世界のできごと
米、必死のイラン制裁強化
米トランプ政権は8月24日、「世界中のイランの金融ネットワークに対する経済猛攻」を開始すると発表した。ベッセント財務長官は、デジタル資産、テクノロジー、金、航空、海運の5分野で制裁を強化するとし、イランと関係を持つ国は「孤立する」と恫喝した。米国はこれまでも、イランおよび取引外国企業への制裁を行ってきたが、中国やロシアを中心に対象を広げることが想定される。だが、イランが屈服する可能性は低く、中国が反発しているほか、欧州諸国が不満を高めるのも必至。イラン戦争で実質敗北した米国による巻き返し策だが、制裁強化はむしろインフレなどとして米経済をさらに悪化させ、トランプ政権を追い詰めることになろう。
イスラエルに3カ国が非難声明
トルコ、エジプト、カタールの3カ国は20日、イスラエルを非難する共同声明を発表した。「ガザ停戦」は昨年10月に発効したが、イスラエル軍はパレスチナ自治区ガザへの攻撃を続けている。死亡者は「停戦」以降だけで、少なくとも1283人に達する。声明は、イスラエルによる攻撃を「地域的、国際的な取り組みを損なうもの」と非難。トランプ米大統領が設置した「平和評議会」と国際社会に対し、一段のエスカレーションを防ぐために必要な措置を行うよう呼びかけた。中東諸国の「米国離れ」はさらに進んでいる。
メッカ共同防衛協定締結
サウジアラビア、トルコ、パキスタンが7日、サウジアラビアのメッカで「メッカ共同防衛協定」を締結した。協定は、いずれか1カ国に対する攻撃を、3カ国に対する攻撃とみなすもので、3カ国の防衛協力を強化することを定めるもので、湾岸協力会議(GCC)の共同防衛枠組みを補完するもの。同協定に対し、パレスチナ、バーレーンなどが歓迎の意を表明した。イスラエルがパレスチナ問題をめぐって中東諸国に越境攻撃を仕掛け、これに対して、米国による安全保障が無力であることが背景。核保有国のパキスタンと連携することで、対米関係を相対化させる動きで、米国の中東での存在感はますます低下している。
欧州熱波が危機を加速
ドイツのロベルト・コッホ研究所が6日、欧州における6月末の熱波で、推定死亡者が9600人に上ったと発表した。今夏の死者総数は約1万1900人にのぼり、過去10年で最多。河川の水位低下で船舶運航が制限され、冷却が困難になった原子力発電所の運転停止、トウモロコシなどの収穫量が約7%減、イベント中止、観光収入の減少など、経済被害も数千億ユーロ規模に達していると推計されている。この影響で、フランス、スペインなどでは1.3〜1.8%の減少が予想されている。欧州は気候変動の影響を最も受けているとされ、経済・財政などの危機を加速させている。
人民のたたかい
韓国の現代自動車労組が19日・20日、4時間の部分ストライキに入った。賃上げなどを求めたもので、21日には全面ストを闘った。
韓国の金融機関カカオバンクの労働者700人が14日、ストライキに入った。前月末から断続的に行っているもので、賃上げを求めたもの。経営側は交渉に応じていない。
インドネシア大学の学生執行委員会と全国学生戦線(FMN)が18日、生活必需品や燃料の値上げ、国家戦略事業の見直しなどを要求してデモを行った。
英国ロンドンのバス労組「ユナイト」の1500人が18日、猛暑が続く中、運転席に冷房設備がないことに抗議してストライキに入った。ストは、10月中旬まで11回行う予定。
カナダ・メトロバンクーバーの交通労働者が17日、賃上げと年金改善を求め、「制服着用拒否」の闘いに入った。
カナダ・ウエストジェットの客室乗務員が2日、賃金体系をめぐりストライキに入った。ストは、客室乗務員4400人を代表するカナダ公共労働組合(CUPE)が実施した。
スペイン・バルセロナ近郊のエル・プラット空港で、地上職労働者約1200人が、4日、無期限ストライキに突入した。ストで、約20便を欠航に追い込んだ。
オランダのアムステルダムで1日、性的少数者の権利を訴える運河パレードが行われ、欧州全域から数十万人が参加した。行動は8日まで連日行われた。
日本のできごと
千葉豪雨、都市の問題点あらわ
千葉県を中心に8月13日、半日で平年の8月々間の約3倍という記録的豪雨が襲った。22市町にレベル5大雨特別警報、6市にレベル5土砂災害特別警報が発令。13人が死亡、床上・床下浸水3900棟、放置自動車は2500台以上。農林水産業の被害は約28億円と推計される。政府は22市町に、9月分の普通交付税を繰り上げ配分すると発表、国交省にアンダーパスへの進入防止策などを指示した。だが、浸水被害の55.7%がハザードマップの「浸水想定区域外」で発生したように、「ゲリラ豪雨」で排水が間に合わない「内水氾濫」への対応の遅れは明白。気候変動を前提に、都市政策を根本的に見直すべきだ。
首相が異様な靖国「遥拝」
高市首相は15日、日本武道館の駐車場から靖国神社を「遥拝(ようはい)」し、玉串料を納めた。また、小泉防衛相など4閣僚と、超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」(会長・逢沢一郎衆院議員)の約90人が参拝。同神社はA級戦犯を合祀し、侵略戦争を徹底的に美化する反動的存在。首相は遥拝という踏み込んだ対応で、アジアを敵視する性格をあらわにした。
防衛白書、対米従属と中国敵視強く
防衛省は4日、2026年版防衛白書を公表した。中国について「法の支配に基づく国際秩序を強化するうえで、これまでにない最大の戦略的な挑戦」などと「脅威」を誇張する一方、世界を脅かす米国によるイラン攻撃を不問とするなど、対米従属と中国敵視に満ちた内容。また、安保3文書改定を念頭に、無人兵器や人工知能(AI)活用について「新しい戦い方」などと新章を設けて解説、軍需産業育成や大学・研究機関との連携強化の方針を示した。高市政権は「戦争で稼ぐ国づくり」を加速させている。
ICC制裁、首相の対応に不満続出
米トランプ政権は18日、国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の赤根智子所長らへの制裁を発表した。米国は24年、ネタニヤフ・イスラエル首相らに逮捕状を発行したICCの「解体」を目指すと表明した。高市首相は「大変残念」と述べるのみで、茂木外相は赤根氏との面会を拒否した。自民党外交部会からも「制裁撤回を求めるべき」との不満が続出。赤根氏は、日本の大国化策動の一環として安倍政権に請われて所長に就任したが、高市政権は米国に屈し「はしごを外した」。抗議する欧州連合(EU)と比べても、弱腰そのものだ。
プーチン択捉訪問、固定化狙う
プーチン・ロシア大統領が13日、北方領土・択捉島を初めて訪問した。北方領土は「領土不拡大」の原則に反し、1945年のヤルタ秘密協定でソ連(当時)に奪われた。訪問は占領固定化を図るもので、平和条約など日ロ間の懸案解決に逆行し許し難い。一方、ロシアは、北方領土を返還した場合、日米安保条約に基づき米軍基地が置かれることを警戒している。ロシアに態度変更を迫るには、日米安保の見直しも欠かせない。
「消費税1%」、2年後に大増税
高市政権は5日に臨時閣議を開き、食料品の消費税率を2027年4月から1%に引き下げる方針を決めた。残り1%相当分(約6000億円)の所得連動給付も行う。秋の臨時国会に法案を提出する。一方、財源の具体策は先送りし、与党内からも懸念が強い。ただ、物価が下がる保証はなく、外食業は税率10%のままで不公平。何より、2年後には大増税が不可避。政権浮揚を目指す高市政権だが、姑息な意図は国民に見抜かれている。
福岡県議会、疑惑の議長が辞職
福岡県議会の蔵内勇夫議長(自民党)が26日、議員辞職を表明した。正副議長を選ぶ際の金銭授受、高額な海外視察、県庁幹部との癒着など、県政を揺るがす諸問題の中心人物で、批判が集まっていた。蔵内氏と協調してきた服部知事の責任も重大。また県議会は、蔵内氏の議長辞職勧告決議案の「採決中止動議」を可決。民主系会派の約半数が賛成するなど自民と同根で、県政刷新は不可欠。自民党中央は福岡県連幹部を恫喝して事態収拾を求め、高市政権への悪影響を避けるのに必死だ。
日米協調で円買い介入
片山財務相は3日、日米協調で円買い介入を行ったと述べた。1ドル=160円以上の円安で輸入物価がさらに高騰、国民の不満が高まっていることへの対応。軍事費など財政膨張が進むなか、円の信認を維持する狙いもある。ベッセント米財務長官は、円安が危機に発展して米経済に悪影響を及ぼすリスクを避ける狙いを示した。ただ、米国が2年後以降の財政再建を求めた可能性が報じられている。わが国はかじ取りがますます難しくなる。