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労働新聞 2020年7月25日号・4面 労働運動

武委員長のメッセージ届く
「あきらめず闘えば、必ず
世の中は変わる」


「神奈川平和運動センター
関西生コン労組を支援する会」
を結成

 全日建連帯労組関西地区生コン支部に対する前代未聞の刑事弾圧に抗議し、昨年来、全国各地で支援集会が開かれ、平和フォーラムを事務局に「関西生コンを支援する会」が組織されるなど、支援の輪が広がっている。
 二月十五、十六日には、東京と大阪で検証シンポジウム「関西生コン事件」を考える取り組みを開催し、本格的な闘いが始まった。神奈川でも、三月にも「支援する会」を発足させる準備を進めていたが、新型コロナの感染拡大で延期になっていた。
 「緊急事態宣言」も解除され、静岡に続いて神奈川・横浜市でも七月二十日、「関西生コンへの刑事弾圧に抗議する神奈川集会」が開催された。集会後、「神奈川平和運動センター関西生コン労組を支援する会」の設立総会が開催され、福田護代表など役員と当面の支援活動を決定した。集会、設立総会とも主催は神奈川平和運動センター。

敵の狙いを暴露/支援の強化訴え
 集会では最初に主催者の福田護・神奈川平和運動センター代表があいさつ。「平和運動センターが関西生コン労組を支援することに若干の疑問があるかもしれない。しかし、センターの規約には、平和、基地問題だけでなく、『民主主義の発展、基本的人権のために闘う』とある。関生支部に対する刑事弾圧は労働組合の団結権、団体交渉権に対する弾圧で、基本的人権に対する弾圧だ。関西生コン労組支援の輪を広げて行きたい」と訴えた。
 続いて全日建連帯労組中央本部の小谷野毅書記長が「関西生コン弾圧事件の実態と当面する課題」と題して報告を行った。
 小谷野氏は「中小零細企業が多い生コン業界は、ゼネコンやセメント業界に安く買い叩かれている。その中で関西生コン支部は生コン業者を協同組合に組織し、共同受注・共同販売を行い、安定供給・適正価格・品質確保を実現、企業横断的な労働条件の向上と雇用安定を確保してきた。こうした組合活動に対して二〇一八年八月〜一九年十一月にかけ十八回もの不当逮捕事件をデッチ上げ、のべ八十九人の組合員と事業者を逮捕、七十一人が起訴された。最近になり武建一委員長と湯川裕司副委員長はようやく保釈されたが、それぞれ六百四十一日、六百四十四日もの異常に長い期間拘留された」と報告した。
 続けて、「ストライキ、コンプライアンス(職場の安全点検)活動、ビラまき、労働争議など、まさに憲法二八条と労組法一条で保障されている『当たり前の組合活動』を『威力業務妨害、強要未遂、恐喝や恐喝未遂』の刑事事件と位置づけて、空前の弾圧を加えてきている」と暴露した。その上で、「権力の目的は、まさに『真っ当な労働組合活動』が広がるのを恐れての『労組壊滅作戦』だと批判、それは裁判所の前代未聞の『保釈許可条件』にも表れており、『組合事務所に立ち入ってはならない』『組合員同士の面会、電話、メールなど一切接触してはならない』などが科されている」と具体的な事例を挙げて、権力による弾圧の不当性を明らかにした。
 そして、「こうした事実を知ってもらい、刑事弾圧が独り関生支部だけにかけられたものではなく、労働運動全般、労働者の人権にかけられたものとして受け止めよう」と述べ、いっそうの連帯を呼びかけた。
 関生支部からは、保釈になったばかりの武委員長がビデオで登場、元気な笑顔でメッセージを届けてくれた。「結果を出している関生労組を弾圧することで、御用組合の労働運動しか認めないという権力の意思を感じる。しかし、あきらめないことが大事だ。あきらめずに闘えば必ず世の中は変わる。コロナ禍で、団結する条件が広がっている」との発言は、社会的危機が深まる時代に、なぜ、関生支部が刑事大弾圧を受けたのか、どうやって打ち破るかを確信に満ちて示したものである。
 集会の最後は、「関西生コンを支援する会」共同代表の海渡雄一弁護士が「関西生コン事件で何が問われているか」を分かりやすく説明。「当たり前の組合活動で逮捕されたから、国を訴えた」と、「支援する会」が作成した冊子「マンガでわかる! 関西生コン事件『国家賠償訴訟』編」を使って、批判した。
 そのなかでは、とりわけ、四点をにわたり告発して、国家賠償訴訟を提訴して、反撃に出ている。その四点とは、(1)逮捕された組合員や家族に対して警察官が「組合やめろ」と迫っているが、これは団結権の侵害であり、捜査権の濫用である、(2)検事も同様に「組合やめろ」と逮捕された組合員の家族に迫っているが、これは憲法や国際労働機関(ILO)条約違反である、(3)組合事務所への立ち入り禁止など、組合活動ができなくなる保釈条件は「結社の自由原則」に反する、(4)勾留延長と時間差逮捕のくり返しは国際人権規約の一つである自由権規約違反ー以上である。
 さらに海渡代表は、「最近、英国、米国、フランスなどで新しい労働運動が活発化している、団体交渉だけでなく、社会にアピールするさまざまな活動が工夫され、若い世代の労働組合の活動家も育って来ている」ことを紹介。「関生支部のように、企業の壁を越えて団結する労働運動にこそ未来がある」と結んだ。
 設立総会では、柳井健一・神奈川平和運動センター代表代行(浜教組委員長)が設立案などを提起。青木直史・神奈川平和運動センター関西生コン労組を支援する会副代表(全造船関東地協委員長)が、「民間労組の立場から、連帯して関支部を支援していきたい」と、決意を込めた閉会のあいさつを行った。
 神奈川でも「支援する会」がようやく立ち上げられた。県内の労働組合、まともな労働組合の登場を待ち望んでいる労働者の現場に入り、このメッセージを届け、連帯の輪を広げなければならない。


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