トピックス

世界・日本のできごと(7/29〜8/11)

世界のできごと

ハマス指導者暗殺、イスラエルのテロを米欧批判せず
 パレスチナ・ガザ地区を統治するハマスの最高指導者・ハニヤ氏が7月31日、イランの首都テヘランで爆殺された。イスラエルによるテロ攻撃と見なされている。
 イスラエルは前日の30日にはレバノンの首都ベイルートでイスラム組織ヒズボラのシュクル司令官を殺害、8月3日にはレバノン南部でヒズボラのナセル指揮官も殺害している。1月にレバノン国内でハマス政治部門のアルーリ指導者も死亡しているが、これもイスラエルによる犯行であることが濃厚。
 繰り返されるイスラエルによる他国内でのテロ行為について、米欧などは「エスカレートを懸念」などと、支持は明言せずとも批判も控えている。同様のことをロシア場やった際には制裁まで科しており、二重基準も甚だしい。
 だが、グローバルサウスを中心とした国際社会では、イスラエルの傍若無人(ぼうじゃくぶじん)なテロ行為に対する批判は高まり、同時にそれを免罪し事実上後押しする米欧への不信・不満も高まっている。

ベネズエラ大統領選で現職勝利、米国は「不正」宣伝
 南米ベネズエラ(ベネズエラ・ボリバル共和国)の選管は7月29日、前日に行われた大統領選挙でマドゥロ大統領が得票率51.2%で再選されたと発表した。だが次点の「親米」野党統一候補ゴンサレス氏は「不正」と決めつけ、米国などと結託して選挙結果をひっくり返そうと策動している。
 世界最大の原油埋蔵量を誇るベネズエラに対して、米国は歴史的に強力な干渉・介入を続けてきた。今回の選挙で現職が勝利したことに対し、米国は苛立ちとさらなる内政干渉を強めている。
(参考)ベネズエラ大統領選挙 「不正」宣伝は米国による転覆策動

英国で大規模な反移民暴動、背景に右派の増長
 英国で8月3日から4日にかけ、不法移民の排斥を訴える極右勢力が扇動する大規模な暴動が発生した。英各地の移民・難民関連施設やイスラム教徒の礼拝場が襲撃され、公民館や有色人種が多い店舗への破壊行為も相次いだ。
 発端はイングランド北西部サウスポートで7月29日に女児3人が刺殺された事件だが、極右政党・リフォームUKのファラージ代表などが事件の容疑者を「ボートで英国に来たイスラム教徒」などと誤情報を拡散、極右勢力を扇動したことが火に油を注いだ。
 こうした蛮行を防ごうと、各地の移民・難民支援施設の襲撃が予告されていた7日夜には、各地の移民関連施設周辺には労働組合や人権団体を中心に数百人から数千人規模の市民が集まり暴動を阻止、施設への被害は一件も報告されなかった。
 また10日には、全国50カ所で市民による抗議集会とデモが行われた。首都ロンドンではリフォームUKの本部前に約5000人が結集、「差別と憎悪を終わりにしよう」「人気を得ようと移民を標的にする政治家は、全員辞職すべき」などと声をあげた。
 今回の暴動は、7月の総選挙でリフォームUKなど右派が議席を伸ばしたことにより、排外主義的な個人・団体が増長、味をしめて差別扇動をエスカレートさせた結果とも言える。国民の生活苦への不満が排外主義へ向かうことを阻止する運動が、世界的に求められている。

人民のたたかい

 フランスのパリで行われている五輪にイスラエルが参加していることに抗議する集会やデモが五輪開催期間中も引き続き取り組まれた。また7月30日に行われたサッカーの男子日本代表対イスラエル戦では、パレスチナの旗を掲げた観客がイスラエル国歌斉唱時にブーイングを浴びせて抗議した。

 パレスチナ・ガザ地区を統治するハマスの最高指導者ハニヤ氏を殺害したイスラエルに抗議する行動が7月31日、パレスチナ・ヨルダン川西岸地区ラマラをはじめ、トルコの最大都市イスタンブール、イラクの首都バグダッド、パキスタンのカラチなど世界各地で行われた。
 英国の労働組合・英医師会(BMA)は7月29日、労働党政権との交渉の結果、イングランドの国営医療・国民保健サービス(NHS)で働くジュニアドクターの賃金を今後2年間で平均22%引き上げることで合意したと公表した。BMAはジュニアドクターは賃上げを求めて2年間にストライキを計11回行ってきた。

日本のできごと

長崎市の平和式典、イスラエルめぐり米欧大使ら参加せず
 長崎に原爆が投下されてから79年となる8月6日、長崎市が主催する平和式典が行われた。日本を除く主要7カ国(G7)の米欧6カ国の駐日大使らは、長崎市がイスラエルを式典に招待しなかったことについて「イスラエルをロシアと同等に扱うことになり、誤解を招きかねない」などと「懸念」を表明、平和式典に参列しなかった。
 しかし、イスラエルが行っているパレスチナ・ガザでの虐殺は、国際司法裁判所(ICJ)からも国際法違反と認定されるなど、非難されて当然。長崎市の判断は、「政治的な判断ではない」などと正面からの批判は避けているとはいえ、真っ当で、世界からは賞賛の声も上がっている。
 この長崎市の判断を、上川外相は「長崎市という地方自治体の問題」などと「事なかれ主義」で突き放した。その上、「市に国際情勢を説明した」(上川外相)と、米欧に配慮し「説教」にまで及んだ。
 日本政府の行いは、国際的に孤立するイスラエルと米欧にすり寄り信用を落としただけでなく、核廃絶気運にも水を差す愚行でもある。

日銀が追加利上げ、政府は「負の側面」への対応を
 日銀は7月31日、政策利である短期金利(無担保コール翌日物レート)の誘導目標を「0〜0.1%程度」から「0.25%程度」に引き上げることを決めた。利上げは3月のマイナス金利政策の解除に続き今年2回目。また、これまで月6兆円だった国債買い上げを2026年1〜3月までに月3兆円程度に減額することも決めた。
 2013年から約10年に及んだアベノミクスの異次元緩和策の下で、2012年末には約90兆円だった日銀の国債保有額は2023年末には約580兆円にまで増加し、国債発行残高の半分を占めるに至っていた。円安・株高で輸出大企業や資産家はボロ儲(もう)けする一方、労働者・国民大多数には物価高騰などのしわ寄せが押し付けらえれた。
 2023年4月に就任した植田日銀総裁には、異次元緩和からの「軟着陸」が求められているが、今回の決定も急激な円高や株の乱高下の一因となるなど、金融政策の見直しの舵(かじ)取りは容易ではない。
 そもそもアベノミクスは大企業・資産家のための経済政策であり、そこからの「正常化」の過程でも労働者・国民大多数に犠牲がしわ寄せされることは許されない。政府には、中小企業の資金繰り悪化など、利上げによる負の側面に対する対応が求められている。

相次ぐ米軍ヘリの不時着、国民の安全・安心脅かす
 米海軍のヘリコプターが8月3日、神奈川県海老名市社家の田んぼに不時着した。消防には「エンジントラブルが起きた」との情報が米軍側から寄せられていた。
 米軍ヘリに関しては、日米共同訓練「オリエントシールド」に参加していた在韓米軍所属のヘリ3機が7月28日に和歌山県橋本市の河川敷に不時着したばかり。
 日米同盟強化に伴って全国で行われる軍事訓練が格段に増すなかで、国民の安全や安心を脅かす状況も増している。
(参考記事)
(参考記事)

オスプレイ墜落事故報告書、根本原因特定されず
 米空軍は8月1日、昨年11月に鹿児島・屋久島沖で横田基地(東京都)所属の特殊作戦機CV22オスプレイが墜落、乗組員8人が死亡した事故に関する調査報告書を公表した。
 報告書は、「駆動システムの急激な不具合を生んだ左側ギアボックス(変速機)の壊滅的な故障」「警告灯が3回表示されたのに飛行を続けるなどした操縦士の意思決定」などを原因と結論付けた。
 このうち、ギアボックスの故障について「内部にある歯車の一つにひびが入った」としたが、歯車にひびが入った原因については「特定することができなかった」とした。また今後の再発防止策も示さなかった。
 この報告書を受けて、木原衛相は翌2日、「オスプレイの安全性には問題ない」と強弁、歯車にひびが入った原因が分かっていないことについては「形あるものは必ず壊れる。そういうことがあるので警告灯が付いている」などと開き直った。
 オスプレイは、米空軍が横田基地に6機(墜落機含む)、海兵隊が普天間基地(沖縄県)に24機、自衛隊が木更津駐屯地(千葉県)に17機配備されている。岩国基地(山口県)に米海軍型を配備することも発表されている。
 墜落事故を繰り返すオスプレイの配備推進によって国民の生命は一層危機にさらされようとしている。

-トピックス
-, , , , , ,