企画

2026年日本労働党新春講演会・旗開き 新春講演/長岡親生・党政治局常務委員

対米依存の安全保障は見直しが避けられない

 さて、これまで述べた米中関係の変化のなかで、そして中国がこれまでの日本の軍事大国化に対して高市発言を契機にしてより明確な態度を迫ってきている。そうしたなかで、これまでの日米軍事同盟路線はもはや成り立たなくなった。
 今回のNSSで、西半球に集中するというだけでなく、中国を抑え込むという大きな戦略は変わっていないでしょうけれども、実際に米国が軍事力を発動することについてすでに否定した状況となった。米国がすべての世界秩序を支える時代は終わったと、明確にしたわけですね。そして「米国第一」、自国利益を鮮明にした。そして今回のベネズエラへの攻撃等のような乱暴な、そういった振る舞いでやるしかないという形になったわけですよね。
 西半球に集中するということですけれども、わが国にとっての問題は、要するにこの東アジアに対して米国はどのような関与をするのかということです。文言で言えば例えば台湾有事については「一方的な現状変更を支持しない」と前回に比べてかなりやや弱まった表現になっています。
 問題は中国を抑える主要な責任を日本と韓国に負わせるということです。
 もともと米国は「勢力均衡政策」ということで、それぞれの近隣の国同士を争わせることによって漁夫の利を得る政策です。第2次大戦中もそうですよね、ドイツにもイギリスにも武器を売り、代金は金でまきあげて、いよいよになって参戦した。今回のNSSもこれが明確ですね。
 要するに、日本、韓国を使い中国を抑え、そこでもめ事が起これば上出来だ、というようなことで進めている。
 戦後の米国依存、日米安保条約と米軍依存だった日米軍事同盟の強化という、その路線はもはや成り立たない。最近、小泉防衛相が、そういう中でヘグセス戦争長官に会いに行ったが、当然、米国は高市の後釜として小泉を育てているのでしょう。はっきりと報道されていませんけれども、日本の軍事費を具体的にどれだけ増額するか話されていると思います。米国の要求、関心事はそこですから。
 先ほども申し上げましたように、経済発展目覚ましい隣国、中国は国力も強まっています。軍事力も強化しています。そして核軍事力も強め、海洋展開も進めている。これは事実です。そして、わが国の周辺には、さらにロシア、核保有国です。朝鮮も核を持っている。韓国が原潜を持ちたいということで、これはいわば象徴的な形での原潜保有という形になるのかもしれませんけれども。いずれにしても周りは核保有国ということになる。米の核抑止力の下で、核の傘の下で日本が守られてきたという建前が変わりつつあるわけです。
 したがって、日米軍事同盟で米国に頼ってきた安全保障はこんにち、全面的な見直しが避けられない状況になったということになります。そして、米国をしのぐ強国となった、そして経済的にも歴史的にも深い関係にあるこの中国との関係。日中関係が、国交正常化以来の一時期、非常に重要な発展をした時期があったわけですけれども、今世紀に入った途中ぐらいから関係が悪化する。一方でそういう中でも経済関係はどんどん発展をした。中国と日本は、2010年ごろに名目GDPで同じぐらいになりますが、今やもう中国は日本の5倍ですから急速に発展をしている。中国貿易はもうすでに23%、最大です。対米が18%ぐらいでしょうか。そして貿易投資関係も1万社、事業所でいうと3万社ぐらいの関係がある。無数の関係が結ばれています。
 そして何よりも昨年のディープシーク問題等でぐっと明らかになったわけですけれども、AI(人工知能)を中心とする先端産業の発展ですね。集積がどんどん進んでいる。その中国との結びつきということは非常に重要で、日本がここまで「失われた30年」でぐっと落ち込んだ中で、わが国の経済の再生にとっても、中国との関係が非常に重要になるというようなことですね。
 中国とどうやって付き合っていくのか、アジア近隣国とどうやって付き合っていくのか、安全保障政策をどうするのかですね。米との関係をどうするのかというようなことが、まさにこの対米従属の戦後長く続いた、この自民党政治ですね。それに突きつけられている。
 野党もここからは免れないというふうに思います。
 財界のなかで、これまでと違った動きがあります。特に関西ですね、日中国交正常化の時にも関西財界がかなり先んじて流れをつくった。大阪商工会議所中心に進めた流れがありまして、今その関経連の松本会長、住友電工の会長ですが「このままではダメだ」と、関係を改善させなきゃいけないと言って訪中団など独自の動きをしようとしている。
 1月に予定されていた経団連などの経済ミッション訪問団は延期になったわけですけれども、そうした動きも強まっているというようなことで、これは高市政権にとってみると非常に大変なことというふうに思います。
 東アジアの平和と安全をいかに確保するのか。日中関係の悪化、それに今年の米国のベネズエラの攻撃もあって国民的な関心を呼んでいるという時だというふうに思います。
 これまでの戦後のある時期から、売国的な官僚は対米従属の枠から逸脱しないことを所与のこととしてやってきていました。今世紀になって急速に強大になった中国に対処するには、しかも社会主義を掲げる中国に対処するには、日米同盟関係なくしてはあり得ないというのが「常識」となっていました。また、この2、3年の間にも日米軍事一体化が進み、合同軍事演習も頻繁に行われています。
 しかし、一方で米国がアジアでの軍事的な関与それ自身を弱めようとしているわけで、労働者、国民が立ち上がって在日米軍基地を一掃する、あるいは日米地位協定を改定させるという点では、われわれの考えようによっては、一つの条件、チャンスも生まれているということだというふうに思います。
 だから趨勢としては、日本の中に、対米自立的な傾向が強まっていく、その中には反動的な流れというものも出てくるというふうに思います。

高市政権といかに闘うか

 さて、今後、当面して日本の政治には大きく三つの流れがあるだろうということで、一つは、米国の求めに応じて軍事力をアップさせながら、また野党も日米同盟基軸といい、米の蛮行にも明確な批判もしない、日本の軍事化も進み、対中関係もきちんとできない。日本の主権、独立が果たされないので、経済は絶えず市場に揺さぶられ低迷したまま、国民生活は安定しない、こんな道です。それらが今想定されている一つのことではないかというふうに思います。
 二つ目の道は、米国が頼りにならないとのことで、対米自立を鮮明にしながら対中国で独自の軍事大国化、核武装さえ進めるという道です。排外主義を強め、国内の反動的再編をより強める動きですね。スパイ防止法、国旗損壊罪などすでに俎上(そじょう)にあがっています。そのような政治状況というのは、いわば違う段階のものになるわけですが、高市政権の中にはそれらの要素が含まれているわけですね。1月号の文藝春秋には核武装論が述べられ、官邸内からもアドバルーンとして出始めました。非核三原則堅持も揺らぎ始めています。当然警戒すべきです。
 そして三つ目の道は、対米従属から脱却して、中国をはじめとするアジアの国々と共に生きていく。そしてその場合に安全保障問題が非常に重要になってくるわけで、あとで申し上げますけれども、そういう道だというふうに思います。
 そして喫緊の課題はですね、やはりこの日中戦争をあおっているのは、いわば米国であり、高市なわけですよね。そういうようなことで、このままいくとそうなりかねないということです。日中不再戦での最も広範な連携を作り、闘いと行動を促していくことが喫緊の課題です。
 そういう中で日本が真に独立をする、そういう動きにつなげていきたいというのが私たちの考え方です。
 当面しては、以下のような課題を重視します。
 第一に、日中間の連携を強める。青年をはじめ各界の訪中団を組織します。
 日中の連携を強めるため、昨年8月に40人規模の若者訪中団を派遣することに協力しました。敗戦80年ということですね。行った若者たちが日中関係、かつての戦争の歴史や、これからどういうふうに平和を築いていくのかというようなことを非常に真剣に学んで帰ってきましたし、これからの交流も進めていこうという流れをつくることができました。
 高市発言に対してもそれに抗議する運動をその若者たち、学生たちが中心になって行われています。排外主義、中国脅威論が強まる中で、訪中団という形で中国との民間交流、人的交流、文化交流等を強めていくことは非常に重要なことです。各界、労働組合や地方自治体、地方議員の人たちや、もちろん国会議員などでもつくっていきたい。
 第二に、沖縄県民の「再び戦場にしない」闘いを支持して闘います。
 沖縄は明治期以降の歴史があり、沖縄戦があり、米軍統治下の沖縄があり、そして復帰後も、いわば軍事植民地のような状況を強いられてきた。その沖縄が今、高市らの言ういわゆる「台湾有事」の最前線に置かれている。
 沖縄の闘いは日本の独立を達成するうえで重要な拠点であり、当面する日中関係の改善、日中不再戦の拠点としても重要です。
 今年は県知事選挙があります。玉城デニー県政の下で地域外交が展開されております。そのデニー県政を支持して私たちも断固として闘っていきたいというふうに思っております。同時に地方議員選挙も行われますのでぜひ勝利したい。
 第三に、労働者の具体的な諸要求を支持し、労働運動が世界と日本の置かれている状況のなかで社会的な役割を果たせるよう支援をする。
 第四に、農業、農村、農民を守る。食料自給の確立は独立の基礎です。
 対米従属の自民党政治、売国農政の結果、農村や農業、農民に矛盾が集中しました。「雪崩」のように進む離農、激減する農家、崩壊する集落。今後5年、10年の間にそれらが迫っています。
 われわれは「令和の百姓一揆」に連帯します。国民の生活が苦しくなる中で、国民運動の一つの先駆けでもあるという位置づけで、われわれはさらに進めていきたいと思います。
 第五に、生活課題をより重視します。
 労働者の賃金が上がらなかっただけでなく、社会保障制度も改悪が続き、セーフティーネットはずっとずさんになってきたわけですね。国民の生活苦はここからもきています。
 特に現場、自治体、議会でこれらが大問題になっています。地方議員の活動を応援しながら行動の具体化を進めていきたいと考えています。
 第六に、自主・平和・民主のための広範な国民連合の発展を支援します。
 私たちの闘いの中で非常に重要な戦線としてあるのが広範な国民連合です。自主、平和、民主の方向性が今こそ重要になっている時はないというふうに思います。統一戦線組織として、さらに強められるように、大きな役割を果たせるように、全党で支援していきたいというふうに考えております。

次のページへ >

-企画
-, , ,