トピックス

世界・日本のできごと(9/16〜9/29)

世界のできごと

イスラエルが中東各地で空爆、「第5次中東戦争」の様相
 イスラエル軍は9月20日から、レバノンの首都ベイルートを含む同国各地への空爆を開始した。空爆に先立ちレバノンのイスラム教シーア派組織・ヒズボラ(神の党)幹部の通信機を爆破させ、民間人を巻き込む形で身近な製品を武器とした「テロ」が国際的に問題視される中、さらなる軍事侵攻に踏み込んだ。
 またイスラエル軍は29日からイエメン西部の発電所や港の空爆も開始した。同国のフーシ派など中東各地の「抵抗の枢軸」と称される反イスラエル・反米組織への無法な攻撃を本格化させ、「第5次中東戦争」の様相を見せ始めている。
 こうしたなか、国連総会は18日に開いた特別会合でイスラエルにパレスチナ占領政策を1年以内に終わらせるよう求める決議を採択、日本を含む国連加盟国の6割を超える124カ国が賛成したが、イスラエルや米国は反対し、英独は棄権した。
 イスラエルの戦争拡大や野放図なテロを米国が事実上後押しし続けている。

オーストリア下院選で極右が第1党、厭戦気分反映
 オーストリア下院選が9月29日に投開票され、極右の自由党が第1党となった。投票率は74.9%。自由党の得票率は29.2%だった。ネハンマー首相の中道右派・国民党は第2党となり、国民党と緑の党による連立与党は過半数を下回った。自由党以外の主要政党が同党との連立政権には参加しない姿勢を崩していないため、同党の政権入りは困難とみられている。それでも、ウクライナ支援策の継続に影響が出ることは避けられない。
 ドイツでも、旧東ドイツ地域のブランデンブルク州で22日投開票された州議会選挙で極右政党・ドイツのための選択肢(AfD)が支持を大きく伸ばしてショルツ首相率いる第1党の社会民主党(SPD)に肉薄、また今年1月に旗揚げしたばかりの左派でウクライナ支援縮小を訴える「ザーラ・ワーゲンクネヒト同盟」(BSW)が一躍第3党となるなど、9月に行われたドイツ東部3州の州議選でも厭戦気分が反映した結果となった。

人民のたたかい

 国ニューヨークで9月20日、国連総会で気候問題にかかわる会合が開かれるのに合わせて、気候変動対策を求める「未来のための金曜日」(FFF)が呼びかける街頭デモが行われた。市内の25を超える高校の生徒をはじめ、米国内外の活動家が参加した。デモは世界各地でも行われた。
 カナダ最大の航空会社「エア・カナダ」の操縦士らがつくる労働組合は9月15日、新たな労働協約を巡って同社と暫定合意に至った。労組側はストライキを構えていたが、スト通告直前で以前の協約から46%の賃上げなどを勝ち取った。

日本のできごと

石破氏が自民党総裁に、「安倍路線継承」の高市氏を逆転
 自民党総裁選挙が9月27日に行われ、石破茂元幹事長が当選した。岸田首相の「投げ出し」を受けて行われた選挙で、ほとんどの派閥が「解散」するなか、石破氏のほか、高市早苗経済安保相や小泉進次郎元環境相など9人が立候補する乱戦となった。
 第1回目投票では高市氏が首位となったが、議員票の影響が大きい決選投票では、総選挙への影響や対中国・韓国関係の悪化を考慮したのか、石破氏が逆転した。
 「安倍路線の継承」を掲げた高市氏は主に大都市部で支持を得た一方、石破氏は地方からの支持を得た。高市氏の躍進は自民党の支持層の変化を反映したものといえそうだ。
 総裁選では、解雇規制緩和や財政・金融政策などで毛色の違いが見られたが、自民党という「コップの中の嵐」。岸田政権による中国敵視の外交・安保政策への公然たる異論は見られなかった。

立民新代表、「中道から穏健な保守」掲げる野田氏に
 立憲民主党は9月23日、臨時党大会で野田佳彦元首相を新代表に選出した。代表選には他に泉健太代表、枝野幸男元代表、吉田晴美衆院議員の4人が立候補した。
 代表選では、外交安保政策やエネルギー政策、「野党共闘」への態度などが議論されたが、「日米同盟基軸」で全候補が足並みを揃えたほか、沖縄県名護市辺野古への新基地建設や集団的自衛権を容認した安保法制への姿勢でも訴えに大差がなかった。候補者の顔ぶれも新味がない上、自民党に対抗できるような政策議論もほとんどなかった。
 野田代表は「政権交代前夜」という認識の下で「中道から穏健な保守」路線を掲げるが、言い換えれば政策的にはいっそう自民党にすり寄る姿勢を示した形で、いっそう労働者や広範な国民大多数が支持すべき政党ではなくなっている。

日米豪印会談、インドは自主性堅持
 日米豪印4カ国の戦略対話・QUAD(クアッド)の首脳会合が9月21日、米デラウェア州ウィルミントン近郊で開かれた。公表された共同声明では、海洋安全保障の訓練のための新たな地域枠組みを立ち上げることや、2025年から日豪印の海上保安官らが米沿岸警備隊の巡視船に同乗する取り組みを始めることなどが盛り込まれた。
 一方で、インドのモディ首相は「QUADは軍事同盟ではない」「インドは安全保障上のパートナーシップや同盟に属したことはない。国益に基づき世界中の友人や志を同じくするパートナーと関わりを持つ」などと改めて表明した。
 インド洋における中国の活動を抑え込むためにインドを引き込みたい日米豪だが、インドは非同盟・中立の外交方針を貫いており、日米豪の思惑は成功していない。

海自艦が台湾海峡を初通過、中国挑発強める
 海上自衛隊の護衛艦・さざなみが9月25日、台湾海峡を通過した。海自艦艇が同海峡を通るのは初めて。防衛省・自衛隊で検討、岸田首相が航行を指示、同艦はオーストラリアとニュージーランドの艦艇とともに東シナ海側から台湾海峡を航行し、十数時間かけて南方向に抜けた。26日から両国軍などと南シナ海で米国やフィリピンも参加する多国間訓練に加わった。
 台湾海峡では、米国が「航行の自由」作戦として定期的に航行するなど、中国を盛んに挑発している。海自艦の初通過はこれに足並みを揃えたもので、日中関係に新たな緊張を持ち込むもので許しがたい。

袴田事件で再審無罪判決、捜査機関の証拠捏造を認定
 1966年に発生した静岡県のみそ製造会社専務一家4人の殺害事件で死刑が確定した袴田巌氏の再審で、静岡地方裁判所が無罪判決を言い渡した。判決は、有罪の決め手となった「証拠」は捜査機関による捏造(ねつぞう)と断じ、冤罪(えんざい)だと認めた。公権力による重大な犯罪行為を司法が認定した形だ。
 1963年に埼玉県狭山市で女子高生が殺害された狭山事件においても、決定的な物証とされた被害者のものとされる万年筆が捜査当局による捏造であることは確定的で、公権力による犯罪行為は厳しく断罪されなければならない。

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