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難局乗り切る覚悟が求められる(マツダ関連労働組合員からのたより)

昨日、広島で衝撃的なニュースが流れました。マツダの希望退職の発表です。このニュースは、これから先のマツダグループ下請け協力会社に大きな影響を与えます。

マツダが希望退職をやるのだから、「右に倣え」で、下請けもやり始めましょう。まさに暗雲が立ち込め始めました。

マツダが、経営内容がよいうちに「セカンドキャリア支援」と銘打って、希望退職という人員整理を始めることは、過去にもありました。そして、当社も「マツダに倣え」で、やり始めた経験があります。

昨日、労働組合役員のA君に連絡を取り、仕事の状況を聞きました。

すでに、トランプ政権が「自動車関税25%」を打ち出した影響で、マツダは在庫調整に入って生産量は下がり、定時割れ(定時間まで仕事がない)で、工場内の掃除ばかりしているそうです。

これから先、出口のないトンネルのように全く先が見えない状況で、どうして良いのか「お手上げ」です。

しかし労働組合の役員として、雇用確保と、組合員が不安と思うような人員整理の希望退職はやらないことを、しっかり主張すべきでしょう。

労働組合が組合員と団結し、この難局を乗り切る覚悟が求められています。

ある人から「希望退職だからいいじゃないか」と言われました。とんでもないことです。

今回の500人の希望退職は、取引先の銀行と綿密に打ち合わせしてやっています。経営をスリム化して、取引銀行にアピールします。

例えば、500人に達しなかったら、「肩たたき」が始まります。それでも達しない時は、指名解雇となります。そうやって必ず500人を集めます。

これから先、経営が厳しくなるから、今この時期に人員整理をして、取引先銀行からの融資を受けやすくする狙いもあるのでしょう。

私が労組の役員だった時も、マツダが希望退職を始めた後、下請けの当社も希望退職を募集しようとしました。

組合は、「経営は経営者の責任であり、組合員にしわ寄せをしては困る」と、反対を表明しました。交渉は決裂、会社は勝手に募集を始めました。

しばらくして、組合事務所に駆け込んで来た組合員がいました。何と、会社が退職勧告の「肩たたき」をやり始めたのです。

私はその人に、「応じる必要はない」と説明しました。また、そのような事があったら「組合に言いに来てください」と伝え、安心してもらいました。

組合は徹底交戦で望み、週一発行している組合ニュースに「希望退職を考えている人は、会社に伝える前に必ず組合に相談して下さい」「肩たたきを受けた人は、すぐに組合に報告して下さい。個人で判断しないようお願いします」と記しました。

組合員を守る姿勢を前面に打ち出し、「肩たたき」を受けた人を何人も守りました。仕方なく「希望退職」に応じる人もいましたが、事前に組合と相談した後となりました。

会社側は、組合ニュースに毎号、希望退職に関連する記載があるため、イライラして役員に嫌みを言ったり圧力かけて来ましたが、知らん顔を通しました。

労働組合が体を張って闘う姿勢をみせないと、会社側には勝てません。そうしないと、組合員からの信頼も得られないと、つくづく思った経験です。

(個人情報に関する部分を削除・修正しました)

マツダが500人のリストラ発表!雇用と地域経済を守れ

自動車大手マツダは4月22日、500人規模のリストラを発表した。対象は、勤続年数が5年以上かつ50〜61歳、間接部門の労働者が対象となる。

経営側は「セカンドキャリア支援制度」と銘打ち、「希望退職などとは異なる」などと言うが、実質的な希望退職募集であり、首切りにほかならない。同社の大規模リストラは、2001年に1800人規模の「早期退職」に次ぐものだ。

マツダの2025年3月期業績は、売上高は微増したものの営業利益は25%以上も減少した。経営側によると、中国市場での価格競争激化と、アジアでの販売不振が響いたという。世界的な物価上昇も影響したという。

ここに、米トランプ政権が自動車への追加関税(25%)を発表した。わが国自動車産業が甚大な影響を受けることは必至だが、とくにマツダやスバル、日産への影響が大きいと予想されている。

だが、マツダ経営陣は、昨年11月に2025年3月期上期の業績を発表した際、すでに「コスト構造改革活動」を掲げ、新たなコストダウン策を示唆していた。そもそも、世界的にEV(電気自動車)化が急速に進むなか、マツダは出遅れており、経営陣は巻き返し策を急いでいた。

マスコミが「トランプ関税の影響」というのはウソではない。だが、経営陣は上記のような環境を考慮し、労働者や下請け企業に犠牲を押し付けて危機を乗り切る「チャンス」と見て、今回の措置に踏み切ったのである。

マツダと関連企業は、広島県及び周辺地域に大きな経済的影響力を持っている。マツダにとどまらず、自動車産業によるリストラ策は、今後も続く可能性が高い。労働者、下請け企業への犠牲転嫁を許してはならない。雇用を守り、地域経済を守らなければならない。(宣伝局・K)

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