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労働新聞 2024年5月15日号 トピックス

世界のできごと

(4月20日〜5月9日)

イスラエル世界で孤立、米欧にも批判
 イスラエルは5月9日、パレスチナ・ガザ地区ラファへの侵攻を決定・開始した。米国のバイデン大統領は、ラファに本格的な軍事侵攻を実施するなら武器供与を停止すると発言していたが、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は同日「バイデン氏はイスラエルが必要とするもの全てを提供し続ける」と述べ、「武器供与停止」がポーズに過ぎないことが明確になった。米欧の大学ではイスラエル抗議・パレスチナ連帯の行動が拡大、各国政府のイスラエル寄りの姿勢は厳しい批判にさらされている。2日には南米コロンビアがガザ地区でのジェノサイド(集団殺害)を理由にイスラエルとの国交を断絶、ボリビアや中米のベリーズ、南アフリカに続いた。イスラエルとそれを支える米欧への批判は各所で強まっている。

習主席訪欧、米の対中包囲に対抗
 5年ぶりに訪欧した中国の習近平国家主席は6日、パリでマクロン仏大統領と会談した。マクロン氏は習氏を国賓待遇でもてなし、両首脳は中国のEV生産企業BYDの工場をフランスに造る計画についても話し合った。習氏はフランスからの農産物を大量に輸入することや航空機エアバスの購入についても約束するなどして、貿易赤字に苦しむフランスを助ける姿勢を見せた。また習氏はセルビアとハンガリーも歴訪、両国との関係を深めた。米国のもくろむ中国対抗・包囲外交は、グローバルサウスのみならず、欧州でもほころびを見せている。

米軍がニジェール撤退、拠点喪失へ
 米国防総省は4月22日、西アフリカのニジェールに長年サヘル地域での「テロ対策」の名目で駐留させてきた約1100人の米軍部隊を撤退させる方針を示した。これまで世界屈指のウラン生産国ながらフランスに利権を独占され、また「西側のとりで」とされてきたニジェールだが、昨年7月に欧米寄りの政権が打倒され、旧宗主国フランスの大使と軍隊が追放された。今年3月には米国との軍事協定も破棄されていた。サヘル地域における米国の覇権は大きな打撃を受けた。

労働者の7割に気候変動リスク
 国際労働機関(ILO)は22日、全世界の労働者の70%以上が気候変動に関連したリスクにさらされ、毎年数十万人が死亡しているとの報告書を発表した。報告書「気候変動に伴う職場の安全と健康の確保」によると、気温上昇の影響を受ける世界の労働者の割合は、過去20年間で約5ポイント上昇、特に貧困地域の労働者は、熱波、干ばつなどにより長時間激しい危険にさらされ影響を受けるとしている。また太陽光パネルやEV用のリチウムイオン電池などは有毒化学物質を含有しているため、気候変動を遅らせる技術自体が新たな危険を生み出す結果になるとも指摘している。これまでの経済活動で気候変動に大きな責任を持つ先進国の行動が何より求められている。

英地方選与党大敗、スナク政権窮地
 英国イングランドの統一地方選挙は5月5日に開票を終え、国政与党・保守党が大敗した。イングランドの3分の1にあたる107議会の2600余議席が争われ、改選前は保守党が989議席、最大野党・労働党は973議席だったが、保守党は半分近くの474議席を失い、労働党は186議席伸ばした。同日実施した11の市長選でも保守党は10市で敗北した。スナク政権は物価高騰と格差拡大を軽視する姿勢や人権無視の難民政策、不祥事による閣僚の相次ぐ辞任などが国民から批判されていた。来年1月までに実施される議会下院の総選挙の前哨戦と位置づけられた選挙での敗北で14年ぶりの政権交代が現実味を帯びてきた。

人民のたたかい

(4月20日〜5月9日)

 メーデーの5月1日、世界各地で労働者がデモや集会を行った。
 ドイツではドイツ労働組合総同盟(DGB)が全国450カ所で集会とデモ行進を組織し、約33万人が参加した。
 フランスでは、労働総同盟(CGT)は夏季休暇期間中にパリ五輪で出勤を強いられる労働者に適切な手当を支払うよう求め、団交を拒んでいる政府を批判した。
 米国では建設業やケア労働などエッセンシャルワーカーの多数を占める移民労働者がワシントンで「移民労働者は経済の中軸だ」などと訴えてホワイトハウスまで行進した。


日本のできごと

(4月20日〜5月9日)

衆院3補選で自民全敗、基盤崩壊顕著
 衆議院の3つの補欠選挙が4月28日、投開票された。東京15区と長崎3区は「政治とカネ」をめぐる自民党現職の議員辞職に伴う選挙で、自民党は候補者すら立てられない不戦敗となった。唯一の与野党対決となった「保守王国」である島根1区でも自民党は惨敗、同選挙区で初めて議席を失った。背景には、政治資金パーティー裏金事件などによる有権者の政治不信のみならず、歴史的な自民党の支持基盤の崩壊がある。一方、全ての選挙区で勝利した立憲民主党も、自民党から離れた有権者の支持を引きつけて前進したとは言えない結果で政権交代につながるうねりを作れなかった。

円安34年ぶり水準、家計負担増は必至
 外国為替市場で29日、円安が加速して34年ぶりに1ドル160円台をつける場面があった。日銀の植田総裁による「円安容認発言」が直接の原因だが、日米の金利差が縮まる見通しはなく円安の収束は見込めない。こうした中、民間シンクタンクのみずほリサーチ&テクノロジーズは25日にリポート「円安・原油高で長引く家計負担増」を発表、2024年度の家計負担は23年度に比べて家計1世帯当たりの支出負担増額が10・6万円になると試算した。内訳は食料4万3115円、エネルギー3万5728円など。さらに、米国のインフレや中東情勢の悪化などにより想定以上に円安・原油高が進行した場合、家計負担がさらに増える可能性も否定できないとしている。

実質賃金24カ月連続減、マイナス最長
 厚労省は5月9日、3月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)を発表した。現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は前年同月比2・5%減少した。減少は24カ月連続で、比較可能な1991年以降で過去最長。丸2年続く賃金目減りは進行する円安でさらに長引くことが必至。岸田政権は賃上げを呼びかけるだけでなく、消費税廃止などを含めた物価高騰対策を行うべきだ。

連合メーデーに首相出席もヤジ
 連合の第95回メーデー中央大会が4月27日、東京で開かれた。連合の芳野会長は「春闘は大企業から中小企業にわたって高い賃上げが実現している」とする一方、「賃上げは中小企業には無理という声が聞こえる。中小企業で上げなければ『みんなで賃上げ』とはいえない」とし、賃上げが不十分である現状を認めた。来賓として2年連続出席した岸田首相は、自身が掲げた物価上昇を上回る賃上げ目標について「所得税減税と合わせた『所得』で実現」などとごまかし、さらに賃上げは「来年以降に定着させる」と述べ、「岸田は帰れ」などのヤジを浴びた。芳野会長による政権接近路線の破綻はもはや誰の目にも鮮明となっている。

大型連休外交、中国対抗むき出し
 岸田首相は5月1日からフランス、ブラジル、パラグアイを歴訪した。ブラジルは20カ国・地域(G20)議長国で、パラグアイは南米で唯一台湾と外交関係を結んでいる。また上川外相は4月27日からマダガスカル、コートジボワール、ナイジェリア、スリランカ、ネパールの5カ国を訪問した。ナイジェリアは人口や経済の規模がアフリカ最大で西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)議長国。日本の外相による訪問はマダガスカルが初で、コートジボワールとナイジェリアが45年ぶり。マダガスカルとスリランカはアフリカ東岸とアジアを結ぶ海上交通路に位置する。いずれも中国との関係が深いグローバルサウスの国々で、首相や外相の大型連休外交は中国に対抗する狙いが露骨だが、経済的にも政治的にも国際的な影響力が低下する中、日本の中国対抗外交の成果は乏しい。

日米豪が南シナ海への軍事的介入拡大
 木原防衛相は5月2日、米国とオーストラリア、フィリピンの国防相と米ハワイで会談した。日米豪比の防衛相会談は昨年6月にシンガポールで開催して以来2回目。4氏は会談後、前回は行われなかった共同記者会見を開き、中国を名指しして批判、4カ国が南シナ海で防衛協力を推進するなどとした共同文書を発表した。また日米豪3カ国の防衛相会談も行い、先進技術分野で協力を推進する取り決めに署名した。さらに日豪防衛相会談では、敵の脅威圏外から対処する「スタンド・オフ・ミサイル」を活用した日本の反撃能力(敵基地攻撃能力)と、オーストラリアが取得を進める長距離精密打撃力の協力の重要性を確認した。日本は米豪と歩調を合わせて南シナ海への軍事的介入と中国に対する軍事的挑発をエスカレートさせている。

24年度軍事費、既にGDP比1・6%
 木原防衛相は4月26日、24年度予算のうち防衛省以外の省庁分を含む防衛費の総額が約8・9兆円となり、22年度の国内総生産(GDP)比で1・6%に達したと発表した。岸田政権は22年12月に決定された安保3文書で、27年度までの5年間に軍事費を2倍化=GDP比2%にすることを盛り込んでいる。国民の生活苦をよそに防衛費2倍化は最優先で推し進めている。


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