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労働新聞 2024年4月15日号 トピックス

世界のできごと

(3月30日〜4月9日)

米豪比日が南シナ海で初の共同訓練
 米国、豪州、日本、フィリピンの4カ国が4月7日、南シナ海で各国海軍と海上自衛隊による初の本格的な訓練を実施した。南シナ海にあるフィリピンの排他的経済水域(EEZ)内での4カ国の訓練は2023年8月にも実施したが、洋上補給や集合写真撮影などにとどまっていた。今回、4カ国は潜水艦との戦闘を念頭においた「海上共同活動」と位置付けた訓練を行った。米国は11日に初の米日比3カ国首脳会談を開き、中国への対抗を強める同盟関係の拡大を図っている。台湾海峡にとどまらず南シナ海での緊張を高めているのは米国と同盟国の方だ。

イスラエルがイラン大使館空爆の暴挙
 シリアの首都ダマスカスのイラン大使館に隣接する領事部ビルが1日、イスラエルのミサイルによる攻撃を受け、イラン「革命防衛隊」の現地司令官らを含め13人が死亡した。在外公館への攻撃は国際法(ウィーン条約)違反であり、イランのライシ大統領は3日、「シオニスト政権は抵抗戦線の勇敢な男たちにより罰せられ、犯罪を後悔するだろう」と述べ、報復の可能性に言及した。イスラエルはレバノン南部でのヒズボラへの攻撃も拡大している。イスラエルは、3月25日の国連安保理での停戦決議も拒否してなりふり構わぬ攻撃を続け、周辺国に緊張を拡大させ、一段と孤立を深めている。

国連人権理事会、武器売却停止を決議
 国連人権理事会は4月5日、パレスチナ・ガザ地区での停戦や、全ての加盟国にイスラエルへの武器・弾薬の売却や移転の停止を求める決議を採択した。イスラエルに武器を輸出している米国やドイツなどは「ハマス非難がない」として反対、日本は棄権した。だが北大西洋条約機構(NATO)加盟国のカナダやスペインなどは輸出を凍結する方針を打ち出している。2日にはイスラエルの攻撃でガザへ食料を搬入する民間支援団体の7人が死亡、米欧でも非難の声が高まっているが、こうした中でバイデン米政権は戦闘機や2000ポンド級爆弾1800発以上などのイスラエルへの追加供与を承認したと報じられ、イスラエルのラファ攻撃に対する米国の「懸念」が「口先だけ」との批判も高まっている。

ASEANの半数が米より中国を選択
 シンガポールのシンクタンク、ISEASユソフ・イシャク研究所は2日、東南アジア諸国連合(ASEAN)が米国か中国のいずれかと同盟を結ぶことを余儀なくされた場合どちらを選ぶかを加盟10カ国の識者を対象に調査した結果を公表、「中国を選ぶべきだ」と回答した割合が50・5%と半数を超え、前回調査(23年)の38・9%を11・6ポイント上回った。「中国」の回答者を国別に見ると、マレーシアが75・1%(昨年比11・3ポイント増)と最高で、インドネシアの73・2%(同19・5ポイント増)が続いた。同シンクタンクは「一帯一路」で中国からの投資が増えたことが背景と指摘するが、イスラム教信者が多い両国での急激な変化は、ガザを攻撃するイスラエルを支える米国への反発や不信が高まっていることも示している。

NATO1千億ユーロの基金創設計画
 NATOは3〜4日、ベルギーのブリュッセルで外相会合を開き、ウクライナの軍事支援をめぐり今後5年間で最大1千億ユーロ(約16兆4千億円)の基金創設の計画を協議していくことで合意した。これまでは米国をはじめ加盟国とウクライナとの二国間での支援が軸だったが、長期的な支援に向けてNATOとして一歩踏み込んだ。11月に行われる米大統領選でウクライナ支援に懐疑的なトランプ前大統領の勝利が現実味を帯びるなか、米国への依存度を下げて距離を置こうとする欧州連合(EU)の狙いもある。

人民のたたかい

(3月30日〜4月9日)

 ドイツで復活祭(イースター)休暇の3月28日〜4月1日、核兵器廃絶や軍縮、平和外交強化を求めて全国120カ所以上でデモや集会が行われ、1万人以上が参加した。また5日、ドイツがイスラエルに輸出している兵器がガザでのジェノサイド(集団虐殺)に使用されている可能性があるとして、人権団体が共同でベルリンの行政裁判所に輸出即時中止を求めて提訴した。
 オランダのハーグで6日、エネルギー企業や航空会社など化石燃料産業に関連する企業に政府が補助金を出すことに抗議するデモが行われた。オランダ政府に圧力をかける狙いで、この日、多くの参加者が警察に拘束されたが、抗議に加わったスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんも2度にわたり拘束された。


日本のできごと

(3月30日〜4月9日)

自民裏金処分、「形式的」にも程遠く
 自民党は4月4日、派閥の政治資金パーティーの裏金をめぐる問題で党紀委員会を開き、安倍派と二階派の議員らの処分を決定した。安倍派幹部の塩谷元文科相と世耕前参議院幹事長に離党を勧告するなどした。だが党の調査で派閥からの還流資金を裏金としていた議員ら85人のうち、不記載が500万円未満だった40人超は処分しなかった。二階派会長の二階元党幹事長の処分もなく、岸田首相(党総裁)が会長を務めていた岸田派の裏金づくりで元会計責任者が有罪となったにもかかわらず岸田首相にも処分がなかった。岸田首相は党の最高責任者で、「民間ではトップが責任を取るのが当然」との声が党内からも上がった。そもそも「離党」後も復党を繰り返す自民党の「処分」は「形式的」にも程遠く、国民の不信と怒りはさらに深まった。

米報告書「より統合された同盟」提言
 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)は4日、アーミテージ元米国務副長官やナイ元米国防次官補などが日米関係の指針を示す報告書を発表した。主に中国を念頭に「日米は第2次世界大戦後のどの時期よりも分断した国際環境に直面」と述べ、両国の「より深い統合」を提唱した。また在日米軍司令部の機能を強化、自衛隊が創設する「統合作戦司令部」との常設の合同組織の設置を求めた。2020年の前回報告書では「より対等な同盟」を提言したが、今回は「次の一歩」として、軍事作戦の計画・実行から、産業政策の調整やサプライチェーン(供給網)強化を含む経済安保まで「より統合された同盟」としてさらなる一体化を要求した。

軍事利用拡大へ空港・港湾を指定
 岸田政権は1日の関係閣僚会議で、7道県の16施設を平時から自衛隊や海上保安庁が使用可能な「特定利用空港・港湾」として決定した。安保3文書に基づいた公共インフラの軍事利用で、第1弾として選定されたのは、空港が北九州空港(福岡県)や那覇空港(沖縄県)など4県の5施設で、港湾が釧路港(北海道)、苫小牧港(同)、高松港(香川県)、博多港(福岡県)、石垣港(沖縄県)など5道県11施設。24年度予算に関連費約370億円を計上、空港では戦闘機や輸送機の離着陸が可能となるよう滑走路延伸に加え駐機場も整備し、港湾では輸送艦や護衛艦などの大型艦の接岸に向けて海底の掘り下げなども行う。沖縄・九州の南西諸島を中心に、西日本や北海道でも国土の軍事要塞(ようさい)化を推し進めている。

23年度倒産31%増、価格転嫁進まず
 東京商工リサーチは8日、23年度の企業倒産件数(負債額1000万円以上)を発表した。前年度比31・5%増の9053件で、2年連続で増加、9年ぶりに9000件台に乗せた。産業別では2年続けて全10分野で前年度を上回り、建設業が39・4%増、サービス業は34・8%増となった。負債総額は5・9%増の2兆4630億円と2年連続で2兆円を超えた。コロナ禍で売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で貸し出す「ゼロゼロ融資」利用後の倒産は14・3%増の622件と最多に。物価高が原因の倒産は684件と前年度の1・7倍に膨らんだ。円安などによる資材価格や仕入れ費用の上昇分の価格転嫁が進まず、資金繰りが悪化した中小・零細企業を中心に倒産が拡大し、人手不足も件数増に拍車をかけた。商工リサーチは「企業倒産は夏場を境に一段と増勢をたどる可能性が強まっている」と分析している。

実質賃金23カ月連続減、最長に並ぶ
 厚労省は8日、2月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)を発表した。現金給与総額(名目賃金)に物価の変動を反映させた実質賃金は前年同月比1・3%減少した。23カ月連続減で、比較可能な1991年以降では2007年9月〜09年7月と並んで過去最長に。実質賃金の算出に用いる2月の消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の上昇率は3・3%と2・5%だった1月から拡大した。基本給と残業代などを合わせた名目賃金は、労働者1人当たり平均で1・8%増の28万2265円だった。同省は「物価上昇が落ち着いてきた」などとしたものの、依然として緩和的な金融環境が続く中で円安に歯止めがかからず、物価上昇には終わりが見えていない。国民生活を守るため、政府にはあらゆる政策を尽くす責務がある。

4月、実質年金減、コロナ支援は終了
 24年度が1日から始まった。公的年金の支給額は4月分から2・7%引き上げられるが、マクロ経済スライドによって賃金の伸びより低く抑えられ、実質的には目減りとなった。一方、毎月支払う国民年金の保険料は460円増えて1万6980円に。公的医療保険では、75歳以上の高齢者で年間年金収入が211万円を超える人の保険料の上限が年間66万円から73万円に引き上げられた。また新型コロナウイルスの患者などへの支援策が3月末で打ち切られ、通常の医療体制での対応に完全に移行された。4月からは食品の値上げや宅配便料金の値上げも重なり、庶民の生活は苦しさを増している。


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