地方政治

市内再開発、日中不再戦、農業を課題に 住民生活・営業と平和を守る(神奈川県綾瀬市議会議員・越川好昭)

 神奈川県綾瀬市議会議員の越川好昭です。無所属無会派で活動しています。

 綾瀬市は神奈川県中央部に位置し、隣接する大和市にまたがって厚木基地があります。県内4番目に製造業の事業所が多く2021年3月、鉄道駅がない市内に東名高速道路の綾瀬スマートインターチェンジが開業、東京都心に1時間で行けるようになったことが特徴です。

 このことを背景に、私は現在、三つの課題を中心に活動しています。

ショッピングセンター開発で買い物が不便に

 一つは、市役所周辺の中心市街地活性化についてです。

 市役所の周辺には、市が中心となって区画整理をしてつくり出した住宅地と商業地があり、隣接して文化会館、中央図書館、中央公民館、老人福祉施設があります。そして市はこれまで、県道を挟んでこれらの施設の向かい側に「道の駅」を整備しようと進めていました。

 ところが、昨年の市長選挙で市長が交代しました。現市長は前市長が進めていた道の駅整備の見直しを掲げて当選しています。現在、道の駅の見直しと老朽化した図書館、文化会館、中央公民館等の建て替えを含めて民間業者に活性化案の提出を求め、それを参考にして中心市街地の活性化を図ろうとしています。

 中心市街地の活性化策は、前市長の時にもありました。これまであったショッピングセンターが敷地の賃貸契約期間の延長を希望していたにもかかわらずそれを断り、旧ショッピングセンターに隣接していた消防庁舎跡地の利用も含めた新たなショッピングセンターを誘致したのです。旧ショッピングセンターが賃借していた敷地の3分の1は市の土地ですので、市の責任は大きなものがあります。

 旧ショッピングセンターには一つの建物の中に食料品スーパー、複数の衣料品店や家電販売店、複数の食堂、フードコーナー、写真館、書店、手芸店、靴店などが入っており、隣接するホームセンターには2階通路で渡れるようになっていて、市民の買い物場所やくつろぎの場所となっていました。ですが、新たなショッピングセンターでは食料品スーパー「ヤオコー」、ユニクロ、家電販売店、ホームセンターがそれぞれ別の建物になっていて、移動が不便になりました。書店や食堂、写真館、手芸店、靴店などはなくなり、買い物も不便になりました。

 新たなショッピングセンターを誘致する際、最後のプレゼンテーションには2社が残ったのですが、その当日、突然一社が辞退する中でプレゼンが進められ、結局残る一社となったヤオコーが新たなショッピングセンターづくりを進めることになりました。

 この進め方については、プレゼンが一社になった段階で競争が働かなくなったので、やり直しが妥当ではないかと議会でも問題にしたのですが、市は「問題はない」としています。また、新たなショッピングセンター構想は市民にとっては買い物が不便になるので見直しが必要だと取り上げましたが、市はこれも「買い物が便利になる」と強弁して、見直しは行いませんでした。

 新たなショッピングセンターをつくるに当たっては、旧ショッピングセンターを解体して、新しい建物を建てることになります。これも無駄なことですが、市はそんなことにはお構いなしに事業を進めています。

 また、新たなショッピングセンターをつくる際、隣接する中央図書館をショッピングセンターの中に入れることが計画にあったのですが、ヤオコーから断られ、実現しませんでした。

 これまでの経緯を見ますと、市は市民の買い物の利便性を優先するのではなく、誘致した企業の利益を優先しているように思います。

 同じようなことが今回の中心市街地活性化事業でも行われるのではないかと懸念しながら、企業の利益中心ではなく市民の利便性向上を求めて注視しています。

日中不再戦、基地の早期返還、日米地位協定の改定を求める

 市内には隣接する大和市にまたがって厚木基地があり、市内面積の %を占めています。市と市議会では「厚木基地に関する要望」を毎年国に対して出しており、その中で基地の早期返還、日米地位協定の改定を求めています。

 一方で市は、基地がある間はそれとの交流を深め、基地を観光資源、英語教育資源として使うとしています。私はこれに反対しています。さらに近年、私には厚木基地の危険性がますます高まっているという危機感があります。

 厚木基地では昨年から今年にかけていくつかの多国間共同訓練が行われ、米軍以外にもオーストラリア軍、ニュージーランド軍の哨戒機が利用しました。それらの兵隊も基地内に宿泊しています。米軍と自衛隊では、南西諸島での負傷者を後方に搬送する訓練や、自衛隊の対空ミサイルPACー3を米軍輸送機に積み込むための準備訓練が行われています。

 市と市議会が基地の早期返還と日米地位協定の改定を求めている主な理由は、基地がまちづくりの阻害要因になっていること、厚木基地の航空機騒音被害があること、航空機の部品落下事故などの危険があることなどですが、私はこれに加えて、次のことを議会で訴えています。

 米国と日本政府が中国との戦争を前提として自衛隊を強化し、日米共同訓練を強化しており、米国と日本の出方によっては日中戦争にもなりかねない。そうなると、厚木基地を抱える綾瀬市は攻撃対象となり、市民に生命・財産の危険が及ぶことになる。日中戦争にならないようにするためには国に対して軍備増強ではなく、中国との外交対話を重視することが必要と、市としても要望すること。基地の早期返還はますます必要となっているということです。

 そして、中国との戦争を避けるためには市民、県民の間で「日中不再戦」の世論を高める必要があると思いました。そこで、同じく基地を抱える大和市と座間市、基地はありませんが伊勢原市の市議の仲間と共に今年2月、「日中不再戦神奈川自治体議員ネット」を結成し、孫崎享・元外務省国際情報局長に記念講演をお願いしました。講演会では、水野もと子参議院議員が来賓あいさつ。5人の国会議員がメッセージを寄せ、3人の国会議員が顧問になりました。これからはこれらの皆さんと共に訪中団の派遣をはじめ講演会・学習会など、「日中不再戦」の世論を高める活動をしていこうと思っています。

「令和の百姓一揆」に参加、食料自給確立を求める仲間を広げる

「令和の百姓一揆」に参加した越川議員(最前列右)

 綾瀬市はかつて「高座豚」というブランドで養豚が盛んで、日本養豚協会の会長を輩出していました。現在でも野菜を中心に、農業が続けられています。農業振興は市の重要な政策の一つで、道の駅づくりもその一環でした。

 全国の例に漏れず綾瀬市でも、農業耕作者の減少と後継者不足の問題が出ています。昨年の夏以来、コメ価格や野菜価格の高騰が話題になっていますが、その原因の一つに、農業耕作者の減少と後継者不足の問題があります。市内の農家からも、「あと5年もしたら農業耕作者がいなくなる」という危機感を持った声が上がっています。

 そんな中、3月 日に東京で「令和の百姓一揆」がありました。同じく農業と食の問題に関心がある自治体議員の仲間数人と参加しました。この取り組みには県内の自治体議員4人がスタッフとして参加しており、エールの交換をしました。当日は小田原市から参加した農家や県内の消費者とも知り合いになり、一緒にデモ行進をしました。

 その中の一人から、小田原市での、山田正彦元農水相と小田原市長等とのパネルディスカッションの取り組みを紹介され参加したところ、「令和の百姓一揆」に参加した農家と再会しました。おかげで市議会議員5人とも知り合いになることができ、食と農業の問題はどこのまちでも課題になっていることを実感しました。

 私は「食料自給の確立を求める自治体議員連盟」に参加していますが、この仲間を増やすとともに、「令和の百姓一揆の会」会員としての仲間も増やすことで農家の所得補償を実現し、食料自給の確立の世論を高め、実現を図っていきたいと思っています。

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