20020101

日米基軸脱却、アジアと共生し日本の活路を
危機突破、共同して小泉政権と闘おう

2002年新春インタビュー

日本労働党中央委員会副議長 山本 正治


 

  • 世界はどう動く
     米国テロ事件の影響
     世間はどういう気持ちか
     米国指揮の大合唱に加わった共産党
     テロの背景をかくす共産党
     そのグローバリズムとは
     結局、事件をどうみておくか
     マレーシア、ベトナムに行って学んだこと
     メリハリつけて山へ行こう

  • 日本の政治はどうなる
     小泉の支持率はホンモノか
     小泉となれ合う野党の責任
     2大政党制の策動はうまくいくか
     敵の難問−労働運動、社民勢力など

  • 労働党はどう闘うか
     
    国民経済、国の進路の課題で
     生活危機打開のために
     労働運動の前進のために


  • 全国の同志の皆さんへ

(3)労働党はどう闘うか

国民経済、国の進路の課題で

−−おっしゃられたように、小泉政権はグローバリズムの中に身を投げ入れる以外にない、米国金融複合体の世界支配の中に、身も心もどっぷりつかることで生き延びる道を進めているといってよいわけですね。わが国金融資本、巨大企業の戦略に沿った道を進めようとしているわけですが。どうなりますか。どう闘いますか。

山本 しかし、国民の多く、あるいは企業にしてもそういう形で生き延びられる企業ばかりではありません。むしろ多くの企業、二百数十万社の99.99…%、すなわち、ほぼ全部はそれでは生きられない企業だと思うんです。商工業者、ましてや労働者や農民にしてみると、グローバリズムは痛みだけで血を流すわけですから。
 ですから、小泉らの方向に対して別な経済、国民経済が必要だということでしょう。国民のための経済、そういうグローバリズムの中で生きられない人びとの利益もそれなりに考慮するような経済の運営を求めること。これは、こんにちでは避けがたい流れだと思うんです。ひとことでいって、グローバル経済のもとで海外に逃げ出して生き延びようとしている多国籍企業の利益の政治をつづけるか、国民大多数の生活水準を大幅に引き上げる内需型の発展への転換か、だと思います。国際関係では、近隣諸国との関係重視でしょう。
 その場合、先ほど紹介したように、マレーシアのマハティールさんはじめアジアの多くの人びとも同様のことを望んでいますよね。日本の企業の直接投資にしても、対米と並ぶほど中国に対する投資が増えています。アジアに日本の企業もどんどん入っていますから、企業は具体的にそういう方向に進んでいると思うわけです。政治が追いついていないのですね。企業が出ていけば国内では空洞化です。他方ではようやくとりあえず妥協が成立しましたが、緊急輸入制限(セーフガード)に象徴されるように、輸入の増大で国内の弱い産業は切り捨てられるというような問題も起こるわけです。これはみな国内の政治問題ですね。
 ところが、政治は、どっぷりと米国の腕に抱かれるという小泉流以外に存在しないわけです。この点では鳩山の民主党も、共産党も含めてそうなっていますね。そうではなく、国民経済を発展させ、そしてアジアとの結びつきの中でわが国の危機を打開していくという方向を求める動きが、政治としても、違った言い方をすれば国民世論としても必要になってくると思います。これが急速に発展すると思うんです。われわれは、そういう流れを促進しながら、その流れを確固としたもの、あるいは、国民大多数の利益と深く結びついたものにする方向で、促進したいと考えています。
 これは、米国との関係をきちんとしないと実現できません。この間もしょっちゅうアジア重視の動きは出ます。アジア通貨危機の際にもありましたが、その度に米国から頭を押さえられたり、なぜられたりして、挫折しているわけです。対米関係できちんと進路を定める。何といっても軍事基地を含めた日米安保体制をきちんとしない限りはその方向を貫けないわけです。
 全体として、日中関係を含むアジアとの関係を、経済でも政治や軍事でもどうするかという構想というか、共生の戦略が問われていると思うんです。この点で党としても、理論上、政策上の役割を果たしたいと思いますし、運動の面でももっとアジアとの連携を強めたい。

−−東アジアから米軍を撤退させるという点では、アジア的な共同の闘いを進める必要があります。山本さんは、11月の厚木集会で韓国の米軍基地反対闘争をやっておられる方の話が印象的だったと前に伺ったんですが。

山本 そうです。昨年の11月18日に厚木基地撤去の大規模な集会が開かれましたが、その時、韓国から基地闘争を闘っている代表が報告しました。韓国には主な米軍基地が31あり、どこでも大規模な反基地、反米闘争が起こっているというんです。なぜかといって、アジア、韓国の通貨危機以降、IMFが指導する中で、韓国の銀行の大半、また流通、製造業もみな欧米に乗っ取られたというのです。こういう経済危機、従属が急速に進んだ結果、反米、反基地闘争が急速に発展しているということです。いわばグローバリズムの結果、反作用ですね。それと結びついて、米軍撤退を求める意見が強まったと報告していました。納得できましたね。
 しかも彼らは、「韓国から、沖縄・日本からアジアから、米軍は撤退しろ」というスローガンを掲げていました。聞いてみると、普通に掲げているスローガンだそうです。今度のアフガンのことも含めて、アジアから米軍を撤退させようというのは、アジアの人民の共通の課題だと思うんです。ここではわが国の発展とアジアの平和が結びついており、今年は、こういう運動をますます強力に進めたい。

生活危機打開のために

山本 それからもう一つは、なんといっても国民の生活の問題ですね。とくに失業者の問題と企業の倒産・中小零細業者の資金繰りや仕事の問題、こういう問題で今年は、メリハリのある、行動する党となって、積極的な役割を果たしたいと思います。要するに、遅かれ早かれ彼らも動きを始めると思います。いずれにしても何かの動きは起こると思います。避けられないぎりぎりの所まで来ているという意味で、われわれは、彼らの要求と行動を支持しなければいけませんし、積極的に党としてもさまざまな努力をしたいと思います。
 昨年の暮れには、大阪や福岡の県委員会が失業者の問題で自治体に申し入れたり、具体的な運動を起こす、そういう動きを始めていますが、全国的に直接に要求を組織する、行動を起こすという努力を強めたいと思います。
 併せて、企業あるいは地方の有力な支配層、こういう人びともみな小泉改革に反対して、自分らのメシのために闘いを起こしているんですね。地域でみれば、これまでは支配層の1部で敵だったかもしれませんが、小泉改革が進んでいるもとでは、みな共同して闘える条件が生まれているわけです。参院選の総括の時、われわれは積極的要因を動員して闘うと申し上げましたが、こういう人びととの連携もさまざま進めながら、大きな力を組織できるように今年は闘いたいと思います。
 これに関連して、昨年の暮れ、埼玉県で「広範な国民連合」の全国総会が大きく成功しました。国民連合の埼玉県の皆さん、あるいは中央、全国の皆さんのこの間の努力に改めて敬意を表します。特に、小泉改革でいじめられている国民各層が、「自主・平和・民主」の旗印の下で手を握って政治を変えるために闘うという点で、国民連合はまさに大きな役割を果たすべき時に来ているわけで、この運動と組織の発展のために今年はいちだんと努力をしたい。

労働運動の前進のために

−−最後には、何といっても労働運動ですね。世界的規模で資本主義がグローバリズムという形で行き着く所まで来ている。そうだとすると、この資本主義のもとで最も苦しめられ、そして最も力を持っている勢力である労働者が、新しい社会をつくりあげるという歴史的な使命もあるわけですが。

山本 それ以外には自らも苦難から解放されない。そういう歴史的使命を自覚した労働者階級として、日本の労働者が階級となり発展するように、そういう勢力として荒々しく登場するように促すのが、労働党のまさに歴史的な任務だろうと思います。もちろん目前の経済的不況も、リストラ反対も重要で、断固たる闘いを呼びかけます。  同時に、もっと大局的に、労働者階級が階級としての歴史的な役割を果たすという点で、労働者階級が政権を握らなければ何事も解決しないという考えを公然と広めたい。労働者階級の政治的階級的な前進を闘いとる上で労働党はもっと役割を果たしたいと思っています。
 労働者の闘いの武器は、ストライキが最も有効であり、実力での闘いです。この道を労働者の間に広め、そのための党、日本労働党の強化を労働者に熱心に勧めたいと思います。
 一方、現代修正主義、日本共産党は、ヨーロッパなどの歴史的経験でも、労働者がいよいよ闘うときに、闘いに反対し議会での取引、選挙に労働者のエネルギーを解消しようと裏切ります。労働党は、重大な情勢で敵と取引し、労働運動を裏切り破壊するであろう現代修正主義の共産党、不破や志位らに対する批判と暴露の闘いを強めなければならないと考えています。ヨーロッパではこうした裏切りは証明済みですし、不破らも、昨年、ずいぶんと分かりやすい裏切りを重ねた。天皇の孫誕生に際しては、「天皇家の安泰を祈念する」決議にも賛成した。政権など遠すぎて見えないうちからこの有り様です。暴露しながら、労働者階級は何をすべきかをきちんと労働者の中に提起したい。この仕事を今年はとりわけ重視したいと思っています。

(4)全国の同志の皆さんへ

山本 最後に全国の同志の皆さん。とくに工場や経営の現場でがんばっている同志の皆さんにあいさつを申し上げたいと思います。わが党にとって、みなさんの努力、奮闘が最も重要で何ものにも代え難いものです。周囲の労働者の仲間の不満を聴き、労働者と結びつきを強め、要求を支持し、時に闘う、これは最も重要で、中央委員会が報告を望んでいることです。さらに、党の革命的な考え方を広め、労働者こそ社会の担い手なんだ、資本主義とは違う社会が可能なんだ、社会主義こそ俺達の世界だという考えを広める、この努力が最も重要な闘いです。
 同志たちのこの努力に、中央委員会を代表してあらためて敬意を表するとともに、この点で全国の同志に今年はいっそうがんばろうと呼びかけたいと思います。
 また、都道府県や中央機関、全国の専従者の皆さんは、困難をいとわず闘ってきているわけで、あらためて皆さんに感謝を申し上げたい。皆さんの奮闘があって党は支えられています。歴史的な時が近づいたという意味で、それに備える努力を今年はいっそう強めたいと思います。

−−年頭から長時間、どうもありがとうございました。全党、全人民と団結して、断固奮闘しましょう。

おわり