談話・声明

第96回メーデーアピール/世界は歴史的転換期、独立・自主の政権樹立を 労働党と共に新たな時代を切り開こう(日本労働党中央委員会)

 すべての労働者の皆さん!

 第96回メーデーに際し、日本労働党は熱烈な連帯のあいさつを送ります。

世界の構造は劇的に変化

 世界は構造的変化のただ中にあります。米国を中心とする帝国主義は衰退し、国際政治・経済の主導力が中国などグローバルサウスに移る、劇的な変化です。

 第2次世界大戦後、米ソ冷戦はソ連が瓦解(がかい)して終わりましたが、米国も痛手を負いました。全体として、米国は核兵器を中心とする軍事力と基軸通貨ドルで世界を主導してきました。しかし金ドル交換停止やベトナム戦争の敗戦、ITバブル崩壊、リーマン・ショック、アフガニスタンでの敗退などを経て衰退を早めてきました。

 トランプ政権の再登場は、世界をさらなる混乱に陥れています。追加関税は、戦略的に敵視する中国だけでなく、わが国などの同盟国も対象とされ、世界を揺さぶっています。世界の投資家は仰天し、金融市場は混乱しています。

 デンマークのグリーンランド自治領への野心やウクライナ戦争「和平」で、米国と欧州連合(EU)との関係は極度に悪化しています。中南米諸国も、パナマ運河をめぐる恫喝(どうかつ)に不満を増大させています。

 なりふり構わぬ策動は、米国の抱える危機、国内矛盾の深さの反映です。

 第一次トランプ政権が登場した2017年、米国はリーマン・ショック後の危機で国民は貧困化し、不満が鬱積(うっせき)していました。トランプ、バイデン両政権はこの改善どころか、コロナ禍の対応失敗などで国内の「分断」をさらに深めました。

 米国の狙いは、中国の台頭を抑え込むとともに、諸国に犠牲を転嫁して自国経済を再生させ、破綻した「パクス・アメリカーナ」の復活を夢見ています。

 一方、世界を主導するようになったグローバルサウスの中心は、中国です。

 中国は、「特色ある社会主義」を掲げて国家建設を進めています。経済力だけでなく、人工知能(AI)、宇宙開発などの先端技術でも、米国を追い抜くほどの勢いを見せています。貧困の解消や食料自給などでも、成果を上げています。

 トランプ政権は「米国の危機の産物」にほかならず、大統領の願望とは逆に、「米国第一」の内外政策は国内の分断と国力の衰退、国際的孤立と政治的影響力の低下など、米国の衰退を加速させるでしょう。

 日本は、米国との関係を再考し、中国をはじめグローバルサウスと共生すべき時に来ています。

資本主義は持続不可能、社会主義を目指そう

 米国の衰退と危機の深まりは、すなわち資本主義が末期で「持続不可能」となったことも示しています。資本主義は幾多の危機を経て生き延びてきましたが、もはや歴史的限界をさらしています。

 米国をはじめとする帝国主義者による中国敵視は、資本主義が成り立たなくなりつつある危機感に駆られてのものです。

 世界を見渡せば、11億人以上が貧困状態に置かれ、飢餓人口は7億人を超えています。わずか8人の企業家・投資家が、世界の約半分の資産を握るほどの「格差」があります。

 米国を「主犯」とする戦争も終わりが見えません。ウクライナ戦争は長期化し、パレスチナ・ガザ地区ではイスラエルによる無法な虐殺が続いています。アジアでも、米国の中国・朝鮮敵視政策が軍事的緊張を高めています。

 戦争で膨大な人びとが殺戮(さつりく)され、難民として故郷を追われる一方で、巨大軍事産業は「ぬれ手で粟(あわ)」です。

 さらに、野放図な企業活動がもたらした気候変動と災害が、人類社会の存続を危うくさせています。

 技術革新の成果も、ごく一部のテック企業に独占されています。人類の発展に貢献するはずの技術が、「格差」を拡大させ、労働者を職場から追い出しています。

 私的所有(私有財産制)に基づく資本主義である限り、多国籍大企業や投資家は利潤を求めて世界中を駆け回り、労働者階級・人民や被抑圧民族への搾取と抑圧、さらに自然や資源の収奪をやめることはありません。人類社会の存続のためには、私的所有を廃絶することが不可避です。

 全世界の労働者階級は、社会主義・共産主義を目指し、自らが政権を握るための闘いを強めるべきです。

「対米従属と大企業優先の80年」、今こそ転換を

 わが国は、先進国中最低水準の経済成長率、最高水準の国家債務、地方と第一次産業の衰退、高い自殺率、少子高齢化と人口減少、相次ぐ天災など難問山積です。

 資本主義の行き詰まりのみならず、戦後80年間続く対米従属で大企業優先の政治が元凶です。

 政府は米国の世界戦略に追随し、わが国を「対中国」の前線基地化させつつあります。米国の狙いは日中を争わせ、日本の力もそぎ、覇権を維持しようとたくらんでいます。

 わが国支配層の主流は、米国の衰退を見ながら、日本を中国に対抗した「アジアの大国」として登場させる衝動を強めています。

 米軍と自衛隊の一体化、南西諸島を中心とする軍備増強、沖縄県名護市辺野古への新基地建設強行、無謀な「避難計画」、中国への排外主義宣伝などはそのためのものです。

 石破政権は2月の日米首脳会談で、さらなる防衛費増額を約束しました。対中国政策でも、台湾を独立国として扱うに等しい方向を明記しました。中国の内政に対する公然たる干渉で、「一つの中国」という国際的合意にも反しています。

 中国敵視政策はわが国を戦争の淵に立たせ、グローバルサウスが前進する世界の趨勢(すうせい)に背を向ける亡国の道です。

 国民経済・国民生活もますますないがしろにされています。

 1990年代以降、実質賃金は下がり続けています。さらに、増税や社会保障制度の改悪が襲いかかっています。能登半島をはじめとする災害被災地への「棄民政策」は度し難いものがあります。農林水産業者の経営は成り立たず、農業は壊滅の危機にひんしています。中小商工業者の経営は、原材料費高騰と大企業からのコストダウン要求、人手不足などで、倒産と廃業が相次いでいます。

 介護・運輸などのエッセンシャルワーカー、非正規労働者、ひとり親家庭の生活難は耐え難くなっています。若者も、劣悪な非正規雇用や多額の奨学金負債に苦しんでいます。

 ここに、米トランプ政権による追加関税などの対日圧力が襲いかかろうとしています。

 愛知、広島、福岡、北関東など自動車関連産業が集中する地域の経済に、とくに大きな打撃となる可能性があります。長らく「自動車頼み」だったわが国経済には深刻な事態です。

 政府は「関税逃れ」のために、米国製兵器の購入拡大や農産物の輸入拡大を策動しています。国の独立の基礎である食料生産・農業を崩壊させ、さらなる増税をもたらすものです。政府は、理不尽な要求を断固としてはねのけなければなりません。

 戦後の対米従属政治と国民との矛盾も限界に達し、転換が避けがたくなっています。

国民運動と戦線形成で独立・自主の政権樹立を

 議会内野党は「日米同盟」の枠内にとどまり、中国敵視政策に付和雷同し、自公政権に対する政治的対抗軸を立てられません。芳野・連合中央指導部は政権にすり寄り、労働者を裏切っています。「成果」が言われる春闘ですが、定期昇給(ベア)がない中小零細労組にとっては物価上昇分を取り返せていないことは明らかです。

 国民各層は自公政権への不満を高めています。政治意識は急速に変化しつつあります。それは、昨年の総選挙での与党の大敗にも反映しています。

 労働運動、国民運動こそ、社会を変える最大の力です。

 玉城デニー知事を先頭とする沖縄県民は「日中戦争回避」「沖縄を二度と戦場にさせない」と、米兵による女性への卑劣な性的暴行事件を契機に、新たな闘いを前進させています。沖縄県民の闘いは、独立・自主の政権を目指す国民的戦線の重要な一部となり得ます。

 農民の闘いも画期的前進を遂げています。島根県吉賀町の農民は、農政転換を求めてトラクターデモに立ち上がりました。欧米並みの所得補償や食料自給確立などを求めた「令和の百姓一揆」は大成功を収めました。食料やいのちに関わる切実な願いから、売国農政転換を要求する全国的動きになりつつあります。

 労働運動にも、中小労組を中心に変化の兆しがあります。

 青年・学生にも、生活を守り政治変革を目指す運動が芽生えています。

 財界など支配層の一部も、トランプ再登場に動揺を深め、一部は「対米従属政治の修正」を決意しつつあります。

 ただ戦後、米国市場と米ドルの支配下にあったわが国支配層による「独立」は中途半端で、欺瞞(ぎまん)的なものにならざるを得ません。

 それでも支配層の動揺の深まりは、広範な国民運動を発展させる上で有利な環境です。

 わが国の独立をめぐり、「中国に敵対する政治・軍事大国の道」か、「独立・自主でアジアと共生する国民大多数のための道」かという「二つの路線」が、客観的に争われています。

 保守層の一部までも含む国民的戦線をつくり、独立・自主の政権を目指す条件は拡大しています。労働者階級はその中心勢力として、政権を目指そうではありませんか。

労働党に結集して闘おう

 労働党は、現状の打開を求める労働者をはじめ、国民諸階層の闘いを断固として支持します。

 労働党は、労働者階級に依拠した、戦略観のある革命政党たらんと今後とも奮闘します。

 労働者の皆さん!

 当面、中国との再度の戦争を避けようという世論を高めるため、運動を巻き起こしましょう。これは現在、国の進路をめぐる第一級の課題です。

 併せて、立ち上がりつつある農民の闘いを支持し、売国農政を転換させましょう。

 沖縄県民と連帯して、不平等な日米地位協定の抜本改定を求める闘いを全国で繰り広げようではありませんか。

 「戦後80年」に際し、侵略と植民地支配の歴史を再確認し、歴史歪曲(わいきょく)や排外主義扇動と闘いましょう。

 深刻な国民生活を打開するための闘いを強めましょう。

 世界は、資本主義的生産様式が変わらざるを得ない「社会革命の時代」となっています。

 労働者階級・人民は政治権力を握り、社会主義・共産主義を目指そうではありませんか。それは、労働者階級に課せられた偉大な歴史的任務です。

 日本では、対米従属政権を打ち倒して独立・自主の政権を樹立してこそ、社会主義に向かって前進できます。

 日本労働党に結集し、共に奮闘しようではありませんか!

第96回メーデー万歳!

万国の労働者、被抑圧民族は団結せよ!

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