あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
秋山議長がいくつかの点について述べましたので、なるべく重ならないようにお話ししたいと思います。
昨1年を見ても、世界が激変した年で、誰でもそう言っています。グローバルサウスが非常に台頭していることは、大体皆さんおっしゃる。それがどういう意味をもつのか、日本がどう国の舵(かじ)取りをしていくかについて述べ、さらに、私たち労働党の決意を述べさせていただきます。
資本主義の危機と世界の構造変化
皆さんもご存じのことと思いますが、G7と言われる国々が世界を主導してきたが、これがある意味終わった。それに対して中国を含むグローバルサウスが大きな役割を果たすようになってきた。ウクライナ戦争は泥沼化しています。さらに一昨年10月以降のパレスチナでの虐殺、これらの過程を通じて、先進国の衰退とグローバルサウスの台頭は一段と強まっています。
昨年のことで注目したいのは、ロシアのカザンで行われたBRICS首脳会議です。最近インドネシアが加盟してBRICSは10カ国になりましたが、この首脳会議について不思議なことに日本のマスコミはほとんど報じていません。「カザン宣言」を読みますと、非常に広範なことが書いてある。地球環境問題、それから生成AI(人工知能)の活用問題、自由貿易体制の問題等々ですね。
思い起こしていただきたいのですが、G7首脳会議では「世界をこうすべきだ」と、彼らなりの見解を出すわけです。BRICSによる「カザン宣言」はそれと違った形で、事実上、自分たちが世界のあり方について主導していく意思を宣言した。そういう性格があると思います。
注目すべき中身として、独自の決済システムの問題を提起しています。「米ドルに代わる」とは明言しておりませんけれども、ロシアがウクライナ戦争を契機に制裁され、SWIFTという国際決済網から排除された。これが大きな要因になったわけです。米国は戦後、軍事力とドルで世界を牛耳ってきた。BRICS諸国はこれと違うシステムをつくろうとしている。時間がかかるかもしれませんが、非常に注目すべき動きです。
その他、上海協力機構やASEAN(東南アジア諸国連合)など、グローバルサウス諸国によるさまざまな地域システムが存在感を高めています。G7、つまり帝国主義が主導した世界は、末期に来ています。
さらに例を挙げますと、2022年、ケニアの国連大使が、「アフリカ諸国の国境線は自分たちが引いたのではない。ロンドンやパリ、リスボンで引かれたものだ」と、公然と言い放った。
それから、英国の旧植民地で構成される英連邦サミットで昨年、英国がかつて行っていた奴隷貿易に対する謝罪と補償を要求するという声が公然と上がりました。英国は補償を拒否したものの、議論には応じざるを得ない。
帝国主義はもはや、グローバルサウス、旧植民地諸国、発展途上国を思うようには支配できなくなったと言えます。
その先頭を走っているのが、間違いなく中国です。不動産バブルの問題など、いろいろ難しい問題もあるようですけれども、「特色ある社会主義」を目指して客観的に台頭を強めています。中国自身が自国を強め、国際的な存在感を高める——それは中国の皆さんの意思ですから、成功することを願っています。併せて、全世界の労働者階級の解放の問題にも、関心を寄せることを希望しています。
トランプ政権の再登場など、階級矛盾の激化
グローバルサウス中心の世界になり、経済面でも先進諸国は押され気味です。
例えばEV(電気自動車)では、比亜迪(BYD)という中国メーカーがトップです。日本市場でも存在感を高めている。帝国主義は劣勢となり、それは帝国主義国の政治に跳ね返り、矛盾を激化させます。
ただでさえ、リーマン・ショック後の危機、コロナ禍、ウクライナ戦争を契機に著しくなった世界的物価高、これらが世界の貧困層を襲い、生活は極度に悪化しています。
特に、帝国主義の頭目である米国では、トランプ政権が再登場しました。日本のマスコミは「トランプ政権が登場して社会的分断が強まる」という趣旨で報じています。実際は、トランプの再登場そのものが「分断の結果」です。トランプ政権がそれを加速させる、より深刻化させるであろうことは間違いありません。
第2次世界大戦直後、米国は世界のGDP(国内総生産)の約4割を占める唯一の超大国だった。日本や西ドイツの追い上げ、ベトナム戦争などで徐々に衰退し、国内の製造業もだんだんなくなった。特にクリントン政権以降は、金融で稼ぐ国になったわけです。当然、「格差」は開いていった。だいぶ省いて述べましたが、そうした流れのツケが爆発したのがリーマン・ショックだったわけです。貧困層は家を失って街頭に放り出された。
オバマ政権は、こうした人びとの不満を吸収する形で大統領になったわけです。ですが、やったことは巨大金融機関の救済です。だから「ウォール街を占拠せよ」と、人びとが立ち上がった。
2016年のトランプ政権は、そうして失望した米国民を、「米国第一」と言ってひきつけて登場しました。皆さんはびっくりするでしょうが、大真面目に「共和党は労働者階級の政党」と言い、没落した白人労働者の支持を受けた。
もちろん、トランプ政権は「ウォール街」と軍需産業・軍人のための政権で、労働者のための政治を行うはずもありません。トランプ政権、バイデン政権下で米国はコロナ禍に襲われ、世界でいちばん多くの人びとが亡くなりました。
今回、トランプは「ラストベルト地帯」と呼ばれる地域の労働者だけでなく、もう少し幅広い人たちの支持を吸収して勝利しました。逆に言えば、それほどまでに米国社会の矛盾が深刻化し、バイデン民主党政権への不満と怒りが高まっていた。
トランプは大統領になる前から、デンマークに「グリーンランドをよこせ」と言ったり、「パナマ運河を返還せよ」、果ては「メキシコ湾ではなく米国湾だ」と言ったりしています。
一見するとむちゃくちゃですが、それほど米国には余裕がなくなっています。国内の階級矛盾を緩和し、世界で覇権を握るため、もうなりふり構わないということです。
ヨーロッパでも英国やフランス、ドイツなどで政権が変わり、あるいは不安定化しています。つまり、物価高などで苦しむ人びとが、どういう政党を支持したかという問題はあったにしても、政権与党に反対する1票を投じた。あるいは、さまざまな課題でデモやストライキに立ち上がっています。
つまり、人びとはこのままでは生きていけないという状況に立ち至ったわけです。支配階級の側も人民の抵抗を受けているだけでなく、グローバルサウスにも追い詰められている。闘う勢力にとって非常に有利な情勢であることを強調しておきたいところです。
対米関係と生活危機に揺さぶられる石破政権
トランプ政権による対日圧力の強化
さて、日米関係はどうなるだろうか。トランプ政権に代わり、まず安全保障の面では日本は「対中国」でいっそう矢面に立たされる。
経済面では、直近のUSスチールの問題に表れているような状況が進むと思います。なぜUSスチールの問題に注目するのでしょうか。バイデン政権が日本製鉄によるUSスチールの買収を阻止したのは、「安全保障」を理由にしています。軍需用の鉄は、外資より自国企業から買いたいのは当然でしょう。
ですが、日本企業が米国の安全保障に関わる企業を買収したのは初めてではありません。例えば、東芝が原子力発電所のウェスチングハウス・エレクトリックを買収しました。明らかに、安全保障に関わる企業ですよね。ソフトバンクがスプリント・ネクステルという携帯電話の会社を買収したこともあります。通信も、安全保障に関わる重要産業です。ソニーが映画会社のコロンビアを買収してもいます。これも米国からすれば、戦略産業を日本に買われたということです。以前は許し、今回は認めないということですから、それほど米国は余裕がなくなっているということです。
実は、日本製鉄は中国の宝山鋼鉄との合弁事業を解消して、一方でUSスチールの買収に乗り出した。日本製鉄自身の経営戦略はあるでしょうが、宝山鋼鉄は日中関係の象徴だった。山崎豊子さんの小説『大地の子』でも描かれていますが、これを手放してUSスチールの方に行こうとしたら駄目だったということです、日本製鉄は米国政府を相手取って裁判をやると言う。なかなか容易ならざる事態です。
安全保障面での要求も強まります。国防次官への就任が予定されているエルブリッジ・コルビーは、『拒否戦略』という厚い本と、それを簡単にした『アジア・ファースト』という新書を出しています。
コルビーは、中国に反対する連合を「反覇権連合」と呼んでいます。日本はそこで中心的役割を果たせと言い、そのために「防衛費をGDP比3%に上げろ」「米軍と自衛隊を統合しろ」など、さまざまな要求を書いています。
一部は既に実行されています。セキュリティークリアランスや、サイバー対策も昨年末ぐらいから動き出しています。日本は「拒否戦略」に追随し、米国の先兵となって中国に対峙(たいじ)させられることが、一段と強まっていくということです。
ただ、これがうまくいくのかと考えますと、これは歴史の歯車を逆に回すものです。米国が何をしようが、グローバルサウスが主導的な地位を占める世界です。それにもかかわらず、米国は「米国第一」と言い、日本に奉仕しろと言うわけです。世界の流れに反するものと言わざるを得ないですね。うまくいくはずがない。
もう一つ面白いのは、最近の韓国での出来事です。尹錫悦政権が戒厳令を出したが、ものの見事に粉砕された。尹政権になり、日本の支配層は「日韓関係が改善した」と歓迎していました。韓国が慰安婦問題など「うるさいこと」を言わなくなったと胸をなでおろしていたのは、ひとえに尹大統領のおかげだったのです。韓国与党の中でさえ「あれでいいのか」という声はありました。
その尹政権が、ものの見事に吹き飛ばされた。中国を包囲する同盟は痛手を受けたと言ってよい。敵がズッコケたわけですから、日本でも国民の力で、米国の先兵となる道を阻止する闘いを盛り上げていかなければなりません。その道こそが歴史の流れです。
さて、昨年の総選挙で自民党が大敗し、戦後の対米従属政治も末期になった。
言うまでもなく、日本の対米従属は戦後に発生したわけです。長々とは述べませんが、国民生活・国民経済は犠牲にされてきた。大企業が儲(もう)かりましたから分け前をもらった人もいるでしょうが、それはわずかなことです。
典型は農業です。米国の度重なる市場開放要求によって、日本農業は青息吐息で、放っておけば、あと10年どころか5年間もつのかという事態です。中小商店も規制緩和などでたくさんつぶされ、商店街は「シャッター通り」ばかりになった。大企業も、半導体産業に見られるように、米国の不当な要求でつぶされ、あるいは競争力を失った産業はいくつもあります。
それにもかかわらず、対米従属政治がなぜ続いたのか。全体としては、日本の大企業、多国籍企業は、米国市場あるいは米国の庇護(ひご)のもとで、米国とアジア市場で利益を得られたからです。中東などでも、米国が軍事力でにらみを利かせるので「安全に」商売ができた。対米従属政治の下で儲かってきたわけですから、これを手放すわけにはいかない。
今なお、日本の直接投資残高の一番の国は断トツで米国です。中国を含むアジア地域が大体これと同じ額です。ヨーロッパ全域もほぼ同じ額です。ということですから、日本の大企業は米国市場を失うわけにはいかない。そのためには、米国のむちゃくちゃな要求も聞かなければいけない。自民党はそれを受け、「国民の皆さん、犠牲になってください」と、戦後政治をやってきた。
そんな経過ですが、これを続けたら国民生活は成り立たないところまで来た。農業は、産業自体がなくなるところに来ています。日本製鉄のことに触れましたが、大企業の利益さえ脅かされるようになった。
当然、財界を中心とする日本の支配層は動揺せざるを得ない。対中国はもちろん、対アフリカや対中東外交のようなところにも影響せざるを得ない。
私たちとしては、米国の片棒を担いでアジアに敵対する戦争の道、中国との再びの戦争、これを阻止する課題を重視していきたいと思います。
明治以降の国づくりも見直しが迫られている
もう一つ、戦後80年、敗戦80年を迎えます。「対米従属80年」と言ってよいかもしれません。グローバルサウス、かつての植民地諸国を中心とする世界に変わってきたもとでの戦後80年です。
日本はこれらの国々とどういう付き合い方をしていくのか。対米従属の政治は限界ですから、本当の独立・自主が必要ですが、アジアとの関係ではどうだろうか。それが戦後80年で焦点化せざるを得ないですね。
一つ謎かけのようなことなのですが、よく「戦争に対する反省」とか「謝罪が必要」と言いますよね。それはその通りですが、その戦争って「どの戦争?」と聞いたとしましょう。私は中学・高校でどう教わったかというと、アジアへの侵略は戦争ではなく「事変」です。戦争は太平洋戦争のことです。これは4年間ですから、これへの反省となると、「米国みたいな大国と戦争しないように、原爆を落とされないようにおとなしくしよう」という結論にしかならない。事実、戦後日本の多数派世論はそうなった。
私の場合、この活動に加わってから「15年戦争」という概念を教わった。哲学者の鶴見俊輔さんが1956年ぐらいに言い出したらしい。31年の満州事変(柳条湖事件)から太平洋戦争が終わるまでの15年間の戦争と言ったわけです。こう捉えると、中国に対する侵略戦争が米国との戦争に導いたという流れになりますから、その最初を反省すべきとなるわけです。
これには積極面がありましたが、不十分な点もあった。なぜなら、朝鮮半島に対する態度がすっぽり抜けているのです。法政大学の愼蒼宇(シンチャンウ)さんが『朝鮮植民地戦争』という本で、日本の侵略戦争は甲午農民戦争(東学党の乱・1894年)、つまり日清戦争の引き金になった朝鮮での農民反乱に始まるという。このときに日本は朝鮮半島に軍隊を送り、5万人といわれる人びとを殺しています。愼さんは日本の侵略は本格的にはそこからだと言っています。この考え方に立つと、日韓併合(1910年)や三・一独立運動(19年)への残虐な弾圧を含む「50年戦争」ということになります。
もうちょっと時計を戻すと、明治維新直後に台湾に軍隊を送っています(1874年)。その翌年、李氏朝鮮の開国を要求して江華島事件を引き起こしています。こう考えると「70年戦争」です。
列強がアジアで市場争奪を強めるなか、アジアとともに帝国主義に抗するのではなく、帝国主義の「仲間入り」で争奪に加わり、アジアを収奪・支配する進路を選んだ。結果、ずっと戦争を続けてきた。ちなみに、台湾出兵で巨利を得たのが、後の三菱財閥です。
どこまでさかのぼって反省するのかという問題はあったとしても、明治以降の日本の侵略戦争と植民地支配の歴史についてきちんとした態度をとらなければなりません。戦後日本の80年は、「対米従属の傘」の下、日本はアジア諸国・人民と正面から向き合うことを避け、侵略と植民地支配を反省しないまま、抑圧と蔑視を温存した80年間だった。日本がこれを転換しない限り、グローバルサウスが登場する世界で生きていけるのだろうか。
グローバルサウスが優勢となった世界で、日本はこれらの諸国と結びつき、植民地支配、帝国主義の世界支配自身を問い直す態度をとるべきです。日中共同声明、村山談話や河野談話を継承するのはもちろん、奴隷貿易への謝罪と補償を求めるなどの、グローバルサウスの要求を支持する進路を目指すべきです。
朝鮮半島との関係では「日韓基本条約締結60年」でもあります。韓国政府の主張通り、併合と植民地支配の「不法・無効」を宣言しなければなりません。朝鮮民主主義人民共和国との即時無条件での国交正常化も必要です。
政局の見通しなど
最後に政局の見通しについて触れます。今年も選挙の年です。夏には東京都議選がありますし、参議院選挙は間違いなくある。もしかすると衆参ダブル選挙です。
石破政権どうなるか。石破首相は「日本の独立を目指す」と、地元の鳥取で述べています。できるでしょうか? 石破首相の主観的願望はあるとしても、現実の日米関係の下で、対中国の戦争体制準備が着実に進んでいます。
国民生活はひどいものです。物価高、増税、社会保障制度の改悪、劣悪な医療介護制度など、枚挙にいとまがない。金権腐敗も著しい。皆さんも実感しておられるはずです。
昨年の衆議院選挙でも、国民の不満はさまざまな形で表れていました。都知事選の「石丸現象」もそうです。SNSがそれを助長したことは間違いないけれども、本質的には国民の要求、願いに応えない政治に対する不満の表れです。とくに、青年層の不満と怒りです。ある意味、米国やヨーロッパと同じです。私たちはそこに目を向け、以降も闘っていかねばならないと思います。不満と怒りをひきつけ、組織するのは誰なのかが問われています。
沖縄県民の皆さんは昨年の12月末、女性暴行事件に対して県民大会を開いて闘っています。また最近も暴行事件が明らかになりました。米軍基地を撤去させない限り片付かないことは鮮明だと思います。辺野古新基地建設反対、奄美大島などからの土砂搬出を許してはなりません。
西日本の各地でも、ミサイル配備等の戦争準備に対する闘いが広がりつつあります。「対中国」の前線基地化が進み、南西諸島では住民が生活を営む生地(せいち)での演習が強行されています。
年末には、島根の農民の皆さんがトラクターデモを行い、食料自給率を上げろと訴えた。大変素晴らしいことだと思います。対米従属政治のもとで耐え切れない、このままでは日本の農業がなくなるという危機感に駆られた決起です。
労働運動でも、数年前にそごう・西武労組のストライキが注目を集めましたけれども、最近でも大阪のJAMグンゼSOZ労組の闘いがありました。経営母体が投資ファンドなどに売却される中で、労働者に犠牲が押し付けられることへの闘いです。言うまでもないことですが、実質賃金はどんどん下がっているわけですから、25春闘にも注目し、大幅賃上げを要求して闘うことを呼びかけたい。
これらを反映して、政界再編、政党再編が避けがたい局面、いつ起きてもおかしくない状況になっているということだと思います。
私たちはそういう中で、独立・自主の旗を掲げて闘ってまいります。その条件は広がっていると確信しているところです。
労働党と共に「次の社会」へ
最後に、労働党の話をしないといけません。世界資本主義は末期で、容易ならざる局面に来た。対米従属政治も末期です。ですから、根本的に転換させることこそ歴史の大道であると思います。
皆さんよくご存じの斎藤幸平・東京大学准教授が「革命の書」と絶賛しているカナダ人ジャーナリストのナオミ・クラインさんによる気候変動に関する本『地球が燃えている』は、「社会主義か、絶滅か」と書いています。気候変動はもうどうにもならなくなっている。社会主義、つまり資本主義でない社会にして生産を管理しない限り、人類は絶滅すると言っているわけです。クラインさんの言う「社会主義」、斎藤幸平さんの「革命」がどのようなものかという問題はあるにしても、ある意味で当たっていると思う。
気候変動問題ひとつを取り上げるだけでも、私たちは、私的所有に基づく資本主義が末期を迎え、社会的生産に見合った所有形態に置き換えない限り人類史が前進できない、継続できない、そういう時代に生きています。
闘う勢力にとっては非常に有利な情勢ですから、さまざまな運動を発展させねばなりませんが、政権を目指す。さしあたっては対米従属政治を打ち倒して独立・自主でアジアと共生する、国民大多数のための政権の樹立を目指します。併せて、労働党はその先に社会主義、共産主義を目指しています。
「社会主義」という言葉には、残念ながら手垢(てあか)がついているというか、偏見もあります。「何主義」と言うかはともかく、少なくとも、資本主義の「次の社会」が求められていることは間違いないでしょう。そう言えば賛同する人は多いのではないでしょうか。
「次の社会」が、具体的にどうなるかはまだ分かりません。それは、心ある皆さんと討議してつくっていきたい。「共同の努力」として申し上げたい。これはある意味で国際的な課題だとも思うのですが、とりあえずは日本の国内で頑張っていきたい。
そのためには革命党が必要です。私たちはそういう党を目指して努力しているところです。
私たち労働党は、日本の実情を鑑み、「米国帝国主義の支配・圧迫・干渉を一掃し、わが国の売国反動派を打倒して、国の完全な独立・自主の確立と国内での政治、経済、社会における徹底した民主主義を打ち立てる人民民主主義革命を経て、連続的に社会主義社会を建設する」ことを目的にしています。
これはこんにちでも変わりませんし、ますます求められている、存在価値が高まっていると思っています。
共産主義の革命政党は、何か特別なことをやろうとしているわけではありません。労働者階級の利益と離れた利益は何ひとつない。労働者は、生きるために自分の労働力を売る以外にないわけですから。その実際に関心を寄せ、結びつき、あらゆる反政府運動を支持して、それを発展させるという態度を堅持します。
労働運動の変化もそうですが、青年・学生たちの運動の現場に行きますと、私たちの手垢のついたスタイルとは全く違う運動が取り組まれています。心配なところもないわけではありませんが、彼らの意欲とエネルギーを信じ、尊重して、それを発展させることに尽力すべきです。そういう観点を改めて強調しておきたい。
もう一つ、私たちのような党は現在の運動でなく未来を代表するということです。当面してのさまざまな要求だけではなく、むしろ未来を代表している。根本的に打開するために何が必要なのか、その道を推進する勢力でありたいと思っています。
そのために弁証法的唯物論、唯物弁証法、史的唯物論などマルクス主義の観点ですね。それを堅持して闘っていきたい。以上は私たちの基本的スタンスということで説明させていただきました。
当面して、独立・自主の政権を目指して日中戦争を阻止する。それを起こさせない闘いを広範に繰り広げたいと思っています。これと結びついているわけですが、戦後80年を期した取り組みを進めたい。アジアと共生する歴史認識の確立の重要性は、すでに述べたとおりです。「中国敵視」の世論に抗する意味でも、さまざまな団体による中国訪問をお手伝いし、大規模に進めたい。
それと、沖縄での暴行事件で改めて明らかになりましたが、極めて不平等な日米地位協定を抜本的に改定する運動を強めたい。石破首相だって「日米地位協定の改定」と言っています。そうならば、やっていただこうじゃありませんか。石破首相がそう言っているのは、われわれには有利な環境ですから、まやかしの「運用見直し」とかではなく、抜本改定に向けた世論と運動を強めたいと思っています。
もう一つ、すでに触れた生活再生のためのさまざまな課題に取り組みたい。
いずれにしても、私たち労働党をもっと大きくしないといけないと思っています。
歴史的な時代です。そういった時代に生きているという意味で、私たちの存在意義があると思っています。現状のままでは生きていけない労働者の皆さん、労働者でなくても今の政治を変えなければいけないと思っている人びと、何よりエネルギーにあふれる青年・学生の皆さんに、ぜひとも労働党に結集して共に闘おうではないかと呼びかけたい。
以上、新年に際しての日本労働党からの訴えをさせていただきました。
ぜひ今年も団結して闘い、戦線を広げ、党を前進させていきたいと思っています。一緒に頑張りましょう。ありがとうございました。