友党の皆さん、友人の皆さん、それから今日は若者も来られております。そして党員の同志の皆さんの日頃の活動に敬意を表したいと思います。党を支えていただいていることに、感謝申し上げたいと思います。
激動の幕開け、こんにちの内外情勢の特徴
さて皆さん、今年はまさに激動の年明けとなりました。2026年が大きな歴史的転機となることを予想させるかのような幕開けですね。
まず、米トランプ政権のベネズエラへの横暴な軍事攻撃とマドゥロ大統領の拉致という国家主権をないがしろにした蛮行。さらにグリーンランドの領有やイラン政権転覆の示唆等、昨年4月からの高関税圧力に加えて、自国利益優先の米国が世界秩序をこれまで以上にあからさまに破壊し始めました。
それに、昨年10月に発足した高市政権は3カ月の間に日中関係を一気に悪化させたうえに、支持率が高いうちにと、抜き打ち的に解散総選挙に踏み切りました。政権離脱した公明党と立憲民主党が合流して新党の中道改革連合がにわかに発足し、政党再編の新たな段階に入ったといえます。円安・物価高に苦しむ大多数の国民は置きざりにされています。排外主義的な言説が強まり、戦争の危機、生活の危機がますます進んでいます。
年初に起こったこれらの状況に対して、皆さんもこれをどう見たらよいのか、どう闘っていくべきか、強い関心を抱いていることと思います。
私たちは眼下で急速に進むこうした情勢に対して、やはり歴史的な大局観や時代認識が重要だと考えます。党首討論などではこうした時代認識がほとんど語られていませんね。
一言でいえば、世界は以前の米国中心の世界ではもうなくなった、ということです。そして、東アジア、日本の安全保障をめぐる重大な闘いが始まっているということです。

こんにちの米帝国主義の蛮行は国内矛盾の反映
米帝国主義はまさに末路を迎えている。それゆえの悪あがきでのたうち回り、戦後の世界秩序を自ら破壊している。それは米国内がもたなくなっていることがこの基礎だということですね。結果としてますます米国の衰退と孤立を深めることになるでしょう。
トランプ第一次政権は2017年に発足しましたが、その時に私たちは、トランプが歴史を変えるわけではない、むしろ「歴史がトランプを登場させた」と言った。米国の衰退はベトナム戦争から顕著になるわけですね。1980年代には日本、当時の西ドイツに追い上げられて国際競争力が衰え、製造業が大きく後退した。そして米国は資金循環、ドルを還流させるシステムをつくることによって金融、IT(情報技術)に偏重した産業構造によって経済を回し、米国全体でみれば他国から借金をして生きてきた。経常収支赤字は年々増えています。リーマン・ショックの時に累積した債務は2・6兆ドル、それが2024年には10倍の26・5兆ドル、GDP(国内総生産)に匹敵する借金をしている。当然世界最大の債務国です。
特に、今世紀に入ってから、製造業の衰退は甚だしかったわけです。2000年時点で約1500万人、それがこんにち約1000万人。要するに中国はじめ新興国に工場が移転した。そういう流れの中で米国内の製造業労働者が激減したわけです。それらが背景になって、そこにうまく働きかけてトランプ第一次政権が登場した。
その後、バイデン政権でも富裕層を富ませる政策で、クレジットカードや自動車ローンを払えない低所得者が増加、さらに格差が拡大したわけですね。
トランプ政権がまずやったのは関税攻撃ですよね。今日の新聞には、グローバルサウスの国々の米国からの輸入量が増えたと。高関税で脅しておいて、米国産の石油や大豆を売りつけたんですね。ひどいもの。それらも言わば「米国第一」で製造業や産業の再興を進めなければやっていけないということを基盤にしているんですね。
そして昨年末に出た国家安全保障戦略(NSS)では、ドンロー主義などと自ら言っていますが、いわば西半球に軍事力を集中する。かつてのモンロー主義とは違い、米帝国主義が衰退したが故に出してきたものといえます。ベネズエラに無謀な軍事攻撃を行い、その後キューバ、コロンビアですね、そしてグリーンランドの領有、それにイランの人民にけしかけて政府を打倒するというようなことを示唆する、そういうことをやり始めている。衰退ゆえに余裕がなくなった米国の帝国主義的な本質があらわになったのだと思います。決して強い米国ではない。これまでも中南米では1980年代にグレナダやパナマを侵攻しています。
9・11テロの際には、米国は朝鮮民主主義人民共和国、イラン、イラクを「悪の枢軸」と言って、アフガン戦争、イラク戦争に踏み込んだ。イラク戦争はしかも大量破壊兵器がない大義なき戦争で政権を転覆したうえに50万人が犠牲になり、その後の中東を泥沼にした。アフガンからも最終的には米軍のぶざまな撤退となった。要するにそうした軍事介入をして制圧するということはほぼ不可能になった。国家財政の上でも、国民感情の上からも国内がもうもたなくなったからですね。大量に軍隊を派遣することはできなくなっている。
だから、今回のベネズエラでは用意周到にやったと言われている。インテリジェンス、いわばスパイをいろいろ配置していたわけですよね。夏ぐらいからさまざまなことを始めて、そういう中で空爆を行い、大統領を拉致する。そういう手法でしかもう米国はやれなくなっているという面もあるというふうに思います。昨年のイランでも同じやり方ですね。
米国の国際的地位の低下のなかで、国内矛盾が強まって一期目のトランプが登場した。今度の、トランプの第二期では、その国内矛盾が今度は米国の外交、対外関係として表れているのが特徴だと思います。トランプの関税や国家安全保障戦略として矛盾が転化したといえます。トランプは、要するに11月の中間選挙での勝利を目指して、国内対策としてさまざまな政策を行っている、国内を見て、あるいはMAGA(米国を再び偉大な国に)派といわれる自らの支持層を見て、外交や危険な軍事での賭けをやっていると思います。
そして、ベネズエラ攻撃に対して当然、中南米の大国であるブラジルを中心に5カ国が非難声明を出し、反米を強めています。
国家安全保障戦略では、ヨーロッパを徹底して軽視して、グリーンランドの領有問題を本気で進めればNATO(北大西洋条約機構)それ自身を崩壊させかねない。当然ながら米欧の亀裂、帝国主義間の矛盾として発展する。
つまり、こうした事情で、米の衰退と世界的孤立が一層強まることになる。それから国内矛盾も深まっていくであろうということですね。
最高裁ではですね、トランプ関税が「違憲」という判決が出されるかというような形になって、もしそうなった場合は大変なことになるんですね。これらがあります。
だから、国内に対する弾圧も激烈になっているんですね。ICE(移民・税関捜査局)が、いわゆる「不法」移民を取り締まり、強制送還することに対して、人民が闘っている。FRB(米連邦準備理事会)のパウエル議長の捜査などでも強権を振るっている。米国内を反動的に抑えていく、そういうことも強まっているわけですが、人民の側は、ますます反撃をするわけで、全体の趨勢(すうせい)からすれば米国内でも階級矛盾が拡大していく。
そうした中で新たな動きが始まっているというふうに思います。
それが最も象徴的だったのは、昨年、いわば世界の金融の頂点であるニューヨーク市の市長選で、社会主義を掲げるマムダニ氏が当選した。ニューヨーク市は、金融を使って詐欺師まがいにボロ儲(もう)けする億万長者、ザッカーバーグ(フェイスブック創業者)とか市内に超富裕層が世界最大の123人いるといわれている、その一方で貧困層が拡大している。そうした資産家が集まることで家賃は著しく高くなって、東京も家賃が上がり始めていますが、東京のだいたい5、6倍するらしいですね。マムダニ氏は、インフレで生活が厳しくなる中で生活支援を前面にして賃貸住宅の賃上げ制限や市営バスの無料化、保育無料化、高所得者層への増税など非常に具体的な政策を掲げて市長になったわけです。一つの大きな前進、展望を示すものだというふうに、われわれは考えております。
もちろん革命党がなければ社会主義に至ることはないわけですけれども、そうした階級矛盾がこれほどに先進国内部で高まっているということは重要なことではないかと思います。ヨーロッパで極右政党が急伸する背景としてはこれと同じですね。左派政党もその中でも登場しているわけですが。また日本の国内でも、参議院選挙での参政党の伸長なども同じで、日本も例外ではないと思います。
それにしても、このトランプの横暴さ、米帝国主義の末路の中で表れている悪あがきですが、これを押しとどめる力、それは全世界の米帝国主義に抵抗する国々、人民の運動の力ですが、やはり最後的には米国の労働者階級が政権を握る、そのことによって解決していくであろうと、われわれは長期に展望をしています。
グローバルサウスの中心・中国 対米関係でも戦略的な対応
このいわゆる米国を中心とする帝国主義の側に対して、その他の国々、いわばグローバルサウスと言われるそういう国々の側が趨勢としてですね、世界の流れをつくろうとしているということがもう一方の大きな特徴ですね。さらに、その中心国である中国が、対世界、対米関係で戦略的に対処をしている。
中国の対米での力関係は、いわば戦略的な防御から戦略的対峙(たいじ)の段階になったのではないかと私たちは見ています。これはもちろん、中国の方々が言っているわけではありません。われわれが言っていることなのですが。
この期間の経過を述べますと、まず昨年4月のトランプ関税に対して中国は直ちに報復関税で応えた。日本のように屈しませんでした。対抗した。それから9月3日の「中国抗日戦争勝利、世界反ファシズム戦争勝利80年」ということで軍事パレードを行った。習近平氏はプーチン氏、金正恩氏と並び立って式典を行った。その直前に行われた天津での上海協力機構(SCO)会合では、イラン攻撃への強い非難や、他国への内政干渉反対など、米国を意識して主権・独立の相互尊重などを打ち出した「天津宣言」が出された。SCOは拡大して26カ国が参加、人口でいうと世界の約半数、GDPで約2割、一昨年のBRICS拡大会合とともに世界の変化を物語るものです。
昨年10月の米中首脳会談でトランプは「G2」を言い出したわけですが、習近平氏はトランプ関税の大豆の輸入や、レアアースの輸出規制の1年延期を言って米国の圧力をいなした。関税問題では休戦をして中国の独自の国づくりに邁進(まいしん)することにした。今年4月や秋にも相互に訪問して米中首脳会談が開かれるそうですね。
その前に中国共産党の4中全会が開かれていまして、ここでは「第15次五カ年計画」ということで、「科学技術の自立自強」「人民の生活の質を上げる」など7項目ぐらい課題を挙げています。国家安全保障問題というのは最後、7番目に出てきているわけですが、それは要するに中国は中国独自の、自国の経済建設、人民の生活の安定、質を上げるという、国家目標を明確に持ってそこに全精力を挙げて邁進しようとしているということです。その目標を科学技術や先端産業を中心としたやり方でやっていこうということですね。
この米中の力関係についてですが、オーストラリアのローウィ研究所が毎年アジア太平洋地域27カ国・地域について、アジアにおけるパワー指数というのを出しているんです。昨年どうなったかというと、米国は一応総合点で第一位の80・4ポイントだが、だいぶ下がった。中国は73・7ポイントでかなりポイントを上げた。いくつかの項目で見ると、米国が一位の項目は「軍事力」と「経済力」。それに対して中国が一位の項目は「経済関係」とか「外交」といっている。要するに外交力や経済関係、いわば貿易関係や投資関係、そういうようなことでは中国がアジアの中での影響力は一位になった。しかも「軍事」でも、アジアにおいてはほぼ拮抗するような状況になってきている。
ここに非常に分かりやすく出されております。日本は総合点でインドの次で4位。そういうようなことからも中国がグローバルサウスの中心国という形で、より力を強め、影響力も強めたたけでなく、米が自ら破壊し始めた世界秩序を主導し始めた。米に対しても、「戦略的対峙」という状況にまでになったということです。
高市の台湾有事発言は時代の流れに逆行するもの
そういうことで、ひとくくりにいえば、世界が大きく変わった、米の時代ではなくなった。そして、中国をはじめとするグローバルサウスがいわば大きな流れ、世界の大きな流れになっている中で、あの高市発言、「台湾有事は存立危機事態」発言があったわけですよね。
台湾問題という、中国からすれば核心中の核心、1972年の日中国交正常化の時に日中共同声明で約束をしたわけですね。その後の3つの「政治文書」でも確認されていることです。日本はあれだけの侵略をした反省の上に立ち、それに対して中国は日本に対する賠償を放棄して、台湾は中華人民共和国の不可分の領土であるということを日本は認めた、それはとても重い内容です。その約束を高市は破ったのです。
もちろん中国の政府は強硬な態度を取りましたが、そもそも中国の国民は代々、日本軍の蛮行の記憶を今でも若い人に受け継いでいるわけですよ。しかも高市は台湾を「一つの国」として認めるかのごとく、台湾有事の際には武力介入もあり得るという趣旨のことを言ったわけです。かつて植民地支配した台湾の独立を後押しして、また同じように侵略戦争をするのかというふうに中国の国民が受け取るのは当然だと思うんですね。
高市は口が滑ったわけではないんです。確信犯です。そもそも日本は2023年から、安保3文書の改定をし、軍事費もわずか3年の間に今や前倒しをして11兆円、GDP比2%となった。さらに引き上げると言っている。南西諸島への自衛隊配備、長射程ミサイルの配備等どんどん進めてきたわけですから、それに対する中国の警戒というのは当然ながら起こったということですね。ちなみに、中国の軍事力がGDPに占める割合は1・2%、日本よりも低いんですね。
中国の国民が、相当な憤りを感じているというのが今の状況で、そこに踏み込んでしまったというのがこんにちの日中関係悪化の最大の原因です。