トピックス

世界・日本のできごと(5/1〜5/31)

世界のできごと

米中首脳会談、「拮抗」関係鮮明に
 中国の習近平国家主席と米国のトランプ大統領が5月14日・15日、北京で首脳会談を行った。イラン戦争を機に人民の生活が悪化するなか、トランプ政権は中間選挙対策を意識して成果を欲した。会談で、習近平主席は米中関係の「建設的な戦略的安定」を呼びかけた。トランプ大統領は明確な賛意は示さなかったが、報道発表には明記された。中国はボーイング機の200機購入、年170億ドルの米国産農産品輸入などを約束したが、予想は下回った。イラン戦争の終結へ、中国の支援を取り付けることもできなかった。習近平主席は、台湾問題で強く警告した。米中関係は、中国の台頭と米国の衰退で「拮抗」とも言うべき状況にある。首脳会談は、歴史的力関係の変化を満天下に示した。

中国主導のCIPSが増加
 中国主導の国際銀行間決済システム(CIPS)で3月、貿易取引での人民元決済額が2月比で5割増えたことが、3日までに中国の調査会社の調べで分かった。3月のCIPSの人民元決済額は1兆4600億元(約33兆5000億円)で、5年前の3倍。国際決済は米ドル主導の「国際銀行間通信協会」(SWIFT)に依存していた。だが、ウクライナ戦争による制裁で、ロシアがCIPSを採用したこと、イラン戦争で人民元建ての原油取引が増えたことにより、CIPSの利用が増えた。サウジアラビアも、原油取引での人民元建てが全体の4割を超えるなど、人民元の国際化が進んでいる。中国は、米ドル主導の国際金融面でも急速に台頭している。

欧州駐留米軍削減、米欧矛盾激化
 米国防総省は1日、在独駐留米軍約3万6千人のうち約5千人を撤収させると明らかにした。メルツ独首相が米国のイラン攻撃を批判していることが背景。他の欧州主要国も米国への非協力を続け、トランプ米大統領はスペインやイタリア駐留米軍の撤収も示唆している。米国防総省は19日、欧州駐留の米軍旅団の数を4個から3個に減らすと発表。22日の北大西洋条約機構(NATO)外相会合に出席したルビオ米国務長官は、加盟国に不満を表明、今後も欧州駐留米軍を縮小すると述べた。グリーンランド領有問題などで広がった米国と欧州諸国との亀裂はいちだんと広がり、欧州の安全保障環境は大きく変化している。

NPT会議決裂、形骸化さらに
 米ニューヨークの国連本部で開催された核兵器不拡散条約(NPT)再検討会議は22日、最終文書の合意・採択に至らず閉幕した。文書採択に至らなかったのは2015年、2022年に続いて3度目。米国とイスラエルによるイランの核施設攻撃を背景に、核をめぐる記述で米国とイラン、ロシアなどの対立が解消しなかったことが主因で、とりわけ米国の責任は重い。会議では、NPTが核兵器国に課している核軍縮に向けた誠実な交渉への義務を果たしていないことにグローバルサウスから批判が相次ぎ、核兵器国と非核兵器国という二重基準を前提としたNPTの矛盾が一層深まった。グローバルサウスの多くは核兵器禁止条約を支持・批准しており、その流れは今後さらに強まることが予想される。

インド外貨危機、イラン戦争の影響
 インドのモディ首相は11日の演説で、国民に対して、石油関連消費の節約などを呼びかけた。内容は、公共交通の利用や在宅勤務、海外旅行の自粛、化学肥料使用削減など。財務省も、金・銀の輸入関税引き上げを通達した。背景は、イラン戦争による原油価格高騰と輸入急減。インドは原油需要の約9割を輸入に頼る。対して、戦略石油備蓄はわずか9日分程度。5月1日時点のインドの外貨準備高は約6900億ドルで、イラン戦争直前から約380億ドルも減った。これにより資金逃避が発生、今年4カ月の資金流出量は、すでに昨年通年を上回った。通貨ルピーも下落を続け、物価高を加速させている。大国インドの危機は、予断を許さない。

人民のたたかい

 5月1日に世界各国でメーデーが闘われた。
 インドネシア全土で約20万人の労働者がデモに参加した。労働組合は、賃上げ、家事労働者や海外移住労働者の保護を要求した。
 韓国・ソウルの光化門近くで、民主労総などが計5万人規模の集会を開いた。
 フィリピンのマニラでは、労組が物価高騰と中東での戦争に抗議し、米国大使館に押しかけ警官隊と衝突した。
 トルコのイスタンブールでは、エルドアン大統領による野党指導者の拘束に抗議した。
 ドイツでは、ベルリンやハンブルクなどでデモを行った。労働組合は、賃上げや8時間労働の順守などを力説した。
 フランスはパリなど全土で、「パン、平和、そして自由」をスローガンにデモ行進が行われ、20万人以上の労働者が参加した。
 スペイン全土でデモが行われた。マドリードでは約1万人が参加した。
 米国・シカゴなどで数千人規模のデモが行われた。サービス従業員国際組合は、トランプ大統領による反移民政策に強く抗議した。
*   *   *
 ベルギーの主要3労組が12日、緊縮政策の撤回などを求めてストに入った。
 アルゼンチン全土で12日、学生や労働組合などによる行進が行われ、政府に公教育への十分な資金を要求した。
 ボリビアで14日、燃料不足に抗議する労働者、農民の抗議行動が行われた。
 米国の全米運輸労組(チームスターズ)が16日、ロングアイランド鉄道で賃上げを要求して32年ぶりのストライキ。
 スペイン・バレンシア州の緊縮政策に抗議して23日、教員組合らがデモした。

日本のできごと

国家情報会議法成立、国民監視強化
 政府のインテリジェンス(情報活動)機能を強化する国家情報会議設置法が5月27日、参議院本会議で可決・成立した。7月にも首相を議長とする国家情報会議を新設、事務局として内閣情報調査室を国家情報局に格上げする。また警察庁や外務省、防衛省、公安調査庁などの政府機関は同局に資料・情報提供を義務付けられる。一方、同会議・局の活動に対する国会や第三者機関によるチェック・監視体制はなく、「スパイ防止」を口実に際限のない国民監視と思想・運動弾圧が可能となる。同法は、日米の軍事連携強化と日本の軍備拡大を目的に2022年に閣議決定された安保3文書に沿ったもので、対米従属と戦時体制強化を進める危険な法制だ。

高市首相がアジア太平洋外交
 高市首相はベトナムを訪問、ラム国家主席と2日、首脳会談を行い、安全保障協力を唱えた。高市首相は同日、ベトナム大学で外交スピーチを行い、「自由で開かれたインド太平洋」の深化、ルールに基づく国際秩序、経済安全保障の強化などを訴えた。4日にはオーストラリアでアルバニージー首相と会談、「強化された防衛・安全保障協力に関する首脳声明」などに署名した。自衛隊と豪州軍の合同演習強化などが内容。19日には韓国・安東で李在明・韓国大統領と会談、首相は安全保障協力の持続・強化を力説。28日には訪日したマルコス・フィリピン大統領と機密情報を交換する「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」の締結交渉で合意、護衛艦などの供与も確認した。高市政権は、アジア太平洋諸国を中国包囲網に取り込もうと策動を強めている。

自治体選挙で自民敗退傾向やまず
 埼玉県羽生市長選が24日投開票され、無所属新人の斎藤万紀子前市議が当選した。河田晃明前市長から後継指名され、自民党議員などが支援した秋本文子前市教育長らが敗退。斎藤候補は、「水道基本料金無償化」や子育て支援などを掲げ、若者を中心に支持を得た。自民党が支持する候補は3月以降、石川県知事選、東京都清瀬市長選、同練馬区長選、埼玉県久喜市長選などで相次ぎ敗北。羽生市での敗北は、この傾向が続いていることを示す。比較的高い支持率を維持する高市政権だが、地方には与党への不満と怒りが蓄積していることが改めて明らかになった。

家計調査、4カ月連続の実質消費減
 総務省は12日、3月の家計調査データを公表した。2人以上の世帯の消費支出は1世帯当たり33万4701円で前年同月比で実質2・9%減と、4カ月連続の実質減少となった。特に、食料や光熱・水道費が前年割れし、「保健医療」は10カ月連続の実質増(△20・1%)。自動車購入の急減(▲52・5%)を主因に「交通・通信費」が▲16・8%と大きく落ち込んだ。食費を削りながら医療などに選択的に使うという、家計のやりくりに苦しむ国民生活の一端が垣間見える結果となった。

水俣病確認から70年、解決遠く
 1956年の水俣病最初の患者確認から、1日で70年目を迎えた。いまだ全容解明には至らず、未認定患者による集団訴訟が続いている。熊本県水俣市で行われた犠牲者慰霊式には患者や遺族らが参列した。水俣病への誤った情報や偏見も後を絶たず、高齢化が進む2200人以上の認定患者への生活支援も課題。2024年に行われた伊藤環境相と被害者との懇談で、被害者の発言中に環境省がマイクの電源を切る問題も起き、政府の態度も問われている。

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