インターネットを主要な活動の場とする任意団体「JCA-NET理事会」は4月20日、参議院で審議入りした「サイバー対処能力強化法案及び同整備法案」(以下法案)の廃案を訴える声明を発表した。法案は、米国などから機密情報の提供を受けるための前提として法整備が進められているもので、「中国の脅威」を口実とした有事体制づくりの一環だ。以下、声明の要旨を掲載する。
この法案の廃案を改めて訴える。
JCA-NETはインターネットサービスを提供することにより、さまざまな課題に取り組む市民の活動や、平和、経済、社会公正、人権、環境、持続可能性に関わる世界中の運動との連携を目指して活動している。私たちにとって、こうした活動を支える上での情報発信の自由と、この自由を支える通信の秘密やプライバシーの権利は最重要の権利であり、この権利への侵害は私たちの活動の死活問題でもある。
法案は、官民連携による通信情報などの収集において民間事業者を政府に協力させる法的な枠組みを提起しており、通信事業者は政府にユーザーの通信情報を提供することを半ば義務づけられることになりかねない。強制ではないとか、さまざまな弁解が聞かれるが、技術的な裏付けも歯止めもない。いったん導入されれば、民間事業者は実質的に政府にユーザーの通信情報を提供することを事実上強制されることは目にみえている。
法案が将来的に目指しているのは、通信事業者などが取得している通信情報を政府がより容易に収集できるようにすることだ。従来の通信関連法規では違法とされている行為を法案は合法化する意図をもっている。たとえ本法案に盛り込まれていなかったり、本法案では対象とされていない通信情報であっても、いったん法案が成立した後に繰り返されるであろう一連の法改定によって、ますます多くの通信情報の収集が合法化され、さらなる民間への事実上の強制的な協力措置へと向かうだろう。
すべての通信事業者に訴える。本法案に反対の声を上げてほしい。本法案の審議ではサイバー攻撃の深刻化ばかりが繰り返し主張されているが、このことを理由にしてユーザーの通信の秘密やプライバシーの権利を後回しにしてよいとは絶対に言えない。
最後に、本法案は、JCA-NETの活動の根幹を大きく揺るがすものであり、廃案とすべきことを再度強調し、衆議院段階で賛成した野党各党にも再考することを強く求める。