Q:中国は強権国家で拡張的な軍事大国です。このような隣国に対し、日本も軍備を増強して備える必要があるのでは?
A:「中国は強権国家で拡張的な軍事大国」のような脅威論を、まずは一度疑ってみませんか。このようなイメージを信じることは米国の思うつぼですよ。
中国の問題を指摘する報道は毎日洪水のように流されています。強権国家で、国民は言論弾圧され、ウイグル人は虐殺され、南シナ海には海洋進出し、アジア・アフリカの途上国を債務の罠(わな)に陥れ……などなど。
あえてこのような各論については検討しないこととします。「いや、そうではない」と反論したところで、「いや、そうだ!」と水掛け論になりそうなので。
中国脅威論で得するのは米国
ここで一度、視点を変えてみましょう。「中国は脅威」なので「軍備増強を」と思っている人も、このようなストーリーによって、誰が得して、誰が損するのか。推理小説などでもありますよね。事件の犯人は誰かを考える時、その事件によって誰が得するのかから犯人を推測する。あれと同じです。
小説では、探偵などが構図を変えてみたりします。逆に「軍備増強を」するために「中国は脅威」と言っているのではないのか、などと考えてみます。本当にそういう可能性はないのか。こうした考えを、とりあえず頭から否定せず、一度多角的に考えてみましょう。
とりあえず、「中国は脅威」という認識が広がれば、日本の中には得をする人たちがたくさんいます。中国に対し勇ましいことを言って支持率を上げたい岸田政権や与野党の政治家、予算を獲得したい防衛省や自衛隊、などなど。
また、米国も得をします。米国にとって、経済成長し国際的政治上の影響力を増す中国は目障りな存在。日本が中国と戦争でもし、中国の足を引っ張り力をそいでくれたらラッキー。そう思っています。また米国の兵器産業はもっと日本に武器を買ってもらいたいと思っています。
えらく単純化した話ですが、このように日本や米国には「中国は脅威」というイメージが広がって日本が「軍備増強を」となることを望んでいる人がたくさんいます。もしかして「中国は脅威」というイメージの裏にこういう人たちの画策があるのではないのか。頭の片隅にこのような疑いを持つことは、あなたの視野を広げる意味で必要なのではないでしょうか。
日本には「中国と戦争したくない」「戦争は避けるべき」という人もたくさんいますが、そういう人たちの中にも「でも中国はアブナイし…」と思っている人がいます。特にそういう人たちにこそ、一度「中国は脅威」というイメージを疑い、その裏を勘繰ってみることをオススメします。
明日の日本は今日のウクライナに?
ところで、先ほど「中国は脅威」という認識が広がることで日本の中には得をする人たちがいると言いましたが、本当にこういう人たちは得するのでしょうか。本当に中国と戦争する気なのでしょうか。あるいは本当に中国と戦争をして勝つ気でいるのでしょうか。そういう人たちは「いざとなれば米国もバックにいるし大丈夫」などと思っているのでしょうか。
米国の本性をよく知るグローバルサウスなどの第三国から見ると、米国にけしかけられて軍拡し中国と戦争しようとしている日本を「大丈夫なのか、本当に自国の置かれている状況が分かっているのか」と思ってしまうようです。
よく漫画などで、格上の人間に命じられて粋がり、因縁をつけて殴りかかるチンピラがいますね。日本もそんなふうに見られているのかもしれません。
ところで、日本が中国と戦争をしても、米国自身は絶対に参戦しません。核保有国である中国と正面から戦争する事態を米国は何としても回避するでしょう。中国も米国と戦争はしません。
それは、米国を中心とした北大西洋条約機構(NATO)にけしかけられてロシアとの戦争を続けるウクライナの現状を見れば自明でしょう。米国は日本に対し、武器を援助して「勝つまで戦え」と背中を押すだけです。
「中国は脅威」と信じて軍備増強し、中国とボロボロになるまで戦争しても、米国は助けてくれない。利用されて捨てられる。ちょっと見方を変えれば、そんな愚かでミジメな日本が見えてきませんか?