トピックス

世界・日本のできごと(8/19〜9/1)

世界のできごと

中越首脳会談、「反カラー革命」などで一致
 中国共産党の習近平総書記(国家主席)とベトナム共産党のトー・ラム書記長(国家主席)は8月19日、北京で会談した。ラム氏は前任の死去を受けて3日に書記長に選出されたばかりで、就任後初の外遊として中国を訪問した。
 翌日発表された共同声明では、全面的で戦略的な協力パートナー関係のさらなる強化や、「未来を共有する共同体」建設の推進に向けて重要な共通認識に達したことが明記された。また、両軍や海上警察、公安部門の協力・交流を強化することで合意、「反干渉、反分裂、『カラー革命』防止などで情報を共有し、政治や制度の安全を共に守る」ことでも一致した。
 ラム氏が中国との関係強化を進めた背景には、米国がベトナム戦争後も系統的に共産党体制の転覆を図っていること、近年は東南アジア諸国連合(ASEAN)内において「親中政権」発足を妨害するために「第二のCIA(米中央情報局)」と呼ばれる全米民主主義基金(NED)などが「カラー革命」を目指して暗躍を強めていることがある。

国連が英排外主義に報告書、「植民地・奴隷制への謝罪必要」
 国連の人種差別撤廃委員会は8月23日、英国内でのイトスピーチや排外主義的な言説の急増に関する報告書を発表した。
 報告書は、英政府の取り組みを4年間にわたり分析、極右団体や白人至上主義者による移民や難民、少数民族への暴力、人種差別、ヘイトスピーチが種メディアやオンライン上の交流サイトで繰り返されていることを指摘し、政府に加害者が効果的に調査され制裁を受けるような取り組みの実施を促した。
 また、警察が人種に基づくプロファイリング(捜査対象の判別)を行っている点も問題視し、移民・難民にルーツを持つ生徒が多く通う学校で過剰な取り締まりが行われている事実を指摘、批判した。
 その上で、英国が過去に行った植民地支配や奴隷制への関与を英政府が誤りと認めないことが「現代の人種差別の背景の一つ」だとして「関係国への公式な謝罪と賠償を検討すべきだ」と勧告した。
 英国内では殺人事件の加害者が不法入国者だったとする偽情報を基に、不法移民の排斥を訴える大規模な暴動が起きたばかり。報告書作成の調査を担当した委員は「政治家や公人が拡散する憎悪が人種差別に伴う暴力を招いている」との見方を示した。

人民のたたかい

 米国のコーネル大学(ニューヨーク州イサカ)で8月18日、全米自動車労組(UAW)「ローカル2300」分会に加入する労働者が、賃上げや労働条件の改善を求めてストライキに突入した。参加したのは大学施設の営繕、食堂、庭園作業、農園・果樹園などで働くサービス業労働者。労組と大学経営陣は28日までに最大25.4%の賃上げや、病気などによる休暇をより柔軟に取れるようにすること、制服手当の増額など、労働条件の大幅な改善が盛り込まれた暫定労働協約で合意した。
 連邦政府の独立行政機関・全米労働関係委員会(NLRB)は8月22日、ネット通販最大手アマゾンを「配送ドライバーの雇用主」であると断定、労働組合を認めて団体交渉に応じる法的義務を負っているとする判断を示した。NLRB訴えを起こしていたのは、米西部カリフォルニア州パームデールで働くアマゾンの配送ドライバー84人。昨年4月に労組を結成、米最大労組の一つ全米運輸労組(チームスターズ)に加盟した。NLRBは、1年余りにわたる調査を踏まえ、アマゾンは下請け会社とともに「共同雇用主」であると指摘した。また労働者の団結権を違法に拒否し、反労組の情報を流したり労働者を脅迫したりしているとして是正を求めた。

日本のできごと

政府、辺野古・大浦湾の埋め立て強行
 防衛省は8月20日、沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐり、海底に軟弱地盤が広がる大浦湾側の埋め立て予定海域を囲む護岸の造成工事に着手した。
 大浦湾は世界有数の巨大サンゴ群が広がる生物多様性に富む海域で、沖縄県は環境保全対策などに関する協議が終わるまで工事を行わないよう再三求めてきた。工事着手を受け、玉城デニー知事は「事前協議が継続する中で一方的に工事に着手したことは誠に遺憾」と批判した。
 辺野古新基地建設は、政府の計画通りに進んでも完成は2030年代半ば以降とされる。だが、埋め立て予定海域にある軟弱地盤は最も深い地点で水面下90メートルに達する一方、実際に地盤改良できるのは70メートルまでで、基地建設計画は根本的に疑問視されている。
 岸田政権と自公与党は、巨額の血税を注ぎ込んで環境破壊をするだけという、歴史上類を見ない愚行を続けている。

敦賀2号機の再稼働認めず、規制委が初了承
 国の原子力規制委員会は8月28日、日本原子力発電敦賀原発2号機(福井県敦賀市)について「原子炉建屋直下に活断層がある可能性が否定できない」として、再稼働の前提となる新規制基準に不適合だとする審査書案を了承した。再稼働を認めない判断は2012年に規制委が発足して以降、初めて。
 11年の東日本大震災後、全国の原発で敷地内の断層調査が行われ、敦賀2号機の原子炉建屋直下にある断層は活断層だとされた。日本原電はこれを否定し、15年に規制基準適合審査を申請したが、9年にわたる調査・検討の結果、主張は退けられた。
 危険な場所に建設された原発を廃炉にすることは当然だが、日本原電は追加調査をして再審査をめざす姿勢。背景には、原発再稼働政策に固執する岸田政権や自公与党の存在がある。

汚染水海洋放出強行1年、全漁連は「依然反対」
 政府と東京電力が福島第一原発事故で発生する放射能汚染水を処理した後に残るトリチウム(3重水素)を含む汚染水(アルプス処理水)の海洋放出を始めてから8月24日で1年となった。
 この前日、全国漁業協同組合連合会の坂本雅信会長は「漁業者・国民の理解を得られない処理水の海洋放出に反対であることは変わらない」と基本的立場を表明、中国などによる日本産水産物の輸入全面停止措置の影響が魚価全体に広く及ぶ問題に言及し、政府に対して「こうした状況を重く受け止め、輸入全面停止措置の早急な解除に向け、全力をあげて取り組む」よう求めた。
 漁業者や中国など近隣国の理解を得ぬまま汚染水放出を強行した岸田政権と自公与党だが、中国を批判するばかりで、漁業者の苦境にも真摯(しんし)に向き合っていない。

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