20020101

日米基軸脱却、アジアと共生し日本の活路を
危機突破、共同して小泉政権と闘おう

2002年新春インタビュー

日本労働党中央委員会副議長 山本 正治


 2002年を迎えて、労働新聞は山本正治・日本労働党中央委員会副議長にインタビューを行った。山本正治副議長に昨年の米国テロ事件をめぐる問題、グローバリズム、国内政局についての現状評価、共産党批判、労働党の当面の闘い方などについて、語ってもらった。

聞き手 石井 勝・理論政策宣伝局長


  • 世界はどう動く
     米国テロ事件の影響
     世間はどういう気持ちか
     米国指揮の大合唱に加わった共産党
     テロの背景をかくす共産党
     そのグローバリズムとは
     結局、事件をどうみておくか
     マレーシア、ベトナムに行って学んだこと
     メリハリつけて山へ行こう

  • 日本の政治はどうなる
     小泉の支持率はホンモノか
     小泉となれ合う野党の責任
     2大政党制の策動はうまくいくか
     敵の難問−労働運動、社民勢力など

  • 労働党はどう闘うか
     
    国民経済、国の進路の課題で
     生活危機打開のために
     労働運動の前進のために


  • 全国の同志の皆さんへ

(1)世界はどう動く

−−新年明けましておめでとうございます。早速ですが、今年の年頭にあたって、いろいろ感じていることや世界の見方、今年の闘いの抱負などについてお話していただきたいと思います。

山本副議長 皆さん、明けましておめでとうございます。紙面をお借りして、全国の労働新聞読者の皆さんに昨1年間のご愛読とご支援の感謝を申し上げます。また、全国の同志の皆さんの奮闘にお礼を申し上げます。
 さて、新しい2002年がどういう年になるのかについてですね。昨年は情勢の発展、変化のテンポが速くて、大激動、大動乱の時代が始まったと、だれしもが感じた1年だったと思います。最後はアルゼンチンで内閣が吹っ飛んだことに象徴されるような状況で新年を迎えました。
 この新しい年はいっそう大きな変化が世界を包み、わが国でも経済状況も危機的で激変する可能性も大きい。その下での政治的激変も含み、闘う勢力にとって非常に可能性のある、そんな年が始まったと思います。ですから全国の皆さんに、闘いのあいさつを最初に伝えたいと思います。今年は大いに闘おう。

米国テロ事件の衝撃見て

−−最初に、やはり去年の米国テロ事件を抜きにしては、今年の世界は語れないように思います。まず、感想をお伺いします。

山本 去年9月11日の出来事ですが、ペンタゴン炎上や世界貿易センタービル崩壊の映像を見ながら、米帝国主義崩壊の姿を映像の向こうに私は見た気がしました。すぐに「無差別テロ反対」の大合唱が始まりました。しかし、無差別テロというが、米国こそ世界最大の無差別テロ国家ではないかという思いは強いですね。広島・長崎の原爆でも、また、ベトナムでは三百万人近い人びとが、最近ではユーゴで、そして九月十一日以降でも、まさに無差別なアフガニスタン爆撃で大変な犠牲を出している。
 それにしてもこうした巨大な衝撃を与える事件を引き起こしたエネルギーはどこから生まれたのだろうか、こうも思いました。わが党の見解(本紙9月25日号社説)は、米国防総省と金融の中心であるマンハッタン、貿易センタービルが狙われたことが象徴的で、軍事と金融での世界支配への怒りが背景にあると論じた。全世界での米帝国主義に対する怒りの強さというか、そのエネルギーを見た思いがします。米帝国主義の歴史的な、直接的にはこの10年間、冷戦後の全世界における悪行、グローバリズムなどということで全世界人民に対する搾取の数々、こうした作用のエネルギーとちょうど同じだけの反作用エネルギーが米国に向かっているということではないでしょうか。

世間はどういう気持ちか

−−テロ事件について、世間の受け取りはいろいろありましたが、それらについてはどうですか。

山本 大学教授が短評を書いて、「新しい戦争の本質を文学者は鋭く洞察している」と、ある作家の発言を紹介していた。その作家は、「絶望的なまでに非対称的な、人間世界の構図である」といって、オサマ・ビンラディンの背後にあるのは、「億を超えるであろう貧者の米国に対するすさまじい怨念(おんねん)である」。一方、ブッシュ大統領にあるのは「テロへの復しゅう心ばかりでなく、富者の途方もないごう慢である」とこういったと。「ところが、メディアに登場する多くの学者たちは米国にあまりに甘くて、『自由と民主主義の国家』というとらえ方をしている。したがって自分たちがそちら側につくのは当然だという点で、洞察力や批判精神が欠けている」という。本当に鋭くポイントを突いていると思うんです。こうした問題はマスコミや学者たちだけではないですね。共産党まで含めて各政党にしても「自由と民主主義の国、米国」というそちら側に立っている。
 しかし、こうした文学者や詩人や、多くの人びとが直感的に見抜いていた。とくに私が心強く思ったのは、若者を中心に米国の報復戦争に対する抗議の声が全国的に起こっている。とくにインターネットの世界でわき起こり、自発的に行動したりした。

米国指揮の大合唱に加わった共産党

ーーところが共産党も、テロ反対の大合唱に加わりましたね。少なくとも「テロも報復戦争も反対」と。

山本 本当に共産党の不破哲三氏たちの見方は特徴的でした。彼は「テロは地球文明と人類社会に対する攻撃」だから、「国際テロは世界全体が対処しなくてはいけない21世紀の大問題」であって、「全地球的に、どこの国でもこういうテロを許さないという意思統一が、政府レベルでも、国民的規模でもなされる必要がある」という。「国際社会の強固な大同団結がなによりも重要」とも共産党の3中総決議はいう。
 これはブッシュの言い分とまったく同じですし、小泉首相と同じです。
 テロに対しては、帝国主義も抑圧された人民も、各国の反動的な支配層も労働者・人民も大同団結して当たるべきだと、こういうことになっている。そして、わざわざブッシュたち、各国首脳に不破と志位の連名で手紙を出すわけです。
 これは歴史的に見れば、第1次世界大戦が始まる際に、それまでの社会主義者たちが「祖国防衛のために軍事費に賛成する」と、各国で支配層といっしょになって戦争を宣言した。しかし、実際の戦争は、ドイツの側から見ても、フランスや英国の側から見ても、植民地、領土の再分割を目指す戦争、帝国主義戦争だった。こうした強盗戦争に当時の裏切り者どもは、祖国防衛の口実で協力した。この堕落、裏切りと同じです。当時は、祖国防衛で、今日は「地球文明」の防衛と言うわけです。まさにグローバル時代ですねえ。「地球文明」「人類社会」がその内部に含む、まことに激しい対立、和解しがたい対立を考えれば、理屈としてはそのおかしさはすぐ分かることですが。堕落しきった共産党の中央委員会では議論もなく通ってしまうんですね。
 それにしても現代修正主義の日本共産党の転落の歴史から見ても、非常に画期的な転落ですね。ブルジョア・イデオロギーを完全に、公式に受け入れたということ。この社会に帝国主義も、抑圧される人民も存在しない、抑圧階級も、非抑圧階級も存在しない、そういう考え方に移行したという意味で画期的な変化といってよいと思います。
 これは朝日新聞のインタビュー記事でしたが、インタビュアーがびっくりしていました。テロ撲滅を最大の課題にしてしまった不破氏の言い分は、米国は「まずい対応をした」ということにつきるわけです。軍事力を使うことは否定しないが、まず経済制裁をやれ、国連の決議をやってからと。これにはこのインタビュアーはびっくりして「小沢さんと違わないですねえ」と。
 不破氏たちの堕落・転落については彼ら自身の経過もあり、私たちも結党以来批判、暴露してきた経過がありますが、それにしても驚くべき転落ぶりであり、転落の速度はまことに速い。これも危機が急テンポで進んでいることの反映でしょう。
 しかし、不破氏らの狙いというか、思惑、背景は見え見えで、ブッシュに「同じ陣営にいますよ。政権に加えても何の不都合もないですよ」と言いたいのですね。

テロの背景かくす共産党

−−不破氏はその中でグローバリズムについても触れていますね。だれしもかくも衝撃的な事件がなぜ起こるのだろうかと背景を考えるわけです。そしてほとんどの論者たちがグローバリズムの影だと指摘していますが。

山本 不破氏がこの事件の背景を論じるとき、特徴が2つあります。そこを批判的に見ておくことは、重要だと思います。
 1つは、テロと政治を切り離す観点です。不破氏はインタビューの中で、わが党は背景については研究しているが、しかしその政治的なことと、このテロ事件に対する対処を分けるんだ、「政治問題をどう解決するかは抜きにして21世紀に同じ地球上に生きるものとして」共同しようといっています。
 小沢一郎氏が同じ朝日新聞の連載インタビューの中で、「この背景は貧困なんだから、この貧困を解決しない限りはこの種の事件はなくならない」と言っていますが、こっちの方が余程まともです。そういう政治と切り離して、この種の問題を解決できるというのはまったくの観念論ですね。アルゼンチンで失業者を中心に暴動が起こり、政権が倒れましたが、不破氏流にいうと、暴動はとにかく良くない、ということになる。これはもうマルクス主義以前ですね。この人びとの哲学的な到達点、観念論の陣営に完全に移行したのですね。
 普通にはだれしも、こうした社会現象を理解し、問題を解決しようとすると、その発生した時の諸条件との関連において考えます。そして、このテロに関していえば、多くの人びとがグローバリズムと関連させて考えている。グローバリズムの影だとか、限界が見えたとかですね。

そのグローバリズムとは

−−ところが不破氏は、「ヨーロッパの党はグローバリズム反対だが、私たちは反対という立場は取らない」と。「グローバリズムはマルクスも考えたとおり、資本主義が世界的に発展することだから、自分たちは反対しないんだ」ということを笑いながら言っています。米国へのこれまたエールなんですね。

山本 ええ、革命家ならざる「読書家」不破氏が知らないはずはない。ごまかしています。グローバリズムについての内容は、2つあります。
 1つは、不破もいうように資本主義の流れというようなことも含んで、歴史の発展というか、生産用具の発展、技術革新がもたらす社会発展、とくに最近の情報技術(IT)の革命的な発展の結果として人の世界的な交流、貿易や投資の爆発的な発展をさしてグローバル化が進んでいるという、いわば自然史的なそれですね。
 もう1つは、米国が政治戦略としてやっているグローバリズム。この2つは区別しなければなりません。米国、とりわけマンハッタン・ウォール街の金融資本が進めている戦略こそ、今問題にしなければならないグローバリズムです。進めているのは「国際金融複合体」だといって、金融資本が中心だが、米財務省や中央銀行(連邦準備制度=FRB)、それに国際通貨基金(IMF)や世界銀行の複合体が進めているという人もいる。在日オランダ人のウォルフレン氏は米国のミッション(代表)という言い方で、米国の世界戦略だと指摘しています。正しいと思います。わが国の榊原英資氏も不十分だけれども、米国の戦略なんだという。その特徴は、米国が戦略的に、世界のすべての国々に貿易や人の行き来だけでなく、金融・資本まで含めて完全に国境措置をやめさせて自由化、世界を力ずくで一体化させることです。
 米国の戦略としてのグローバリズムを、こんにちの世界的な貧困やそれに対する反発の根源と見るかどうか。この点を暴露して闘うかどうか。ここのところが、世界でのさまざまな認識の根本的な分水嶺になっているのだと思います。それを不破は見て見ぬ振りです。そのグローバリズムの中心、世界中の絶望的なまでの貧困を生み出している犯人が米国の金融複合体だというのもひとことも暴露しません。
 グローバリズムの限界、問題点は明らかです。
 あらゆるものを投機の対象にするグローバリズム、限りなく利益を獲得しようとするそれは、資本主義を限りなく不安定化し、資本主義経済を限界に導いたことです。この期間のアジア通貨危機でも証明されていますが、最近はアルゼンチンの経済危機です。米国のエンロンの破たんも、一国のもっとも基礎的な経済活動である電力やガスエネルギーなどまで投機の対象に変えた、罰でしょう。このままでは資本主義がもたないと、投機取引でさんざんもうけたジョージ・ソロスあたりが語っている。
 もう1つは、世界的な貧富の差、対立、矛盾激化が進んで、社会的緊張が極度に高まったことです。「格差が開いている」というのは、不破たちもいうが、やや違うんです。正確にする必要があります。単に格差が進んだという話ではない。要するに、米国金融資本が、世界の大多数から徹底的に絞り上げて絶望的なまでの貧困を生み、そしてごく一握りがその富を手中にするという対立、闘争としての貧富なんですね。世界中が金融支配でがんじがらめにされて、搾り取られている。
 グローバリズムの結果、どうなったか。地球上の最貧の国々の人びと(20%)と最も富んだ国々の人びと(20%)との差は、国連開発計画によれば1960年には30倍だったが90年には60倍、2000年には90倍となった。一般的には格差はずっと以前からあったが、グローバル化が進んだ90年からの10年間で急速に開いています。金融複合体による世界支配の結果ですよ。
 この2つのことから、グローバリズムの経済システムが絶えず不安定になる、貧富の対立が急速に開き、激化して不満がうっ積する。結局そういう資本主義の行き詰まりとして、人びとがもはや耐えられなくなって、暴動を各所で起こすことになる。そういう意味で、社会革命を避け得なくしている。アルゼンチンはそういうことでしょう。いま野党に政権がいって、米国への債務返済を遅らせて、国内にもう少し配分しようとしています。国内が治まるか、米国が納得するか、問題はこれから。本当に解決しようとすると、労働者階級が中心となって、政権をさらに徹底させる道を取る以外にない。
 不破氏は、そこを「米国発のグローバリズムもあるんだが」と、そこを見ていないわけじゃないといっているようですが、いずれにしてもごまかしています。不破氏は、括弧付きにしろ「マルクス主義」から、別の世界、観念論の世界に移り住んだ。本当にボケもしたんでしょうけれでも。しかし、米帝国主義を批判・暴露しないで「恭順の意」を示す、要するに米帝国主義とは闘わないということで、決定的な危機の時にいつでもブルジョアジーを助けて政権入りする準備をいちだんと進めたことは間違いない。

結局、事件をどう見ておくか

−−テロそのものをどう評価したらいいんでしょうか。

山本 あのような戦術をわれわれが採るかといえば、われわれ、世界の労働者階級は有効な手段だと考えていません。というのは、あれでは問題は解決しないからです。本当に世界貿易センタービルの崩壊で米帝国主義が崩壊するのならば、あれを何回かすれば済むのでしょう。けれども米帝国主義はあれだけでは倒れない。倒せるのは、全世界的な闘いの中で米国の労働者階級が倒す以外にない。
 結局、全世界の労働者階級や抑圧された人民が闘い、とりわけ政権を握ってしか解決しないわけです。ですから、われわれはマルクス以来の観点である、労働者階級の政治的発展、成熟を促進して、彼らが政権を担う勢力に成長する、それを促進するそういう戦術です。
 さて、あのテロですが。あれが米帝国主義から抑圧された世界中の人びとの怒り、あるいは闘いたいというせっぱ詰まった感情から生まれた自然発生的な闘いには違いないと思います。そういう意味で、事件の評価をハッキリさせておく必要があると思います。
 帝国主義が、想像を絶する搾取と収奪を繰り返し、反抗するものに国家テロと殺りくを続ける限り、反抗のエネルギーは止むことがなく、ますます強まるでしょう。だれも非難できないと思います。

−−この事件の影響をどう見るか。

山本 米国経済はもともと一昨年秋、バブルが崩壊して、経済が急激に下り坂に突入していたんですが、あの事件を契機にいっそう危機が進んだのは、確かなことでしょう。米国経済の最後の支えだった、個人消費が急減した。世界は同時不況から恐慌の瀬戸際に追いやられたわけです。ドルがどうなるか見物です。  それから、全世界人民に「米国というのは大したことはない、もろいものだ」という認識を与えたという点でも
、以降の影響などを考えると、経済的な問題ばかりでなく、政治的威信の失墜というか、世界の人民への政治思想上の影響という点はかなり大きいと思いますよ。
 他方で、不破たちもそうですが、「テロに対する国際的な大同団結」という流れの中で、各国の支配者たち、ヨーロッパ社民政権含めて、いま「テロ反対」ということで米国が主導する戦争に何らかの形で巻き込まれたわけです。各国は戦争という国家主権の発動を、米国に相当にゆだねた。少なくともテロ撲滅、こういえば各国は、不破まで含めて抵抗が難しくなった。米国はそういう意味で有利な地位にたった。
 不破は「国連が国連が」と言っていますが、「国連は認めているんだ」と事務総長も、中国やロシアを含む安保常任理事国もみんな米国に異議をたてないわけです。だから、「軍事行動をやれ」という国連決議はないけれども、国連では米国の軍事行動を認めている。「国連主導の平和秩序の建設は21世紀の重要課題」などという不破氏の論法は成り立たないわけです。むしろ米国主導の国連をも使った世界支配構築に手を貸すことにしかならない。

マレーシア、ベトナムに行って学んだこと

−−山本副議長は、ここ2、3年、東南アジアを何回か訪問していますが、そこでの感想などをお聞かせ下さい。

山本 99年の夏にマレーシアに行きましたが、これはちょうど97年のアジア通貨危機の後で、マハティール首相が、通貨危機に対して通貨リンギをドルと切り離して防衛し、自国経済を守るための一連の措置をとった直後だったんですね。彼がやった短期資本に対する規制などは、米国やIMFも当時も阻止できなかったが、今では世界でかなり普通のことです。インドネシアや韓国のようにならなかった政策をとった直後だった。政府の閣僚にも会いましたが、政策に非常に自信を持っていましたね。
 マラッカ海峡に面したマラッカの町に行ったんですね。そこの現地案内をしてくれた人が言うんです。「日本はいつまで米国の方にばっかり顔を向けてやっているのか。もっとアジアの方を向くべきではないか」と。地方のエリートサラリーマンには違いないが、いたって普通の人ですね。そういう人が、ズバリと言う。その話を日本に帰ってある学者にしたら、その人もクアラルンプールでタクシーの運転手から同じような話を聞いたというのです。政府要人だけではなく、普通の人も日本をそう見ているんですね。
 アジアの共生を考えるとき、アジアのこの覚せいを忘れてはならないと思いましたね。

−−ベトナムには昨年も行かれたようですが。

山本 はい。ベトナムのこともちょっと少し話してみたい。なぜかといえば、米国貿易センタービルでは何千人も死んだというんですが、ベトナム戦争でのベトナムの死者は200万とも300万人ともいわれています。今度のアフガンの戦争で使われた「デージーカッター」(地下貫徹爆弾)という爆弾なども、ベトナムですでに使われた。あるいは原爆に次ぐといわれ、一瞬にして周囲の酸素を奪って破壊するという兵器や枯れ葉剤などもね。今も障害をもった子供たちが生まれてくるような状況含めて、米帝国主義の犯罪というのは、世界史に残るものです。
 それに対して、ベトナムの人たちはねばり強く闘い抜いた。今のホーチミン市のすぐ近くに、彼らはフランス支配以来、何十年もかけて二百数十キロの地下トンネルを築いて抵抗するわけです。ここに解放軍の司令部もあった。もちろん犠牲もあり、1万余人が犠牲になった村もあって、その人びとの墓石がずうっとその数だけ並んでいる墓場があって、「壮絶」としか言いようがありませんでした。
 そういう犠牲も払いながら、最後まで闘って勝利した。米帝国主義はそこを崩せなかったんです。トンネルそのものの強固さもありますが、もっと重要なのはベトナム人民が非常に柔軟というか、無理をしないで闘ってきたことですね。学ぶ点が、多かったですね。「強大な敵が来たからジャングルに逃げただけですよ」なんて言ってました。
 多くの日本人のアジア観はいつまでも「遅れたアジア」論、あるいはその裏返しのような「脅威論」なんですね。むしろ彼らの方が経済的にも自立を目指した発展戦略を進めており、政治的にも自立をめざしている。ベトナムは、独立のため米帝国主義と血を流して闘いました。マハティールさんだけでしょ、通貨危機の中で敢然と米帝国主義と闘ったのは。
 そういう意味では、日本人はアジアについての考え方をもう一度見直してみるべきじゃないかと感想を持ちました。

メリハリつけて山へ行こう

−−ところで、山本副議長も、秋山副議長と同じで、山登りをなさるとか。去年もどこか行かれましたか。

山本 ええ、ずいぶんといっしょに登りましたね。山といえば、昨年夏、党のある全国会議の間の休日に、6、7人の県委員長を含む同志たちと九州の三俣山という山に行きました。そんなに高くはないのですが気持ちのよい山で、しかも苦楽を共にしている県委員長同志何人かといっしょですから、とりわけ楽しかったですね。  今年も、同志たちといっしょにこういうようにメリハリ付けて山にも行って、自然から英気をもらいながら、あわせて思い切り闘うという年にしたいですね。

次へ