ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

労働新聞 2023年2月25日号 トピックス

世界のできごと

(2月10日〜2月19日)

分断と米影響力低下反映したMSC
 「安全保障のダボス会議」とも呼ばれるミュンヘン安全保障会議(MSC)は2月19日、閉幕した。会議では主にウクライナやインド太平洋情勢などが討議され、ロシアは招待されなかった。1年を迎えるウクライナ戦争を巡っては、米欧などが軍事支援の強化を強調したが、ロシアへの過度な刺激を避けたいドイツなど慎重さを求める声も目立ち、各国間の姿勢の違いも浮き彫りとなった。また「グローバルサウス」と呼ばれる新興国や途上国からも多数の代表団が参加したが、ロシアを名指しで非難する米欧とは一線を画し、直接の批判を避けた。1月のダボス会議と同様、世界の分断が色濃く反映した会議となり、米欧の国際的影響力低下を印象付けた。

中国が米にらみイランと連携強化
 中国の招きで訪中したイランのライシ大統領は14日、習近平国家主席と北京で会談した。両首脳は「外部勢力による内政干渉に反対する」との立場で一致した。また両首脳の立ち会いのもと、貿易や農業、環境など の分野における協力文書に署名した。16日に発表された共同声明ではイラン核合意の履行を強調、「全ての対イラン制裁は、検証可能な方法で完全に解除されるべき」とした。また両国は「核心的利益に関わる問題を相互に支持する」と表明、「人権擁護や民主主義を口実に他国の内政に干渉し、動乱を扇動し、分裂を招くことに反対する」と、中国とイラン両国が連携を強め米バイデン政権に連携して対抗する構えを鮮明にした。イランは2021年9月、上海協力機構(SCO)の正式加盟手続きに入っているほか、ウクライナ戦争が長期化する中、対ロ関係も急速に深めている。中東の地域大国イランと中国との連携強化は米国の対中東外交の大きなしくじりでもある。

トルコ地震の被害拡大、支援急務
 トルコ南部で起きた地震は19日現在、トルコと隣国シリアの死者数が計4万6000人を超えた。トルコ政府は15日、被災地で損壊した建物が16万棟以上で、このうち倒壊したか修復不能の建物は5万576棟に上ると発表した。被災者は500万人を超え、被害はさらに拡大するとみられる。また、米欧によるシリア・アサド政権への内政干渉が続いてきたこともあってシリアの被災地域への支援は遅れている。トルコは世界最多の難民受け入れ国でもあるが、米欧のトルコへの人道支援はウクライナへの肩入れに比べて極めて貧弱。トルコ・シリアへの人道支援は一刻の猶予もない状況だ。

朝鮮への軍事挑発繰り返す米韓
 米韓両空軍は19日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)が18日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)級1発を発射したことへの「対抗措置」として、米軍のB1戦略爆撃機や韓国軍のF35ステルス戦闘機など10機が参加する合同訓練を韓国上空などで行った。朝鮮を先制打撃する能力を誇示し、朝鮮を威嚇し、挑発することが狙いだ。また米韓は、朝鮮への核使用を想定した図上演習を 日にワシントンで行う。3月中旬には尹錫悦政権で初の米韓合同軍事演習も韓国で行われる。尹政権は「朝鮮の政権や軍はわれわれの敵」(国防白書)と断定、演習規模を拡大する姿勢だが、米韓両国こそ朝鮮の脅威を口実に朝鮮半島の緊張をあおっている。

人民のたたかい

(2月10日〜2月19日)

 スペインのマドリードで12日、公共医療の民営化中止と医療従事者の待遇改善を求めて約100万人がデモを行った。民営化政策を進める右派のマドリード自治州政府に対し「公共医療を守ろう」「自治州首相は辞任を」などを訴え、この3カ月間で3回の大規模な行動を繰り広げている。
 フランスでは、政府の年金受給開始年齢の引き上げ案に反対して11日、今年4回目となる抗議行動が全国規模で行われた。最大労組「労働総同盟」が行ったストにはパリだけで50万人、全国で280万人以上が加わった。労組は年金改革案が撤回されなければ3月に過去最大規模のストに入る構え。
 ドイツで10日、気候危機対策を求めて行動する若者団体「未来のための金曜日(FFF)ベルリン」が、世界有数の都市ベルリンが責任をもって抜本的な気候変動対策に取り組むべきだと訴える抗議行動を行った。ベルリン中心部に約5000人が集結した。
 ドイツの統一サービス産業労組は17日、空港労働者などの賃上げを求めてフランクフルトなど国内7カ所の空港で警告ストを行った。労組は物価高騰に見合う賃上げとして10・5%の賃上げを要求、交渉を継続している。


日本のできごと

(2月10日〜2月19日)

防衛産業強化へ、武器輸出強化も
 岸田政権は2月10日、防衛産業を支援する生産基盤強化法案を閣議決定した。昨年末に決めた国家安全保障戦略に基づき防衛生産・技術基盤を強化するため、防衛装備品の輸出を官民一体となって促進する。海外向けへの仕様の変更などの費用を助成する基金を創設するなどして支援する。自衛隊の任務に不可欠な装備品を製造する企業を対象に国が経費を負担する枠組みを設け、製造施設の国有化と企業への管理・運営委託も可能とする。防衛省が契約企業に提供する秘密情報を新たに「装備品等秘密」に指定、漏えいに対する刑事罰を設ける。岸田政権は5年間で43兆円を投じる防衛力の抜本的強化策の一環として、国会に法案を提出、予算措置と併せて大幅な支援強化に乗り出すもくろみ。国家丸抱えで湯水のように血税を注ぎ込んで軍事大国化を目指そうとするもの。武器輸出は世界各地の戦争や紛争を助長することにもつながり、到底許されない。

大規模日米訓練、陸自は米海兵隊化
 米海兵隊と陸上自衛隊などによる大規模な共同訓練「アイアン・フィスト」が16日から沖縄や九州の各地で始まった。同訓練は2006年から米カリフォルニア州を中心に実施されてきたが、国内では初。陸上自衛隊日出生台演習場(大分県)などで初めて「離島奪還訓練」が行われた。南西諸島など沖縄・九州では去年11月にも最大規模の日米共同演習「キーン・ソード」が行われ、米海兵隊に代わり陸自の水陸機動団を「殴り込み部隊」として育成する訓練が重ねられている。日本が中国に対し戦争をしかけられる国となるよう、米国の策動が続いている。

環境口実に原発新設や 年超運転も
 岸田政権は10日、GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針を閣議決定した。東京電力福島第1原発事故後、原発の新増設を「想定していない」としてきた政府の立場を転換、廃炉を決めた敷地内での建て替えを具体化すると明記した。運転期間については、現行の「原則40年」としたルールを変え、審査などによる長期停止期間を運転年数から除外、最大60年を超える運転も可能とした。また政府の原子力規制委員会は13日、60年超運転を可能にする制度見直し案を正式決定した。5委員のうち1人が「科学的、技術的な新知見に基づくものではない」と反対したが、多数決で押し切った。安全を置き去りにして原発政策の大転換を強行している。

貿易赤字過去最大、中国向け輸出停滞
 財務省は16日、1月の貿易統計(速報)を発表した。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は3兆4966億円の赤字。単月として比較可能な1979年以降で最大となり、18カ月連続。円安と資源高で輸入が増えたうえ、最大の貿易相手国である中国向け輸出が9674億円と17・1%の大幅減となったことが影響した。1兆円を下回るのはコロナ感染が最初に広がった20年1月以来で、自動車や自動車部品のギアボックス、半導体製造装置などが減り、対中国の収支は過去最大の1兆4231億円の赤字となった。米国の意に従って中国との経済面でのデカップリング(分断)を進めれば、返り血を浴びるのは日本経済の方だ。

学術会議が政府「改革」案に異議
 日本学術会議元会長5氏全員は14日、連名で岸田首相あてに学術会議の独立性と自主性の尊重・擁護を求める声明を発表した。政府は20年に学術会議が推薦した会員候補6人の任命を法に反して拒否、その後学術会議のあり方の見直しに着手した。学術会議側は6人の即時任命を繰り返し求め、また弁護士など法律家が任命拒否に関する情報公開請求を行っていたが、政府はそれらを無視、さらに昨年12月には会員選考に第三者を関与させる改悪法案を今国会に提出するとの方針を公表していた。声明は「学術会議と政府の不正常な関係を深く憂慮する」とし、科学者コミュニティーの政府への科学的助言について、「独立性を保障することこそ科学の人類社会に対する意義を十全ならしめる必要条件であり、一国の政府が恣意(しい)的に変更してよいものではない」と強調した。また活動の独立性には会員選考の自律性が不可欠だとし、第三者による「介入システムは、これとまったく両立しない」と指摘、政府案の再考を求めた。

コロナ対処新方針、マスク個人判断へ
 国の新型コロナウイルス感染症対策本部は10日、コロナ対策のマスク着用について、3月13日から屋内外を問わず個人の判断に委ね、学校では着用を求めない方針を決めた。医療機関や高齢者らが集まる場所、混雑した電車では引き続き着用を推奨する。マスクは感染拡大を抑える基本であり、感染「第8波」が完全に収束しない中、科学的根拠も示さずにマスクの着用を個人判断に委ねることは国の責任放棄にほかならない。政府はコロナ禍から平時対応へのシフトを進めており、大型連休後の5月8日に感染症法上の位置づけを5類に引き下げる予定だが主要7カ国(G7)広島サミットを前にした「アフターコロナ」演出のために国民の安全を脅かすことは許されない。


Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2023