社説

米国による無法なイラン攻撃を糾弾する 戦争を阻止する力はグローバルサウス、全世界人民にある

 米軍は6月21日、イランを攻撃した。イラン中部フォルドゥなど3カ所の核施設を標的に、B2戦略爆撃機とバンカーバスター(地中貫通爆弾)、巡航ミサイル「トマホーク」を使用した。

 米国による明白な侵略である。イランの主権を侵害し、しかも核施設への攻撃は国際法に反し、国連決議にさえ基づかない無法なものである。イスラエルによるイラン攻撃に続くトランプ政権による策動は、中東全域、さらに世界的核戦争さえ招きかねないもので、断じて許せない。

 イランは屈せず、核開発継続の意思を明言した。

 イラン政府・人民の反米・反イスラエルの闘いは、完全に正当なものである。わが党は、独立と尊厳を守るために立ち上がったイランの闘いを断固として支持する。

米国の侵略と闘い続けたイラン

 19世紀半ばから英国を中心とする帝国主義の侵略を受けたイラン(ペルシャ)は、1919年の「英国・イラン協定」で保護国化され、傀儡(かいらい)パフラヴィー朝が成立した。イランは第2次世界大戦中に英国とソ連に分割統治されるなどの曲折を経て、43年に「独立」した。

 戦後、民族主義者のモサデクが首相に就任、石油国有化を断行した。焦った米英は53年にクーデターを起こしてモサデクを追放し、パフラヴィー朝が復権した。

 これにより、イランは「中東の警察官」と呼ばれるほど、イスラエルと並ぶ米国の中東戦略の支柱となった。米国依存の経済改革は貧富の格差を急速に拡大させ、政治も腐敗を極めた。

 イラン人民が、長年の独裁政権とその背後で画策した米国への憎しみを膨らませたのは当然である。79年の「イスラム革命」はこうして起きた。

 米大使館人質事件を口実に、米国は急速に「反イラン」の姿勢を強めた。80年から8年間にわたったイラン・イラク戦争で、米国はイラクをけしかけ、支援した。その後も、湾岸戦争(91年)、アフガニスタン戦争(2001年)、イラク戦争(03年)と、米国はイランの近隣で画策を続けた。

 こんにちでも、核問題を口実に、米国はイランへの敵視と包囲、制裁を強化している。

 15年には、欧州連合(EU)が主導する形でイラン核合意(包括的共同作業計画)が結ばれた。だが、第1次トランプ政権は18年、欧州各国の「忠告」に耳を貸さず、核合意から一方的に離脱し、イランへの制裁を再開した。イスラエルは米国の先兵として、しばしばイランを攻撃してきた。

 中東、イラン近隣における混乱の責任は、この地域の資源と地政学的重要性に目をつけた米帝国主義にあることは明白である。イラン政府・人民の反米闘争は、国の独立と尊厳を守るための正当な行為である。

イランには核開発を行う権利がある

 米国とイスラエルがイラン攻撃の口実としているのが、核開発問題である。

 独立国には核を含むエネルギー開発の自主権がある。イランは当初から、核開発は「平和目的」と明言しており、この立場はこんにちも変わっていない。

 イスラエルによるイラン攻撃の開始前日の6月12日、国際原子力機関(IAEA)はイランの「査察協定違反」を非難する決議を採択した。決議は、イランの核関連施設への「アクセス制限」や核物質の「申告漏れ」などが理由である。

 この決議と結びついて、ネタニヤフ・イスラエル首相は、「(イランは)短期間で核兵器をつくることができた」と主張、攻撃を正当化している。

 だが、米政府でさえ、3月時点では、ギャバード米国家情報長官が「イランは核兵器を製造していない」と述べていた。

 しかも、ウラン貯蔵量の「申告漏れ」はイランに限ったことではない。日本も14年、640キロ(核弾頭80発分)もの申告漏れを指摘されている。この量は、今回、イランが指摘された「申告漏れ」貯蔵量(408キロ)よりも多い。少なからぬ政治家や言論人が「核武装」に言及するなか、日本の「申告漏れ」こそ、諸国の懸念を生むに十分なものである。

 では、日本は「申告漏れ」を理由に制裁や攻撃を受けたのか? イランに対する米国の言いがかりと、それにお墨付きを与えたIAEAの態度は、きわめて異常で犯罪的である。

 グロッシIAEA事務局長は19日になって、「(イランによる)核兵器開発に向けた組織的な取り組みの証拠は何も持っていなかった」と述べたが、「後の祭り」である。

 仮に、イランが核武装に踏み切ったとしても、その責任は敵視政策を続ける米国にある。しかも、核保有国であるイスラエルを擁護し、いまだ武装していないイランを攻撃するなど、二重基準もはなはだしい。

米国の孤立化はさらに進む

 無法な攻撃は米帝国主義の凶暴さを示すだけでなく、力の限界と孤立化も示している。

 すでに米国は、21年にアフガンから「逃げ帰り」、軍事力の衰退も満天下にさらした。米国はイスラエルに引きずられる形で武力攻撃に踏み切ったが、イランへの本格攻撃、まして地上戦や占領を行う力はない。それは、トランプ政権の基盤を揺るがすことになる。

 中国を「主敵」として力を集中したい米国だが、自国の衰退とグローバルサウスの台頭のなか、それを貫くことさえ容易でなくなっているのである。

 メルツ・ドイツ首相は恥知らずにも「イスラエルが我々のために『汚れ仕事』をしている」などと述べた。イスラエルを支持し、米国の攻撃を非難せず、追認したわが国を含むG7諸国も、国際社会で孤立化を深めている。

 一方、中国、ロシアなど多くの国々、そして全世界人民が、米国やイスラエルを公然と非難している(3面参照)。中国を先頭とするグローバルサウスが世界で主導的役割を果たすようになり、帝国主義を追い詰めている。

 イランは米国からの敵視と制裁に屈せず、BRICSや上海協力機構(SCO)の一員として台頭を強めている。米国が「最大の競争相手」として敵視する中国との関係も深い。

 イラン攻撃は、米国の衰退をさらに早め、中東人民、グローバルサウス諸国の政治的台頭を早め、人民の覚醒も進めるに違いない。

与野党はイランの主権認めよ

 石破政権はイスラエルがイランへの攻撃を始めた当初、「極めて遺憾で、強く非難」と、イスラエルを批判していた。だが、「イランは地域の不安定な情勢とテロの根源」などとする先進7カ国首脳会議(G7サミット)共同声明に引きずられ、「イランの核兵器開発は阻止されなければならない」などと述べて後退した。石破政権は、イスラエルを批判した態度を貫き、米国による攻撃を非難すべきである。

 日本は米欧とは異なり、イランや中東諸国を直接侵略、あるいは植民地支配したことはない。こんにちでも、わが国はエネルギー資源の多くを中東に依存し、対イラン政策でも米国と相対的に異なる態度を取ってきた。しかし、アザデガン油田のように、イランとの共同開発を米国の横槍で断念したこともある。今こそ自主外交を進めなければならないのである。

 野党の態度も問題である。

 立憲民主党は「中東情勢の悪化を深刻に憂慮し、自制を求める」を発表している。ここでは、イランに「核兵器の開発を行わない姿勢を具体的に示し、自制的に行動」することを求めている。

 共産党は22日、「米トランプ政権のイラン攻撃を糾弾する」という志位議長名の談話を発表した。攻撃を「無法」と非難しているが、イランの核開発を「外交的・平和的」に「解決」すべきと述べている。

 これらは事実上、国家主権の一つである、イランのエネルギー自主権を否定するものである。攻撃を受けたイランにも「責任」を求める見解で、戦争と危機の元凶をあいまいにさせている。

 他国の主権を尊重しない政治勢力が、自国の命運にかかわることで自主的な態度をとれるはずもない。

対米従属脱却で平和な進路を

 わが国の進路が問われる重大な情勢である。

 「日経新聞」は「主権国家への武力行使は、法の支配という規範を損ねる暴挙といわれても仕方がない。ロシアのウクライナ侵略を批判してきたが、二重基準との批判は強まるばかりだろう」と、米国への不安と不満を表明した。わが国財界内の、対米関係をめぐる矛盾を反映したものであろう。

 対米従属を脱却しなければ、わが国の平和はあり得ない。これは本来、参議院選挙の重大な争点である。

 今回、B2爆撃機は米本土から飛び立った。中東諸国から出撃できなかったのは、諸国が米軍の出動を拒否しているからである。対して、日米地位協定では米軍は「勝手放題」である。地位協定を抜本改定させることは、わが国が世界で生きる上でも重要である。

 同じく米国に圧迫されている朝鮮民主主義人民共和国の核問題も、改めて浮上する可能性が高い。

 「敗戦80年」の節目に、唯一の戦争被爆国である日本の立場はいっそう重要になっている。核兵器禁止条約への態度は重要で、日本は批准し、大国支配に抗するグローバルサウスと共に歩むべきである。

 参議院選挙の結果がどうであれ、対米追随で大国化を目指す安保政策を打破し、独立・自主の国の進路を実現する政権を目指さなければならない。

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