トピックス

世界・日本のできごと(5/27〜6/2)

世界のできごと

イスラエルのラファ虐殺、米国は事実上放置
 イスラエル軍は5月22日、パレスチナ・ガザ最南部ラファ中心部の人口密集地域の近くまで戦車部隊を進軍させ、26日夜には空爆するなど、ラファ虐殺を強めている。
 この蛮行に、世界各国から怒りと批判の声が噴出した。28日にはスペイン・アイルランド・ノルウェーの欧州3カ国がパレスチナを国家として承認することを正式決定し、イスラエルにパレスチナ自治区ガザでの軍事作戦を中止するよう圧力をかけた。
 バイデン米大統領は「ラファへの地上作戦を行えば、米国は武器を供与しない」などと「警告」していたが、カービー米戦略広報担当調整官は28日、「本格侵攻を始めたとは見ていない」と述べ、イスラエル支援を変えない姿勢を示した。
 米国がイスラエルの蛮行を放置することで虐殺が拡大している。米国の罪は極めて重い。
(参考記事)

米国の対中関税引き上げ、競争力維持もくろみ悪あがき
 米通商代表部(USTR)は5月22日、中国製の電気自動車(EV)に対する制裁関税を8月1日から現在の4倍の100%に引き上げる大幅に引き上げる案を発表した。同様に、鉄鋼・アルミは現行の3倍超の25%、太陽光パネルは2倍の50%、EV用リチウム電池は3倍超の25%にそれぞれ引き上げる。重要鉱物も一部を除いて25%の制裁関税を課す。
 米政府は180億ドル(約2兆8000億円)分の中国からの輸入品を対象に、2024年から26年にかけて制裁関税を引き上げる予定。通商法301条に基づく措置で、トランプ前政権が実施した制裁関税を引き継ぎ、さらに強化することになる。
 米国は、競争力を増す中国製品の攻勢を前に、なりふり構わぬ措置で対抗して自国の競争力衰退に歯止めをかけようとしているが、関税の大幅引き上げは自国経済に与える打撃も大きく、競争力維持が思惑通りに進みそうにない。

アジア安全保障会議、米国の対中包囲網強化の思惑は不発
 各国の防衛担当閣僚らが集まりシンガポールで開催されていたアジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ、英国際戦略研究所主催)」が6月2日に終了した。
 会議では、フィリピンのマルコス大統領が「国民が故意の行為によって死亡すれば、それは戦争に極めて近い」などと、相互防衛条約を結ぶ米国の威を借りて中国を挑発、米国のオースティン国防長官も「相互防衛条約への我々の関与は鉄壁」と好戦的に発言した。これに対し、中国の軍事科学院の何雷・元副院長は「あまりに好戦的すぎる」と静観、フィリピン以外の東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国も「中国もフィリピンもベトナムも友人。エスカレーションは望まない」(カンボジアのティア・セイハ国防相)、「人類の利益のため、我々は互いに協力できる」(インドネシアのプラボウォ次期大統領)などと、米中どちらにもくみしない姿勢を強調した。
 米国は現在、ウクライナやイスラエルへの対応に追われているが、「主敵」は国力を増す中国だ。アジアで対中包囲網を強めて東欧や中東への対応に政治的・軍事的資源を割きたい状況。だが、中国は「北大西洋条約機構(NATO)の拡大がロシアのウクライナ侵攻につながった。米国はアジア太平洋でNATOをつくるのか」「(パレスチナ問題をめぐり)米国の自慢してきた人権はどこにあるのか」などと、米国の外交姿勢や二重基準を批判、米国の対中包囲網強化の思惑は不発となった。

人民のたたかい

 韓国の最大財閥サムスングループ傘下サムスン電子の労働組合は5月29日、6月7日にストライキを行うと宣言した。1969年の同社設立以降、初のストとなる。労組側は6・5%の賃上げや有給休暇などの待遇改善を要求、1月から労使交渉を続けてきたが合意に至らず、4月にスト権を獲得していた。28日には8回目の交渉が実施されたが、会社側は待遇改善問題に触れず、交渉が決裂した。
 同グループは、組合や労働運動の弾圧を続けていたが、粘り強い闘いによって2019年に労組が結成された。同グループの経営陣は同年、組合や労働運動への介入を理由に実刑判決を受けた。労組はその後急成長し、現在では全従業員の約2割を占める約2万8000人が加入している。
 米国のカリフォルニア大学ロサンゼルス校で働く大学院研修生や学生助手ら4万8000人が加盟する全米自動車労組(UAW)4811支部は5月28日、ガザ連帯のストライキと集会を行った。同支部は、パレスチナ連帯キャンプを張っていた学生らが4月末に親イスラエル派のデモ隊に暴行された際に大学当局が適切な対応を取らなかったことに抗議、また大学がイスラエル関連企業との関係を断絶することや、行動に参加した学生に科した処分の撤回も求めた。同様の行動は同大デービス校とサンタクルーズ校でも行われている。

日本のできごと

日中韓首脳会談、「対中国」伏せ「協力」を全面に
 日中韓3カ国の首脳は5月27日、韓国のソウルで会談した。この枠組みでの会談は2019年12月以来、4年半ぶり。
 発表された共同宣言では、3カ国の首脳会談と閣僚級街道を定期的に開催し3カ国協力を「制度化」することや、中断している3カ国の自由貿易協定(FTA)締結の加速、観光などで4000万人の交流や大学間で3万人の交流など人的交流の拡充などが盛り込まれた。宣言には「協力」が63回登場、前回成果文書の46回を上回った。安保など3カ国が対立する問題は横に置き、「未来志向」を前面に出した形だ。
 岸田政権は4月の日米首脳会談で、「対中国戦争」の最前線に立つことを約束している。対米公約は、日中韓の共同宣言と相反している。
 日米関係に縛られる限り、今回の共同声明内容の履行は限界がある。日本政府は「台湾問題」などで中国に内政干渉することなく、日中韓の協力を誠実に深める姿勢が求められている。

改定食料・農業・農村基本法成立、戦後の対米追随農政への反省なし
 農政の基本指針を定めた食料・農業・農村基本法の改定案と関連法案が5月29日、参院本会議で賛成多数で可決・成立した。「食料安全保障」を「国民一人一人が良質な食料を入手できる状態」と定義、この確保を明記したが、一方で現行基本法で農政の最重要指標として掲げていた「食料自給率の」を数ある指標のうちの一つに格下げした。
 根本的な問題は、対米追随で農業を犠牲にしてきた戦後農政への反省がないこと。資材高騰と農産物の低価格の下で増加する離農を、いっそう加速させることにつながる改悪だ。
 価格保障や所得補償で農業・農村の持続的な発展や農村の振興を図ることが求められている。
(参考記事)
(参考記事)

改定産業競争力強化法成立、庶民増税の一方、大企業には減税
 改定産業競争力強化法(産競法)が5月31日、参院本会議で賛成多数で可決・成立した。中小企業より大きい従業員2000人以下の会社を「中堅企業」と定義し、企業の合併・買収(M&A)を行う際に税制優遇などを実施する。また「戦略分野国内生産促進税制」を創設、製造時に排出する二酸化炭素を減らしたグリーン鉄や電気自動車(EV)などの生産量に応じ、10年間にわたって税を優遇する。
 トヨタなど特定大企業の環境対策に約1・9兆円も減税する一方、インボイス制度の導入などで個人・零細事業主の税負担は増している。岸田政権の大企業優遇・庶民増税政策は根本的に改められなくてはならない。
(参考記事)

電気代またも値上げ、夏場の家計を直撃
 電力大手10社は5月30日、7月請求分(6月使用分)の電気料金が、標準的な家庭で前月に比べて346〜616円値上がりすると発表した。全社が値上がりするのは3カ月連続。
 各社は、月間の電気使用量を230〜260キロワット時と想定し毎月の標準的な料金を算出している。東京電力の7月分の料金は前月比392円高い8930円と、過去最高だった2022年9月〜23年1月の9126円に迫る。全国で最も高い沖縄電力は、616円高い9663円と1万円の大台に近づく。
 またガス大手4社も同日、7月分の料金が95〜121円上昇すると発表した。
 政府が物価高騰対策で行ってきた補助制度が6月請求分で終了することが影響した形。冷房などで電気の消費が増えやすい夏場の家計を直撃することは必至で、これまで以上に国民には生活苦が強いられ、命の危険性さえ高まる。
(参考記事)

国連「ビジネスと人権」最終報告、関生事件にも言及
 国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会は5月28日、昨夏に初めて行った訪日調査の最終報告書を公表した。故ジャニー喜多川氏による性加害問題やアニメーション業界の長時間労働、性的マイノリティーへの差別、技能実習生の労働環境など多数の課題を指摘した。
 また、全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部の組合員81人が不当逮捕された事件についても、日常の組合活動に参加したことで「法的措置に直面した」などとして、労働組合が正当な方法で活動できることの重要性を指摘した。
(参考記事)
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