トピックス

世界・日本のできごと(9/2〜9/15)

世界のできごと

イスラエル批判の声、内外で強まる
 イスラエル軍は9月10日、パレスチナ・ガザ南部の「人道地区」とされているマワシ地区を空爆、65人が死傷した。蛮行を続けるイスラエルのネタニヤフ政権に対し、内外で批判が高まっている。
 英国ロンドンでは7日、複数の反戦団体や反核団体、市民ら数万人が英政府に対しイスラエルへの武器の全面禁輸するよう求めるデモ行進をした。英政府は2日に武器輸出を一部停止すると表明したが、不十分との声があがっていた。
 イスラエル国内でも7日、ガザ地区を統治するハマスと停戦合意を結ぶようネタニヤフ政権に求める大規模なデモや集会が行われた。中心都市テルアビブで50万人、全国で75万人が参加、同国史上最大のデモとなったとの報道もある。またイスラエル最大労組の労働総同盟は2日、ゼネストを決行し政権に停戦を求めた。銀行やショッピングモール、一部空港で一定のサービスが停止、各地でバスが一部のみの運行となり、病院も部分的な運営となった。労働者だけでなくアパレル関係の企業やテクノロジー企業もストを支持した。
 ネタニヤフ政権にとって米国に次ぐ後ろ盾となっている英国や自国内での批判の高まりは大きな打撃だが、それでも米大統領選ではハリス・トランプの二大候補は支持を堅持していることを支えに、依然として軍事進攻を継続している。

ロシアで国際会議、「ロシア孤立の試みは失敗」アピール
 ロシアの極東ウラジオストクで国際会議「東方経済フォーラム」が9月3日〜6日に行われた。
 同会議は、極東シベリアの経済発展を目的に2015年から行われているが、ウクライナ戦争後は米欧の主要国は参加していない。しかし、中国の韓正・国家副主席やアンワル・マレーシア首相などグローバルサウスの政府幹部や企業トップらが数多く参加、ロシア外務省報道官は「欧米諸国が中心となったロシアを孤立させる試みは失敗している。むしろ新たな機会を生み出し、ドル以外での決済も加速させている」と語った。
 また、同会議のスピーチでアンワル首相は「グローバルサウスの台頭は、単になる経済力のシフトではなく、グローバルな影響力の再構成を意味する。アジア、アフリカ、ラテンアメリカにまたがる国々を包含する南半球は、世界経済の未来を再構築する上で極めて重要な役割を果たす軌道にある」などと発言、米欧によるロシアや中国の「切り離し」がむしろ米欧を孤立・地盤沈下させているとした。

人民のたたかい

 米国の航空機大手ボーイングの従業員約3万3000人が加入する国際機械工・航空宇宙産業労働者組合(IAM)は9月13日、ストライキに突入した。同社でのストは16年ぶり。ボーイング社と労組執行部は25%の賃上げなどを盛り込んだ新たな労働協約で暫定合意していたが、当初求めていた40%の賃上げから大幅に引き下げられたことや、業績に応じた賞与の支払いが協約から削られたこともあり、12日の組合員投票では圧倒的多数が新協約を拒否した。
 南米アルゼンチンで9月4日、全国の年金生活者らが右派ミレイ政権に抗議する集会やデモを行った。同国議会は先月、年金支給額の増額や物価指数に応じて額を毎月調整することなどを盛り込んだ法案を可決したが、ミレイ大統領は法案に拒否権を発動した。また同国では重要な指定薬品については国が全額保障し無償で提供されてきたが、ミレイ政権はこの制度を改悪し国の負担割合を40%に削減していた。
 アルゼンチンの国立大学教職員が9月11、12日、大幅賃上げや大学予算増額を求めて48時間の全国ストを実施した。賃上げを要求するストは8月中旬以降3回目。ミレイ政権の緊縮政策によって国立大学予算はひっ迫、教職員の給与の伸びはインフレ率を大幅に下回っている。

日本のできごと

日豪2プラス2、軍事同盟化を加速
 日豪両政府は9月5日、豪メルボルン近郊で外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)を開いた。日豪2プラス2は今回で10回目。
 共同声明では、中国を念頭に「共同の抑止力」を構築すると明記、また日本が2024年度末に陸海空の3自衛隊の運用を一元的に担う「統合作戦司令部」を設置するのに合わせて両国の統合司令部へ連絡官を派遣、自衛隊と豪軍の運用を連携させる。日豪部隊間協力円滑化協定(RAA)の活用と共同訓練のさらなる拡大も盛り込まれた。太平洋島しょ国の通信インフラの整備を支援する枠組み「日豪太平洋デジタル開発イニシアチブ」も創設する。
 米国の「統合抑止」戦略に沿って日米豪3カ国の軍事一体化を加速する方針だ。
(参考記事)

高齢社会対策大綱、窓口3割負担の対象拡大
 岸田政権は9月13日、高齢者施策の中長期指針「高齢社会対策大綱」を閣議決定した。75歳以上の後期高齢者の医療費窓口3割負担の対象拡大を検討する方針を明記した。現在75歳以上の窓口負担は原則1割だが、一定所得があれば2割、現役並み所得の場合は3割。大綱では、現役並み所得基準の見直しを検討するとしている。
 国は負担の対象拡大によって高齢者の受診抑制と医療費の削減をもくろんでいるが、受診抑制は医療にとって重要な「早期発見・早期治療」に背を向けるもので、命を脅かしかねない悪手だ。
(参考記事)

旧優生保護法訴訟、原告・弁護団と国が和解
 旧優生保護法下で強制された不妊手術をめぐる訴訟で、国と優生保護法被害全国原告団・弁護団は9月13日、和解の合意書に調印した。国が被害者に多大な苦痛と苦難を与えたとして「心より謝罪申し上げる」と明記し、被害者本人に最大1500万円、配偶者に200万円の慰謝料を支払うなどとする内容。
 これを受け、優生保護法被害全国弁護団共同代表の新里弁護士は「合意書を踏まえて各地で早急に具体的な和解を進めていきたい」とした一方、旧法の施行から76年間にわたり被害を放置した国を「言いようのない怒りを持っている」と批判した。また優生思想や障害のある人に対する差別・偏見の根絶に向けて「国は努力をしなければならない」と指摘した。
(参考記事)

公安警察の住民監視は「違法」、高裁が初認定
 岐阜県大垣市で計画された風力発電施設の建設を巡り、県警大垣署の警備課(公安警察)が住民の個人情報を収集して業者に提供したのは違法だとして、住民らが県に賠償などを求めた訴訟の控訴審判決が9月13日、名古屋高裁で言い渡された。
 判決は「収集目的自体が違法で社会的相当性がない」と、公安警察による個人情報の収集・保管・外部への提供のいずれも違法とし、県に440万円の賠償と収集され電力会社との議事録に記載された原告の個人情報の抹消を命じた。公安警察による情報収集を違法としたのは初で、個人情報の抹消を命じたのも初めて。
 公安警察は、国・地域の支配層に都合の悪い国民・住民を敵視し、違法な監視や情報収集、弾圧を日常的に行っている。この裁判と判決で明らかになったのはそのごく一部だ。
(参考記事)

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