沖縄県女性団体連絡協議会(女団協)は、相次ぐ米兵による性暴力事件に抗議する県民大会開催に向けて、女団協が主体となった実行委員会を結成した。12月22日に沖縄市民会館で開催する。これまでに米軍・米兵による事件・事故や過重な基地負担をなくすために開催されてきた県民大会だが、女性が主体となって開催するのは初めて。県民大会開催の目的や経過などについて女団協の伊良波純子会長に聞いた。(文責編集部)
私たち女団協は、男女共同参画社会の実現、女性や子どもの人権が守られ安心して暮らせる社会を実現することを目的に活動しています。1967年に発足した当初は婦人団体連絡協議会という名称でしたが、その後、女性団体連絡協議会に変更しました。私は2023年5月の総会で会長に就任しました。
復帰前には、すさまじい物価高騰に反対する中央要請行動などに、また復帰後の現在は、女性や子どもの権利を守り、男女共同参画・ジェンダー平等の活動に取り組んでいます。
女団協はJA女性部や商工会、労働組合など21の女性団体で構成しています。そのため、物事を決めるときには全会一致が原則です。1団体でも反対がある課題は取り上げないことにしています。
女性の人生変える性暴力
今回の米兵による事件は、16歳未満の少女に対する誘拐・性的暴行事件で、本当に許せません。
性暴力は、被害者の心と体に大きな傷を残し、人格や暮らしを180度変えてしまうほど、女性の人権と尊厳を蹂躙(じゅうりん)するものです。それを思うと本当に心が痛く、絶対にもうこんな事件が起きてほしくない。
加えて、今回は事件を政府が隠蔽(いんぺい)したことに、県民は猛烈に怒っています。県や市町村などに知らせない間に同様の事件が3件も発生しています。私たちは事件の隠蔽に対しても外務省沖縄事務所に強く抗議しました。
米兵が、異動の途中に沖縄で事件を起こして次の赴任先に逃げてしまう事件は時折聞かれます。まるで「沖縄では罪に問われない」などと米軍内で言われているかのようです。
内地の米軍基地周辺でも同様の事件が発生しているはずですが、事件が少ないことで、逆に被害者は声を上げづらいのではないでしょうか。
沖縄の事件をきっかけに、全国で「日米地位協定は改定すべき」という運動が広がることを期待しています。
大会開催決定までの経過
6月に事件が発覚し、7月初めに抗議行動をしました。その後、いろいろな団体から県民大会をやりたいと声が上がりました。
女性団体としては比較的大きな団体である女団協が、賛同団体と一緒に、7月29日に県議会議長宛てに県民大会を開催してほしいとの要請書を提出しました。その後、五輪や選挙などで議会からの返答は先延ばしになり、4カ月目の11月18日になって県議会が実行委員会への参加を見送ったとの結論を知りました。県議会意見書が党派を超えて全会一致で採択されたことを踏まえると、とても残念な結果です。
私たちがヤキモキしながら待っている間も、「小さくてもいいから女性だけでやろう」との意見は多く、議会の返答結果にかかわらず予約していました。
11月21日に実行委員会準備会を行い、28日に実行委員会を結成します。21日の準備会では、「女性の声を反映させる、県民主体の県民大会にしたい」「いつもの県民大会のように政治家があいさつするのは最低限にしよう」「実行委共同代表は全員女性にしよう」などの意見が出ました。会場は定員が1500人ぐらいのため、離島で開くことも検討課題になっています。
今までは参加する側だったので、県民大会の準備は全く初めてです。いったいどうやったらいいのかと、手探りの状態です。
開催をめぐっては、男性から「一緒に取り組みたかった」「自分たちはいつから入ったらいいのか」などの意見も上がりました。女性たちから最初に声をかけた結果であり、私たちの呼びかけ方や広げ方が下手だったのかもしれません。
実際にこれまで県民大会を経験してきた平和運動センターやオール沖縄の協力を得ながら準備することになりそうです。男性の皆さんは裏方に徹することを引き受けてくださいました。
いつの間にか48も賛同団体が集まっているなど、大会の目的や意義は多くの人から支持を得ていると確信しています。それを胸に意義ある大会にしたいと思っています。
テーマカラーに込めた思い
賛同団体には、女性の人権を考える若い女性たちのグループがいくつか入っています。10月にスイス・ジュネーブで開催された国連女性差別撤廃委員会の日本報告審議に行き、ロビー活動や委員会傍聴をされた方たちも賛同団体にいます。これまでの大会にはない参加者です。
また、テーマカラーをミモザ色にして、大会当日は何か黄色を身に着けようとの提案があります。県民大会の会場に来られない方も、その日はカバンに黄色のリボンを付ける、あるいは自動車に一日ミモザ色のシールを付けるなど、連帯の意を示してほしい。
事件のことを多くの人に知ってもらいたいので、オンライン署名にも取り組みます。
次世代の女性たちに、昔から平和運動に取り組んできた女性たちの精神が受け継がれていくことはとてもいいことなのではないでしょうか。
さらに、県民大会当日はオンラインでつながりたいとの意見もあります。沖縄の仲間たちと内地や海外の仲間たちが一緒に、舞台のスクリーンいっぱいに映し出されて会場の参加者とつながりたいですね。
会場は小さいのですが、今回の県民大会の目的は女性の人権のために声を上げることです。オンラインで会場とつながり、ぜひ本土でも声を上げてください!