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労働新聞 2022年4月25日号 トピックス

世界のできごと

(4月10日〜4月19日)

米欧の戦争加担さらに、代償も大きく
 米政府は4月13日、ウクライナに対する8億ドル(約1000億円)の追加軍事支援を発表した。また欧州連合(EU)は11日の外相理事会でロシア産石油の輸入停止に向けた協議に入った。8日の石炭禁輸決定に続く制裁措置だが、中・東欧諸国やバルト3国、ドイツ、イタリアなどロシアへのエネルギー依存度が高い国々には慎重論も根強い。禁輸を急げば、国民生活を圧迫する物価高騰が加速、自らが受ける代償も大きい。

世界で物価上昇加速、政情不安へ
 コロナの感染拡大による供給網への制約やウクライナ戦争の影響による穀物・資源価格の高騰で、世界各地で物価上昇が加速している。12日発表された米国の3月の消費者物価指数(CPI)は前年比8・5%上昇、1981年以来の水準となった。ユーロ圏の3月のCPIも7・5%上昇、オランダは11%に達した。各国はインフレ抑制のため金融引き締めに動いているが、中東やアフリカでは小麦など食料品価格の上昇が著しく、政情不安につながっている。物価高騰は世界経済の足を引っ張り、国民の不満の高まりで各国政権は屋台骨が揺るがされている。

物価高騰で仏大統領選が決選投票に
 フランス大統領選の第1回投票が10日行なわれ、現職のマクロン氏と極右のルペン氏が 日の決選投票に進んだ。マクロン氏は28%弱、ルペン氏が23%強。急進左派のメランション氏が若年層に支持を広げて22%で3位となった。ウクライナ危機による物価上昇などで国民の不満が高まった結果で、第1回投票で極右や急進左派への投票は50%を超えた。世論調査では決選投票は激しい接戦が予想されており、マクロン政権は物価高騰に足元をすくわれようとしている。

世界のコロナ感染5億人超
 米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、世界の新型コロナウイルスの累計感染者数が12日、5億人を超えた。2月上旬に4億人を超えてから約2か月で、さらに1億人増えた。昨年11月に確認されたオミクロン株の拡大を受け、3億人から4億人までは約1か月で到達していた。先進国のワクチン囲い込みで途上国・貧困国を中心にワクチン接種が進まず、新たな変異株の出現も続いている。ウクライナ戦争の長期化と相まって世界経済に与える打撃は大きい。

米超党派議員団が訪台、中国に干渉
 米議会の超党派議員団が14日、台湾を訪問、蔡英文総統と会談し、双方の連携強化で一致した。米政府は5日にも台湾に対しての9500万ドル(約121億円)相当のパトリオット・ミサイル技術技術支援プロジェクトの実施を決定した。米現政権による3度目の軍事関連売却で、米国の台湾への武器売却のピッチが上がっている。米国は、ウクライナへの武器供与と同じく台湾への武器売却を拡大して中国に対する戦争挑発を繰り返している。

人民のたたかい

(4月10日〜4月19日)

 オーストラリア・ニューサウスウエールズ州のバス運転手らが4月11日、24時間のストライキを行った。バス運転手らは、同じ仕事に対する公平な賃金と、健康や安全面の改善を求めている。
 ドイツの反核団体は11日、連邦政府議会前で、政府が3月に表明した米国の最新鋭ステルス戦闘機F35の調達計画の中止を求めて行動を行なった。主催団体は、計画が連立政権発足時の協定で定めた「核兵器のないドイツを目指す」目標を阻害すると批判した。
 韓国・ソウルで2つの大規模集会が13日開かれた。労働組合の全国組織・民主労総がソウル市中心部の公園で集会を開き、約4000人が参加した。民主労総は決議文で尹次期大統領に対して「労働者の声を聞け」と待遇改善のための対策などを訴えた。
 インドネシアで11日、ジョコウィ大統領の任期延長や首都移転計画、食用油価格の高騰に抗議して全インドネシア学生評議会(BEM・SI)が「民主をとり戻せ」と各地で抗議集会を行った。首都ジャカルタでは国会議事堂前で大規模な集会と激しいデモが行なわれ、1000人以上の学生・市民が参加した。
 アルゼンチンで11日から穀物輸送トラック運転手が燃料高に見合う貨物運賃引き上げを求めストライキ入に入った。政府と運転手組織の交渉で、20%の運賃引き上げが14日に合意された。


日本のできごと

(4月10日〜4月19日)

20年ぶりの円安、膨らむ貿易赤字
 東京外国為替市場では4月19日、円相場が約20年ぶりに1ドル128円台まで下落した。翌日に財務省が発表した2021年度の貿易統計速報(通関ベース)では、原油など資源価格の高騰に円安が加わり輸入額が大きく膨らんだことから、貿易収支は5兆3749億円と年度ベースで2年ぶりの貿易赤字となったが、4月以降さらに赤字が膨らむことは確実に。物価高騰で国民経済は苦境に追い込まれており、第二次安倍政権時代に始まった日銀の異次元緩和策は転換を迫られている。

軍用品追加提供、対ロ追加制裁も
 岸田政権は19日、ウクライナ政府に追加で物資提供すると発表した。新たに化学兵器に対応できる防護マスクと防護衣などを提供、これまでの提供と合わせて計14品目となる。ウクライナ情勢を受けて防衛装備移転三原則の運用指針を改定、譲渡対象に「国際法違反の侵略を受けているウクライナ」を加えた、政府は運用実績の積み上げに余念がない。また12日にはロシアへの追加制裁を閣議決定した。酒や木材、機械類などの輸入禁止やロシア企業に対する融資の制限が決定された。米欧日による軍用品提供は平和にも日本経済にも悪影響しか与えない。

対ロ制裁逆手に原発再稼働加速の思惑
 岸田首相は12日、エネルギー確保のために原子力をいっそう活用する意の国会答弁をした。対ロ制裁で石炭の段階的輸入禁止に踏み切ったことなどを受けたもの。岸田政権は昨年10月に決定した第6次エネルギー基本計画で原発を「重要なベースロード(基幹)電源」と位置付けている。同計画では30年度の電源構成に占める原発の割合を20〜22%にするとしているが、福島第一原発の事故や電力会社の度重なる不備・不祥事で現在の約4%から大きく引き上げられない状況がある。エネルギー危機を逆手に原発再稼働を加速させる思惑だが、国民の安全が軽視されることは許されない。

反戦デモ敵視、証拠発覚で国が謝罪
 鬼木防衛副大臣は13日、19年10月などに陸上自衛隊トップの湯浅幕僚長(当時)が講演した際、武力攻撃に至らない手段で自らの主張を相手に強要する「グレーゾーン」事態の例として反戦デモを資料に記載していたことを認め、「不適切だった」と陳謝した。湯浅氏は講演でも「反戦気運などを高めて国家崩壊へ向かわせる」などと発言している。米軍や自衛隊が反戦デモを警戒対象として敵視する問題では、プラカードを掲げた「デモ参加者」を銃を持って制動する軍事訓練を各地の基地で行っており、今回の資料は米軍や自衛隊の「本音」の一端に過ぎない。反戦平和を求める声を武力で弾圧する攻撃に最大限の警戒が必要だ。

オスプレイ設計上の問題を米軍が放置
 21年8月に発生した米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)所属オスプレイの部品落下事故について、米海兵隊の調査で事故原因として不適切な整備や設計上の問題が指摘されながら放置されていたことを「琉球新報」が17日に報じた。操縦席の屋根部分に付いていた機体パネルと、機体のプロペラエンジン周辺部品「ブレードフェアリング」が飛行中に落下した事故だが、同紙が入手した報告書では、機体パネルは本来より少ないボルトで取り付けられていた可能性を指摘、またブレードフェアリングについては「ありふれた落下物で、整備が要因ではない」とし、同系統機種全体で部品落下が起き得ることを示唆していた。問題を把握しながら放置する姿勢は人命軽視そのもの。米軍や自衛隊のオスプレイは全国への配備が強行されようとしているが、到底許されない。

連合会長が自民会合に、幻想広げる
 連合の芳野会長は18日、自民党政務調査会が党本部で開いた全世代型社会保障に関する政策会合に出席した。自民党側の招待に応じたもの。芳野氏は雇用安定などについての連合の見解を説明、会合後には「問題認識はほぼ同じだ」などと語ったが、政府は依然として連合が反対する解雇の金銭解決制度や高度プロフェッショナル制度の導入に動いており、見当違いも甚だしい。自民党は3月に麻生副総裁が芳野氏を会食に招待するなど働き掛けを強めているが、夏の参議院議員選挙をにらみ連合を野党から引き離す狙いは明白。ノコノコと応じ労働者に政権与党への幻想を広げる行動は許しがたい。

人口15年連続自然減、減少率は最大に
 総務省は15日、21年10月1日時点の人口推計を発表した。外国人を含む総人口は 20年10月と比べて64万4000人少ない1億2550万2000人だった。減少は11年連続、減少率は0・51%で統計を取り始めた1950年以来で最大に。労働の中心的な担い手となる15〜64歳の生産年齢人口の割合も総人口の59・4%で過去最低を更新した。出生児数は83万1000人と前年より4万人減り、15年連続で出生児数が死亡者数を下回る自然減となった。人口先細りは労働者の生活諸条件や国民経済・地方を軽視きてきた歴代政権による失政のツケでもある。


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