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労働新聞 2023年10月25日号 トピックス

世界のできごと

(10月10日〜10月19日)

イスラエルのガザ無差別攻撃激化
 イスラエル・ネタニヤフ政権は10月11日、パレスチナ・ガザ地区への報復攻撃のため「挙国一致戦時内閣」を成立させ、予備役30万人を招集した。ガザ地区への水や食料、電気などを遮断し、約230万人のガザ住民への無差別爆撃・砲撃を激化させている。犠牲者は増え続け、すでに4000人以上の死者が出ている。地上侵攻が開始されればさらに多数の犠牲者が出る。直ちに停戦すべきだ。

米中東外交、内外で行き詰まり
 バイデン米大統領は18日、イスラエル訪問しネタニヤフ首相と会談、同国への強い支持を表明した。だがガザ市内の病院が爆撃された事件を受けてヨルダンで予定していたアラブ首脳との会談はキャンセルされ、アラブ取り込みは失敗、米のイスラエル寄り姿勢が際立つ結果となり、「仲裁外交」の思惑はつまずいた。また米国は同日、国連安保理に提出された戦闘中断決議に「イスラエルの自衛権に言及していない」と拒否権を行使、各国から批判を浴びた。さらにバイデンはイスラエルへの緊急支援予算を議会に求めたが、不在となっている下院議長選出の迷走で予算成立のめどはない。バイデンの中東外交は世界で孤立、国内でも足を引っ張られ、右往左往している。

米、対中半導体規制を45カ国に拡大
 米政府は17日、中国への先端半導体の輸出をめぐる規制強化を発表した。中国と関係が近い約45カ国や世界各地の中国企業子会社に規制対象を広げ、第三国経由の迂回(うかい)ルートを封じる狙い。2022年10月に導入した対中規制の大幅見直しは初。アラブ首長国連邦(UAE)やベトナムなど40超の国への先端技術輸出を許可制にし、うち21カ国への製造装置販売を事実上禁じる。身勝手な規制は韓国や台湾の半導体生産に支障を及ぼし、世界経済に分断と混乱をもたらしている。

「一帯一路」国際協力フォーラム開催
 中国は17、18日の両日、北京で第3回「一帯一路」国際協力フォーラムを開催した。会期中、習近平国家主席とロシアのプーチン大統領の首脳会談も行われ、中ロの連携を確認した。フォーラムにはグローバルサウスを中心に140カ国余りの代表が参加、「一帯一路」提唱以来10年間の前進と成果を確認した。コロナ禍などの一時的逆流はあったものの、米欧が進める中ロへの対抗・分断策とは裏腹に、世界では多極化の流れが進んでいる。

ECB、デジタル通貨の導入準備
 欧州中央銀行(ECB)は18日の理事会で、デジタル通貨「デジタルユーロ」の導入に向けて11月から2年間の準備段階に入ることを決めた。20カ国、約3億人を擁するユーロ通貨圏で発行準備を本格化させる。欧州連合(EU)内の法整備などが必要で、実際の通貨発行は28年ごろと見込まれる。欧州が本格的な準備に入ることで日米も判断を迫られることになり、ドル基軸通貨体制にも影響を及ぼす。

韓国与党、地方選で厳しい敗北
 韓国の与野党が24年4月の総選挙の「前哨戦」と位置づけたソウル市江西区長選が11日投開票され、革新系野党の候補が与党候補に17ポイントの大差をつけて勝利した。総選挙に向けて、与野党ともに中道層の多い都市部での支持拡大に力を入れているが、与党の過半数確保をめざす尹政権にとって厳しい結果となった。政権発足以来、米国にすり寄り、「日米韓」3国の同盟強化に前のめりの尹政権だが、国民の支持拡大にはつながっていない。

人民のたたかい

(10月10日〜10月19日)

 世界各国でイスラエルのパレスチナ攻撃に対する抗議行動が広がっている。周辺のアラブ諸国だけでなく、米国でも18日、ユダヤ人団体がガザ停戦を訴えて米議会を占拠した。
 大幅賃上げなど待遇改善などを求めてストライキに入っている全米自動車労組(UAW)は11日、南部ケンタッキー州にあるフォードのトラック工場で約8700人が新たにストライキに入ったと発表した。
 米国中西部デトロイトにある3つのカジノで働く約3700人の労働組合員が17日、ストライキに入った。同市のカジノでのストは初。
 英国ロンドンで開催されている石油・ガス業界の年次会合「エネルギー・インテリジェンス・フォーラム」の会場前で17日、数百人が抗議デモや会場の出入り口封鎖などを行い、抗議行動に参加したスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんなどが警察に拘束された。


日本のできごと

(10月10日〜10月19日)

国連の即時停戦決議案に日本「反対」
 イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃をめぐり、国連安全保障理事会で10月17日、ロシア提出の即時停戦を求める決議案が否決された。日米英仏の4カ国が「ガザ地区のイスラム組織ハマスに反対していない」などとして反対したため。日本政府は9日に合意された米英独仏伊の5カ国によるハマス非難の共同声明には名を連ねていなかったが、米国の意を受けたのか、よりイスラエル寄りの姿勢に転じた。ガザへの無差別空爆を続けるイスラエルを擁護する米欧に対しイスラム圏など世界各地で怒りの声が高まっているなか、岸田外交は愚の骨頂だ。

日米合同軍事訓練、沖縄「戦場」想定
 陸上自衛隊と米海兵隊は14日、国内最大規模の日米共同訓練「レゾリュート・ドラゴン23」を開始した。「離島防衛」を想定した大規模実動訓練で、今回行われる「患者輸送訓練」では、沖縄県の石垣島(石垣市)に陸自オスプレイが初飛来し、奄美大島を経由して九州に「負傷兵」を搬送する。南西諸島を「前線」と想定した訓練だが、住民を助けるための訓練ではない。岸田政権は昨年末に閣議決定した安保3文書で、南西諸島の「戦場化」を想定した南西地域における空港・港湾の整備強化に向け、平素からの訓練で使用すると言及している。「島の戦場化」策動を許してはならない。

旧統一協会の解散請求、救済と解明を
 文科省は13日、旧統一教会の解散命令を東京地裁に請求し、受理された。同省は同会の業務や活動について、宗教法人法が解散命令の要件と定める「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」に該当すると判断した。同会による被害の拡大を防ぎ、被害者の救済へとつなげるうえで重要な一歩で、今後迅速に解散命令が下されることが求められている。また、同会が資産を流出させて逃げることを防ぐため、実効性のある財産保全策を打つ必要もあるが、何より被害を深刻化させる大きな原因となった自民党を中心とする政治家との癒着を徹底解明することが不可欠だ。

倒産、上半期で4年ぶり4000件台
 東京商工リサーチは10日、2023年度上半期(4〜9月)の企業倒産件数(負債1000万円以上)は4324件で前年同期比37・7%増、2年連続で前年同期を上回ったと発表した。4000件超は4年ぶり。物価高に起因する倒産は334件と急増、前年の2・7倍に。産業別の倒産件数は32年ぶりに全10産業で増加、最多はサービス業他の1466件(前年同期比42・1%増)で、資材高で建設業(852件)や製造業(463件)も2年連続で上回った。また9月の倒産は720件(前年同月比20・2%増)と5カ月連続の700件台で、18カ月連続で前年同期比を上回った。国民経済の苦境に対し岸田政権の無策が続いている。

岸田政権への支持が過去最低水準に
 各社の世論調査で岸田政権の支持率は政権発足以降で最低水準に低迷している。「読売」調査(13〜15日実施)では、支持率は34%、不支持率は49%、「産経」調査(14、15日実施)では支持率は36%、不支持率は60%、「朝日」調査(14、15日実施)では支持率は29%、不支持率は60%、共同の調査(14、15日実施)では支持率は32%、不支持率は53%と、読売・産経・朝日・共同で支持率が最低を更新し、産経・朝日・共同で不支持率が過去最高を更新した。政権は4日に発足2年目を迎えたが、国民生活や経済の惨状をみれば低支持率は当然。臨時国会での解散戦略もままならず、岸田政権は日に日に追いやられている。

30年札幌冬季五輪誘致を正式に断念
 日本オリンピック委員会(JOC)の山下会長と札幌市の秋元市長は11日、30年冬季五輪・パラリンピック招致の断念を決定した。21年に開催された東京五輪では、大会経費が当初の約2倍に膨れるなど財政負担が増大、また汚職や談合事件も相次ぎ、札幌市民から多くの反対や不安の声が上がっていた。秋元市長は誘致時期をずらす意も示したが、国際オリンピック委員会(IOC)は13日に30年と34年の冬季五輪開催地を同時に決めるとしたため、34年誘致も事実上霧散した。そもそも東京五輪をめぐる疑惑の完全解明前の誘致活動など論外で、すでに数十億円にも上る招致活動経費を浪費した札幌市政の責任も問われるべきだ。

性別変更、手術強制は「憲法違反」
 戸籍上の性別を変更するには生殖能力をなくす手術を受けなければならないと定めた「性同一性障害特例法」の規定について、静岡家庭裁判所浜松支部は12日、規定は憲法13条(幸福追求権)に違反し無効だとする判断を示し、手術なしで戸籍上の性別を変更することを初めて認めた。金銭的負担が大きく健康上のリスクも伴う手術の強制は人権侵害にほかならず、極めて真っ当な司法判断。自民党など保守層の一部が流布する「手術要件をなくすと公衆トイレなどで女性の安全が脅かされる」などのトランスジェンダー差別言説との闘いが今後重要となる。


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