米国の港湾労働者の労組・国際港湾労働者協会(ILA)傘下の労働者は10月1日、米国の東海岸とメキシコ湾岸の36港湾で一斉にストライキに突入した。雇用者側の米海運連合(USMX)との交渉が不調に終わったことを受けたもの。港湾労働者約4万5000人が参加する、1977年以来、約半世紀ぶりの大規模ストとなった。
ILAは6月から雇用主と新たな労働協約の締結を目指して交渉を続けてきたが、現行の労働協約は9月30日に失効した。賃金の大幅引き上げのほか、クレーンやトラックなどの自動化を理由にした人員削減を行わない約束をするよう求めてきた。USMXは6年間で約5割の賃上げ案などを示したが、ILAは拒否していた。
スト入りした港は東部ニューヨークや南部ヒューストンなど 以上の大都市の物流拠点も含まれ、今回のストで米国の海上コンテナ取扱量の約半分に影響を与える可能性も指摘された。影響の大きさから、米経済界や共和党議員からはバイデン政権に介入を求める声も上がっていたが、大統領選もにらみ、バイデン大統領とハリス副大統領は労組支持を表明、1日には「雇用者団体はコロナ禍でも大きな利益を上げていた。労働者側に対し公平な協約を提示するべき」などとの声明を出していた。
労使は3日、今後6年で約62%の賃上げと、9月末に失効した労働協約の期間を来年1月15日まで延長して新たな協約締結に向けて交渉を始めることで合意し、ストは解除された。
米港湾労働者が大規模スト 大幅な賃上げなど勝ち取る