あけましておめでとうございます。昨年は全国の皆さんから多額の義援金とボランティア活動で能登へ来ていただきありがとうございました。まだまだ先の見えない昨今ですが、気持ちを奮い立たせているのが現状です。本年もよろしくお願いします。

あっという間に1年がたちました。先ごろ政府の地震調査会は「地震は活発化しており、今後も強い揺れや津波の恐れがある。十分注意を」と呼びかけています。また、現地調査をした学者は「地震学者として経験したことのない現象。明治以降の陸地地震では最大規模の巨大地震がなぜ起こったのか。世界でも例がない大規模な海岸隆起」と驚いています。私も5メートル近い海岸の隆起現場を見た時は自然の脅威を感じました。
私は、10月4日に避難指示が解除となり、9カ月間の避難所からわが家に戻り新年を自宅で迎えることができました。しかし、多くの被災者が仮設住宅、あるいはまだ避難所で新年を迎えています。
私の場合、家屋の被害よりも中山間地にある水田の被害の方が大きく、用水路やあぜ道はほとんど崩れました。今春も田の修繕はほぼ無理で、耕作も諦めざるを得ません。
おそらく能登の多くの農家が同じような被害に遭っています。規模が大きい農家の損害規模は膨大なものと思われます。激甚災害指定とはいえ、それでも地元負担分はあります。水田を全て修復するとなると数百万円の負担となりますので、今後何年耕作できるのか、負担がどの程度までできるのかを相談しての修繕の工事面積となるでしょう。農機具や倉庫の損害も重なり、既に離農を決めたという声も聞こえます。数年単位で就農できないとなると、高齢化が著しい能登半島では離農者が増えることが目に見えています。
これは農林水産業に限りません。地元の商店街も同じような状況にあります。
教育や医療・福祉分野でも、看護師や介護者が多く被災し、子どもの将来を見据えて金沢近郊へと移住する方も多くいます。新聞のアンケートでも、被災地の主な課題のトップは「人口減少」で、次に「住宅や住まいの整備」、3番目は「インフラの普及」となっています。復旧復興について「進まず」との回答が63%という現状は、国・自治体の対応の遅れがもろに響いていると言えるでしょう。
避難所の国際標準をと政府は盛んにうたっていますが、100年変わらない悲惨な避難所生活は、今回の災害がきっかけで国際基準・スフィア基準を達成したといわれるよう、全力でトイレ・キッチン・ベッドの体制を整えるべきです。