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「若者の日中交流が未来をひらく」と再確認ーー第2次アジアの平和と未来をひらく若者訪中団 竹井一郎事務局長に聞く

 自主・平和・民主のための広範な国民連合が呼びかけた「第2次アジアの平和と未来をひらく若者訪中団」の25人が9月7日〜12日、中国の北京と瀋陽・撫順を訪問した。2回目となった今年の訪中団の成果などについて、訪中団の竹井一郎事務局長に聞いた。

*  *  *

 今年の若者訪中団は「国交回復後、最悪」と称されるほど日中関係が悪化している中で派遣されました。
 昨年11月に高市首相は台湾有事について「存立危機事態になり得る」と国会で答弁しました。国交回復時の「約束」である日中共同声明を踏みにじる発言で、当然ですが中国政府は発言の撤回を求め、現在でもさまざまな日中交流事業が中止に追い込まれています。
 このような厳しい状況の下でしたが、中国大使館や現地の受け入れ団体の多大な厚意と尽力によって、私たちの訪中団は派遣することができました。中国側の方々には感謝してもしきれません。
 このご厚情にあずかった私としては、今回の訪中団派遣をどのように今後の日中友好に、さらには中国と共栄共生できる日本へとつなげられるのか、大きな宿題が与えられたことを重々承知しています。

「日中関係を変えたい」との思い
 このような下で行われる訪中だったこともあるのか、応募者には、中国留学や訪問の経験がある人、かなり中国語を学んでいる人、SNSで知り合った中国人の友人がいる人が多く、自分自身や友人が予定していた中国留学を取り消されるなどの日中関係悪化のしわ寄せを受けた人もいました。
 また、「悪化している日中関係を改善したい」「日本の中にある中国のイメージを変えたい」「そのためにも中国を深く学びたい」という気概を抱えて応募する人も少なくありませんでした。
 私としては、そうした応募者を頼もしく思う一方、不安もありました。かれらのなかには、中国に行くことを親から猛反対されたり、中国に親近感を示すことでSNSで批判されたりするなど、中国敵視・中国脅威論が蔓延(まんえん)する日本社会の中で無力感や孤立感を抱いている人もいました。そんなかれらに「こうすれば日本の中にある中国への偏見を変えられる」という答えを示すことができるのか。私自身にしっかりとした自信があったとは言えません。
 というのも、昨年は訪中団に参加した、つまり私たち自身が中国に連れて行った学生・若者たちに対してさえ、かれらの中にある「中国敵視」を十分に変えることができなかったからです。

遼寧省瀋陽市の九・一八歴史博物館を訪ねる

中国脅威論の根深さを実感
 昨年の訪中団も、今年と同様、日本による中国への侵略と植民地支配の歴史を学ぶための場所を訪問しました。「戦後80年」という節目でもあった昨年、平和に関心を持つ学生たちが多く参加し、現地の戦争に関する博物館や記念館で日本の侵略と戦争の真実について真摯に学んでいました。
 「戦争の歴史から何を学ぶのか」という問いに対する答えは必ずしも一つではないでしょう。しかし日中間においては一つの正解というかルールと教訓は出されていると思います。1972年に国交を正常化させた際の日中共同声明で約束された「一つの中国」という立場を日本が堅持することです。
 昨年の訪中前の学習会や現地で、主催者として私たちは次のようなことを繰り返し伝えました。「日中両国の間には筆舌に尽くしがたい加害と被害の歴史がありました。にもかかわらず、日本と中国は戦争を終結させ、新たな歴史の一頁を開きました。日中両国が合意した共同声明では、両国が互いに二度と戦争をしないことや領土を分断しないことなどが約束されました。日中両国が再び戦火を交えないためにも、この約束は絶対に守らなければいけません。特に、加害者の側である日本から『一つの中国』の原則を破ることは絶対に許されません」ということです。
 このような考えは参加者にすんなり受け入れられると思っていましたが、実際にはそうなりませんでした。一部の人は「日本がかつて中国にしたことは大変な犯罪」だと学びつつも、「同じことを中国は台湾にしてはならない」と考える人が少なからずいました。参加者が現地で「中国は台湾の自決権を認めるべき」などと「一つの中国」に異論を唱える場面もありました。
 中国脅威論、つまり「中国の側こそが侵略的」という考えを前提として戦争の歴史を学ぶと、このように考えてしまうのでしょう。

「米国側の日本」に無自覚な国民
 考えてみれば、学生らの意見は日本社会においては「普通」です。
 ご存じのように、日本政府やマスコミは連日のように「中国は権威主義国家」「共産党の一党独裁」「言論の自由など人権が保障されていない国」などのニュースを大量に流布しています。台湾をめぐる問題でも「権威主義・中国と民主主義・台湾」「軍事的に台湾を威圧する中国」という構図を伝えています。日本社会で暮らす私たちは、そのような情報と思考に日常的にさらされています。
 日本の「右」に限らず、「左」も基本的にこの影響下にあります。「米国・日本=民主主義、中国=権威主義・非民主主義」「台湾問題をつくり出しているのは中国の側」という基本的な立場です。むしろ、「平和」「人権」を掲げるがゆえに日本政府より中国により批判的なスタンスを取ることさえあります。
 これは端的に言えば、米国の占領下から80年間、戦後一貫して米国の強い影響下にあったからというほかにないと思っています。政治・経済・外交・教育・文化など日本社会のあらゆる面に米国の影響が及び、左右を問わず日本国民の思想・思考の奥深くまで米国の影響力が浸透しています。それが当たり前になり過ぎて、日本政府の外交姿勢や日本における中国報道が公平・公正ではないことも分からなくなっているのではないでしょうか。
 ある国に戦争を仕掛ける時、その国の「脅威」を国民に植え付ける。これは歴史が教えるところです。「暴支膺懲(ぼうしようちょう、乱暴な中国をこらしめる)」など、かつて日本が中国を侵略した時代もそうでした。そして現在、「平和」や「戦争反対」を訴える「左」も中国脅威論に立ち、中国に対抗させるために日本の軍備拡張を進めたい米国や日本政府の中国脅威論に実質的には加担しています。この現状は大変危ういと思います。

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