トピックス

総選挙結果は自民党政治の行き詰まりの反映 世界の歴史的転換期にふさわしい政治実現を

 衆議院議員総選挙が10月27日に投開票された。自民党は大敗し、自公与党でも過半数割れとなった。

 この大惨敗の原因として自民党の「裏金問題」があったのは間違いない。しかしより根本にあったのは、何より「国民の生活が苦しい」という現実だ。

 物価や社会保障費は上がり続けているが、賃金や年金はろくに上がらない。庶民生活は坂道を下る一方だが、自民党国会議員は巨額の裏金を着服し、発覚しても罪に問われない。これで国民が怒りと不満を抱かない方がおかしい。そもそもこのような状況があったからこそ岸田前首相は政権投げ出しに追い込まれたのだから、「ご祝儀」を期待して解散・総選挙に踏み切った石破首相は国民の怒りを甘く見ていたとしか言いようがない。

 しかしこれは、単に石破政権が行き詰まったという話ではない。自民党政治そのものが行き詰まった結果だ。ドルと核・軍事による米帝国主義に付き従い、わが国の金融を頂点としたグローバル大企業の利益を代弁し、売国的官僚が国家運営を牛耳る国家金融独占体の政治的代理人である自民党。その自民党の政治が完全に行き詰まった結果だ。

 自民党は、1990年代を境に、農民や中小商工業者への利益分配型政治から、中間政党を引き付けて政権延命を図る策略型政治へと手法を変え、何とか支配を維持してきた。公明党との連立も策略の一つだ。

 だが、その策略型政治も限界にきている。自民党は、アベノミクスとコロナ禍、物価高騰などで極度に悪化した国民生活を顧みず、米国とごく一部の多国籍大企業、資産家に奉仕し続けた。大企業・投資家がボロもうけする一方、国民大多数は困窮の一途で、将来への展望が見いだせない。国民の政治・既成政党不信は根深く、今回の総選挙で自公与党はそろって惨敗した。もはやこれまでの術策は通用しない。自民党の政治支配は歴史的危機に陥っている。

 この選挙結果を受けて、選挙前からすでに分裂含みの自民党はいっそう不安定化するだろう。自公で過半数に満たないのだから、連立の再編は避けられない。政局の流動化と野党も巻き込んだ政治・政党再編は不可避の情勢だ。

 しかし、このような政治の流動化の中で、議会政治は真に国民の期待に応えられるのか。

 世界はいま歴史的転換期にある。米国を筆頭とする西側帝国主義が存在感を低下させる一方、中国・グローバルサウス諸国が台頭し、国際政治に大きな影響力を持つようになった。米欧など先進諸国では階級矛盾が激化している。こうした中で、岸田前政権は米戦略に追随して「中国包囲網」と大軍拡に突き進み、アジアでの戦争の危機を著しく高めた。

 このような状況下で、当面して何よりも重要なのは「日中不再戦」、中国との新たな戦争を避けることだ。中国との間で戦争が起これば、国民生活・国民経済の立て直しどころではない。日中の再戦は何としても回避しなければならない。これこそが経済界も含めた多くの国民諸階層にとって最も喫緊の課題であることは論をまたない。

 だが、野田・立憲民主党をはじめとする議会内野党も自公与党と同じく「日米基軸」で、台湾問題への態度もほぼ変わらない。共産党も「中国の覇権主義」を唱えて「脅威論」に同調している。

 その一方で、日中関係の現状に危機感を抱き、関係改善・発展に向けて動き出す国会議員も増えている。それはこの7月に超党派の国会議員訪中団が派遣されたことにも示されている。

 日中不再戦が切実に求められている情勢下だ。与野党を問わず、この課題のために行動する国会議員の役割はきわめて重要である。国会内での「日中不再戦勢力」の前進に向けた共同の努力を呼びかけたい。

 そのうえで、選挙と議会だけでは政治を根本的には変えられない。労働運動を中心とする国民運動の発展が必要だ。この変動期の情勢に対応し、自主的で平和な国の進路をとることを訴え、日中不再戦と国民生活を守る闘いを発展させることがこれまで以上に求められている。   (Y)

-トピックス
-, , ,