中間選挙を控え、低迷する政権支持率の上昇に必死だ。だが、全米800万人以上が参加した「ノー・キングス」(王はいらない)デモに激しく揺さぶられている。

 トランプ政権は、韓国、中国、日本などを名指しして「彼らが(ホルムズ海峡問題の解決に)乗り出すべき」などと、責任を転嫁するありさまだ。

 恥知らずな侵略は「弱さ」の表れで、両国の国際的孤立はますます深い。

 対して、イランはすでに中東の地域大国で、中国やブラジルなどと共にBRICS、上海協力機構(SCO)加盟国として存在感を高めている。イラン政府・人民が、米国とイスラエルの邪悪な野望を許すはずもない。

 イランを含むグローバルサウス諸国は、米国に依存しない新しい世界を目指して前進している。イラン戦争は、この動きをさらに加速させるに違いない。

中東諸国に敵対する高市政権

 高市政権は、米国による国際法侵害を容認・支持している。

 3月の日米首脳会談では「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけ」などと、明確に米国を支持した。

 高市政権は、掃海艇派遣のタイミングを計っている。口実は「ホルムズ海峡の安全確保」だが、米軍の補完と政治軍事大国化が狙いだ。

 戦闘艦船の派遣はイランへの敵対、ひいては中東諸国・人民への敵対にほかならない。

 戦後、わが国は対米従属下でありながら、対中東とくに対イラン外交では、相対的に独自姿勢を続けてきた。

 1953年、日系企業は英国の圧力をはねのけ、タンカーを派遣してイランから原油を輸送した。1973年の第4次中東戦争に際し、田中政権は、キッシンジャー米国務長官の要求を拒否して「イスラム寄り」の姿勢を取った。米国がイラン「核合意」から離脱した時も、安倍首相がハメネイ師と会談して仲介を試みた。

 化石燃料のほとんどを中東に依存するわが国にとって、中東諸国との友好関係は必須である。「核兵器開発は決して許されない」などとイランのみを非難する高市政権は、わが国の中東外交の歴史と成果さえも踏みにじった。

国民生活に深刻な打撃

 イラン戦争による原油価格高騰で、わが国を含む世界に、物価上昇と景気悪化の同時進行(スタグフレーション)が襲いかかろうとしている。国民生活の危機はいちだんと深刻化した。

 原油価格の高騰に政府補助終了が追い打ちをかけ、電気・ガス代、輸送コストなどが高騰している。3月以降、JR各社や一部私鉄の運賃値上げが続いた。4月からは、食品を中心に2700品目以上が値上げされた。マヨネーズ、即席麺、食用油、紙製品など値上げは全面的である。

 ナフサ(プラスチック原料)不足により、食品容器、梱包材なども不足しつつある。

 中小零細企業の経営もさらに追い詰められる。物流停滞で、建設業など広範な業界の「仕事が止まる」危機が高まっている。農業では花農家などに深刻な影響が出始めているが、今後は肥料も足りなくなる。

 新生児集中治療室の生命維持装置部材やインスリンデバイスなど、医療機器の不足も差し迫っている。透析回路の欠乏は、約34万人いる人工透析患者の命を脅かしている。病院での手術件数が制限される可能性さえある。

 イランは「日本船舶の通航を認める用意がある」と表明したが、政府は交渉を拒否する愚行を犯した。先に成立した暫定予算、さらに2026年度本予算案でも、こうした危機に対応する措置はほとんどない。

 高市政権には、国民の命と生活、国民経済を守る意志がない。

新たな進路で打開を

 世界の激変にかかわらず、高市政権は時代錯誤の「日米基軸」に縛られている。

 高市政権は「アジアの大国」を夢想し、米戦略に自らを縛りつけている。中国に対抗するため、米国の関心と軍事力をアジアに「つなぎとめる」思惑だ。

 その狙いから、日米首脳会談では、日本の投資で米国産原油を増産し日本で共同備蓄する計画など、730億ドル(約11兆5000億円)規模の新たな対米投資で合意した。実態は、戦略資源の米国依存だ。

 中東への自衛艦派遣は、沖縄・九州での自衛隊増強などの大軍拡、日本版「国家情報局」創設やスパイ防止法制定などと同様、中国に対抗した政治軍事大国化策動の一環である。

 議会内野党の大部分も、「日米基軸」で与党と同じである。米国への批判もなく、「まずは詳細な事実関係の認定を」(国民民主党)と、寝ぼけた態度だ。

 イラン攻撃には、横須賀や沖縄の米軍基地から艦船・部隊が派遣された。すでにわが国は、アジア、世界で戦争を引き起こす側に立っている。この事態を変えない限り、平和は守れず、国民生活・国民経済に不可欠な資源も確保できない。

 戦争の危機と生活不安を背景に、政府への抗議行動が広がりを見せつつある。イラン攻撃に抗議し、2万4000人が国会周辺を埋め尽くした。

 3月末に全国で闘われた「令和の百姓一揆」も、「肥料・燃料・飼料などの生産コスト増」による経営危機の打開を求めた。トラック協会、タクシー・ハイヤー連合会、バス協会は「危機突破大会」を開催した。

 与党・首相官邸内にさえ、掃海艇派遣に対する異論があり、政権は揺さぶられている。

 農家や中小商工業者、平和を願う保守政治家などを含む広い戦線をつくり、労働組合はその中心で役割を果たさなければならない。

 高市政権を倒し、グローバルサウス諸国と連携する国の進路を切り開くための国民運動を強化しなければならない。

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