「都議会勉強会」実行委員会、東京都こども基本条例を学ぶ「地域連続学習会」など団体と個人による実行委員会が主催して5月30日、「朝鮮学校補助金の復活を求める都民集会」が開かれ、180人が参加した。
集会は、福島有伸・実行委員長が西東京から始まったこの運動について、猪俣京子・実行委員会事務局が「ぼくたちをなかまはずれにしないで」の言葉に打たれて署名が一気に広がったことをそれぞれ紹介して始まった。
次いで在日本朝鮮人人権協会のソン・ヘスクさんが「朝鮮学校のこどもたちの『最善の利益』の尊重を!」と題して基調講演をした。
ソンさんは冒頭で、1994年4月に日本は国連の子どもの権利条約締約国になったが、国連・子どもの権利委員会はこれまで4回の対日審査を行い、毎回、朝鮮学校の子どもたちに対する差別の是正を求める勧告が日本政府に出されていることに触れた。
石原知事時代の2010年以降、東京都は朝鮮学校への「私立外国人学校教育運営費補助金」(以下、補助金)支給を凍結している。1995年に始まった補助金は「外国人学校の教育条件の維持向上及び外国人学校に在学する生徒に関わる就学上の経済的負担の軽減を図る」ことを目的としたが、朝鮮学校のみが不当に交付を停止され続けている。
一方、2021年4月施行の「東京都こども基本条例」では、「すべてのこどもを権利の主体とみなし、こどもの意見表明を認め、こどもにとっての最善の利益を最優先する」ことがうたわれた。また、2023年4月に国が施行した「こども基本法」でも同様に、すべての子どもに「基本的人権や差別をされない権利が保障されること」などが掲げられている。
補助金停止以降、都へ補助金再開を繰り返し要求してきた朝鮮学校関係者と市民団体は、2021年度から運動を展開してきた。
ソンさんは、国連・子どもの権利条約4つの一般的原則のうちの「子どもの最善の利益」を保障していない理由として東京都は「拉致問題で進展がないので、国民の理解が得られない」を挙げているが、「こんな不条理なことが世界に通じると思っているのか」と、都を厳しく批判した。
第二部では、東京朝鮮中高級学校長、東京朝鮮中高級学校オモニ会会長のあいさつに続き、朝鮮大学校学生、在日本朝鮮留学生同盟専従の二人の力強い発言があった。さらに、支援団体などの連帯発言が続き、メッセージも紹介された。
最後に「小池都知事と東京都が14年間も停止し続けている朝鮮学校に対する補助金を、一刻も早く復活するよう求める」「停止理由に挙げている『都民の理解が得られない』の判断基準は、東京都こども基本条例が求める『こどもにとっての最善の利益を最優先』に明らかに反している」などの集会宣言を全員の拍手で採択し、「共に行こう我らこの道を」などを合唱、実行委員会事務局の長谷川和男氏の閉会のあいさつで幕を閉じた。
岸田政権は朝鮮民主主義人民共和国への敵視政策を捨て、補助金「凍結」を典型とする差別政策をやめるべきである。平和勢力は、排外主義との闘い強化が求められている。(取材・N)