世界のできごと
米の「逆封鎖」で停戦合意は水泡に
米国とイランの両政府は4月7日、条件の2週間停戦で合意したと発表した。これによりイランは湾岸諸国へのドローン・ミサイル攻撃を停止した。しかしトランプ米大統領は12日、イランの港や沿岸部への船舶の出入りを阻止すると発表、イランによるホルムズ海峡封鎖を「国際法違反」と批判した口で「逆封鎖」を宣言した。これを受けて18日にはイランのイスラム革命防衛隊が「再封鎖」を表明、停戦は事実上水泡に帰した。米国はこれまでも交渉中に攻撃を仕掛けるなどイランへの騙し討ちを続けており、傍若無人で卑劣な蛮行を繰り返すことで世界の地獄絵図は広がり続けている。
国共両党トップ会談、両岸の関係強化
習近平・中国共産党総書記と鄭麗文・国民党主席が10日、北京で会談した。国共両党のトップ会談は、2016年以来9年半ぶり。習氏は「手を携えて祖国統一と民族復興という美しい未来を創り上げなければならない」と述べ、鄭氏は台湾海峡について「外部勢力が介入する駆け引きの場にならないようにしたい」と応じた。両者は、国共両党が中国大陸と台湾は一つの中国に属することを口頭で確認した「92年合意」を再確認した。会談を踏まえ、中国共産党は12日、両岸(中台)の交流・協力を促す10項目政策を発表した。国民党との常設の対話枠組み新設、台湾産農水産物の輸入円滑化、青年交流の制度整備などの内容。トランプ米大統領による訪中を控えるなかでの両岸の関係強化は、「台湾有事」を煽る米日に対抗するものとなった。
世界の最富裕層、膨大な隠し資産
国際支援団体オックスファムは2日、世界で最も裕福な0・1%が隠し持つ資産だけで世界人口の下位半分(約41億人)が持つ資産の合計を上回っていると報告書で明らかにした。24年に3兆5500億ドル(約566兆円)の課税を逃れた富がタックスヘイブン(租税回避地)や税務当局に未報告の口座に隠されていたと推定、うち2兆8000億ドル(約447兆円)以上が最富裕層0・1%の資産だとした。報告書は、16年に多国籍企業や富裕層によるタックスヘイブンの利用実態を暴いた「パナマ文書」発表10年を前に発表されたが、「10年たっても超富裕層はオフショア(非居住者向け)の金庫に富を隠している。公的資金が不足し、不平等の高まりにより社会構造がずたずたにされ、庶民はごく一部の人を裕福にするための不正なシステムの費用を負わされている」などとした。
米国がもたらす世界の軍拡
スウェーデンのストックホルム国際平和研究所は27日、世界の2025年の軍事費が前年比で実質2・9%増の総額2兆8870億ドル(約461兆円)に上ったとの報告書を発表した。世界1位の米国の支出が減った一方、欧州やアジア・オセアニアで増加傾向が目立ち、11年連続で過去最高を更新した。米国は前年比7・5%減で、ウクライナへの軍事支援見送りが主要因。欧州は同14%増で、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国が軍備増強を続けていることが背景。同研究所は「各国が戦争や不確実性、地政学的混乱に対応し、大規模な軍備増強に乗り出した結果だ」と指摘したが、この混乱の多くの源流は米国にあると言って間違いない。
人民のたたかい
全米食品商業労働組合(UFCW)は6日、世界最大の食肉加工会社JBS社(ブラジル)との労使交渉の再開で合意したとして、同社傘下の工場(米西部コロラド州)で組合員3800人が生活費上昇に見合う賃金引き上げなどを求めて3週間にわたって敢行したストライキ(写真)を終了すると発表した。米国の食肉加工工場は主として移民労働者により担われており、大規模ストライキは約40年ぶりとして注目された。
韓国サムスン電子の労組が23日、拠点工場のある中部の平沢市で、成果給の引き上げを求める4万人の組合員が参加する大規模決起集会を開いた。組合は「利益に見合った成果給」を要求、5月21日から18日間の全面ストライキを予告した。19年に結成された同労組は24年に賃上げ交渉の決裂で初のストを決行、今回決行されれば2回目となる。

日本のできごと
日米戦略に沿った殺傷武器輸出解禁
高市政権は4月21日、防衛装備移転三原則の運用指針を改定、国産装備品の輸出を「救難、輸送、警戒、監視、掃海」の非戦闘目的に限定する「5類型」制約を撤廃した。これにより米豪比など17カ国に殺傷力のある装備品を輸出できることに。米国のバイデン前政権時代に打ち出した安保基本戦略「統合抑止」に沿ったもので、米国などの同盟国・同志国との間の装備品融通を容易にして連携強化を図るのが狙い。武器輸出拡大によって日本が「戦争で儲ける国」「戦争・紛争助長国家」へと変貌することにもつながる、許しがたい改定だ。
食糧法改定案、コメ供給の責任丸投げ
高市政権は3日、食糧法の改定案を閣議決定した。これまであった「生産調整」の規定を削除し、代わりに「需要に応じた生産」を明記した。だが生産調整と実態は変わらず、作付けを減らす減反政策への「先祖返り」にほかならない。石破前政権は、需要を見誤って価格が高止まりした「令和の米騒動」で明らかになったコメの生産・流通・消費の不安定性を是正、日本農業の抜本的な強化を進めるために増産方針を掲げたが、完全に転換された。また政府の役割とされてきた米の備蓄制度も見直して民間備蓄制度を創設する内容も。備蓄経費圧縮を優先して主食の安定供給への政府責任を大きく後退させる改悪であり、法案は成立させてはならない。
外交青書、中国への表現後退
茂木外相は10日、閣議で26年版の外交青書を報告した。中国を「重要な隣国」と記し、25年版青書の「最も重要な二国間関係の一つ」より表現が後退した。また「日本に対して一方的な批判や威圧的措置を強めている」などとも記した。一方で、米国については「トランプ政権と強固な信頼関係を構築し、日米関係をさらに深化させていく」とし、米国のイラン攻撃に対しても法的な評価は避けた。
特定空港・港湾追加、攻撃目標化も
政府は8日、自衛隊や海上保安庁が平時から軍事利用できる「特定利用空港・港湾」に新たに北海道や宮城、愛知両県など17カ所を追加した。今回の追加で対象施設は計21道県の24空港、33港湾の計57カ所となった。また自衛隊員や物資の円滑な輸送のための道路整備のため、既に対象となっている北海道や沖縄県に加え、九州で指定されている特定利用空港・港湾についても整備を進める方針を決めた。これにより基地の集中する沖縄では生活圏を含めた全域の軍事利用化が進む。日米共同訓練での使用も進んでいるが、有事の際には攻撃目標となる危険性が高まることになる。
海自艦が台湾海峡通過、中国を挑発
海上自衛隊の護衛艦「いかづち」が17日、台湾海峡を通過した。海自艦艇による台湾海峡通過は2024年9月以降で通算4回目で、高市政権発足後では初。いかづちは通常よりも低速で時間をかけて海峡を運航して中国側を挑発、また通過後は中国をにらんだ南シナ海での米比両国の合同軍事演習に参加した。中国外務省は「台湾海峡に軍事介入し、平和と安定を損なおうとする日本の一部の危険な陰謀」と抗議した。米国は台湾海峡が「国際水域」で「航行の自由がある」としてたびたび艦艇を通過させているが、海自艦の行為も米国に追随し軍事的緊張を煽る中国挑発だ。
陸自訓練中に事故、背景に負担増も
陸上自衛隊の日出生台演習場(大分県)で21日、実弾射撃訓練中の戦車内で砲弾が破裂し、隊員3人が死亡、1人が重傷を負う事故が発生した。原因は調査中だが、23年には陸自ヘリが沖縄県宮古島沖で墜落し10人が死亡する事故が発生するなど、近年は自衛隊の事故が多発している。米国など同盟国との多国間共同訓練の増加や「離島防衛」などの任務増大によって現場の負担が増加していることが原因との指摘もある。
現役自衛官が自民党大会で国歌歌唱
自民党大会が12日に行われた。大会では、陸上自衛隊中央音楽隊の隊員が制服を着用して君が代を歌唱した。隊員の「政治的行為」を制限した自衛隊法違反は明白だが、高市首相や小泉防衛相は「隊員は私人として依頼・参加した」などと正当化した。特定政党による「軍隊の私兵化」につながる危険な動きだ。
高校無償化、より差別的な施策に
私立高校の授業料に対する支援金の上限が所得制限なく45万7200円に引き上げられる「実質高校無償化」が1日から施行された。外国人学校生徒への別途支援策が法的担保のない予算事業に変更されるなど不安定なものとなり、所得制限も維持された。さらに朝鮮学校については別途支援策からも除外された。国連の人権機関が繰り返し是正勧告を出している差別的な施策がさらに改悪されている。