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労働新聞 2019年11月5日号 トピックス

世界のできごと

(10月20日〜10月29日)

ペンス米副大統領、中国非難
 ペンス米副大統領は十月二十四日、ワシントンで「米中関係の将来」と題して演説した。副大統領は、中国が「より攻撃的になっている」などと決めつけ、「行動の是正」を要求した。また、香港や新疆ウイグル自治区の「人権」問題で干渉した。副大統領は昨年十月にも、台頭する中国を抑え込もうと、事実上の「宣戦布告」に等しい演説を行ったが、これに続くもの。中国が「内政問題」と反発したのは当然。一方、副大統領は「米中貿易協議が合意を見ることを希望」と述べるなど、対中制裁による自国経済の悪化を防ぎたいジレンマも垣間見せた。

ロシア、中東で影響力拡大
 エルドアン・トルコ大統領とプーチン・ロシア大統領が二十二日、ロシアのソチで会談した。両首脳は、クルド人武装勢力を国境付近のシリア側から撤収させて「安全地帯」を設け、ロシアとトルコが共同でパトロールすることで合意した。ロシアが支持する、シリア・アサド政権には有利な内容。トランプ米政権がトルコによるクルド人勢力への攻撃を一時黙認し、撤兵も進めるなか、ドイツが北大西洋条約機構(NATO)による派兵を提案するなど、米欧間でもつばぜり合いが激化している。この間隙を縫う形で、ロシアが中東での影響力を増している。

米、IS幹部を暗殺
 トランプ米大統領は二十七日、「イスラム国」(IS)の指導者とされるバグダディ氏を殺害したと発表した。ISは二〇一四〜一五年、イラクからシリアに及ぶ領域を支配下に収め「国家」を宣言した。米国による無法なイラク戦争と占領政策を典型とする、帝国主義による中東支配の行き詰まりが背景。トランプ大統領は「米国と世界にとって偉大な夜」などと誇り、シリア撤兵前の「実績づくり」をアピールした。だが、指導者の死亡で構成員が「地下に潜っただけ」ともいえ、反米闘争がやむことはない。


アルゼンチン大統領で野党勝利
 アルゼンチン大統領選挙が二十七日に実施され、野党候補のフェルナンデス元首相が当選した。現職のマクリ大統領は公共交通への補助金削減など改革政治の継続を訴えたが、フェルナンデス氏は年金や補助金の増額などを訴え、労働組合をはじめ有権者をひき付けた。債務不履行(デフォルト)と国際通貨基金(IMF)による支援以降の、緊縮財政政策に対する国民の批判の強さが実証された。近隣エクアドルもIMF支援による緊縮策を強いられており、影響も予想される。

人民のたたかい

(10月20日〜10月29日)


 米国の全米自動車労働組合(UAW)は二十五日、GMとの間で結んだ今後四年間の新労働協約を承認した。〇七年以来の「二層賃金制」の解消や閉鎖される工場の労働者への救済措置などを求めたストライキは四十日に及んだ。
 韓国のソウルで二十一日、解雇された全教組組合員が、雇用労働庁前で座り込みに突入した。
 韓国で二十九日、西海線の鉄道労働者が全面ストに突入した。同線は賃金・人員とも国内最低レベル。
 チリのサンティアゴで二十五日、ピニェラ大統領の辞任を求めて約百万人がデモ行進を行った。同政権による改革政治への反対が強まっている。
 スペインのバルセロナで二十六日、カタルーニャ自治州の独立指導者が禁錮刑となったことに抗議するデモが行われ、約三十五万人がデモ行進した。
 イラクのバグダッドなどで二十五日、一時中断していた反政府デモが再開され、政府の退陣を求めた。激しい衝突で、三千人以上が死傷した。背景には、慢性的な電気・水不足などがある。

日本のできごと

(10月20日〜10月29日)

即位の礼、国民統合強化もくろむ
 政府は十月二十二日、天皇の「即位の礼」関係の諸儀式を行った。中心儀式である「即位礼正殿の儀」には海外の賓客ら国内外から二千人が参列、戦前の国家神道そのままの儀式が再現され、最後に安倍首相が天皇を仰ぎ見て国づくりを誓い、「天皇陛下万歳」と声を張り上げた。関連儀式には前回より約三割増の百六十七億円強の予算が投じられ、敗戦後に米軍の思惑で温存された「明治体制」の復古をもくろむ安倍政権の、国民統合強化と「アジアの大国」化への願望が色濃く反映された格好。国民は危機感を強める必要がある。

即位に合わせ26年ぶり恩赦実施
 政府は二十二日、即位礼正殿の儀に合わせて政令を公布・施行し、約五十五万人に恩赦を実施した。二十六年ぶり。政府は、罰金刑によって取り消された医師などの資格回復や公職選挙法違反で停止されていた公民権復活などが大半で、「対象を軽微な犯罪に絞った」としているが、「個人情報保護」を盾に詳細は明らかにされず、政権与党と近い者が利益を受けた政治利用の疑念はぬぐえない。皇室の慶事などの際に刑罰を減免する恩赦は、天皇を特別な存在として国民に印象付ける演出であり、三権分立にも公然と反するもので、到底許されない。

安倍政権閣僚が疑惑で相次いで辞任
 菅原経産相は二十五日、公設秘書が選挙区内の有権者の通夜で香典を手渡すなどの公職選挙法違反の疑惑が報じられたことを受け、辞表を提出した。「国会で説明する」としていた衆議院経産委員会の直前の辞任で、同氏は過去にカニやメロンなどを選挙区内の百人以上に配っていた疑惑も追及されており、辞任による幕引きは許されない。その後、河井法相も七月の参院選で初当選した妻の公職選挙法違反疑惑をめぐる報道を受けて辞任、第四次安倍再改造内閣発足から改造から二カ月足らずで二閣僚が辞める異常事態に。安倍首相は「任命責任は私にある」と繰り返すが、もはや政権の正当性は完全に失われており、責任を取って退陣するべきだ。

日米協定審議入りを野党認める
 日米貿易協定と日米デジタル貿易協定の二つの承認案が二十四日、衆院本会議で審議入りした。米国から輸入する農畜産物の関税撤廃・大幅削減を柱とする貿易協定と、米巨大情報技術(IT)企業の利益を最優先する内容のデジタル貿易協定は、日本の食料主権や経済主権、国民の生活と安全を破壊する売国協定そのものだが、野党は首相の出席と引き換えに審議に応じることを決めた。協定の問題点を洗い出して安倍政権の印象悪化を狙ったものだが、今国会での成立を最優先に進める政権の思惑通りでもあり、廃案を最優先に徹底抗戦する姿勢は皆無だ。

安倍首相が公的病院再編統合に意欲
 政府は二十八日に経済財政諮問会議を開き、議長である安倍首相は病院の再編統合強行の姿勢をあらためて示した。政府は先月、国が再編・統合の検討が必要だとする全国四百二十四の公立病院などのリストを公表、これに対し自治体や医療関係者などから「地方の実情が分かっていない」と批判の声が噴出している。だが、安倍首相は全国の病床数を官民合わせて約十三万床削減する内容を含む「地域医療構想」について「実現は不可欠だ」と強調した。同リストについては加藤厚労相さえ必ずしも実情に沿っていないことを認めており、国民医療破壊を許してはならない。


嘉手納基地の降下訓練、過去最多に
 米軍が二十九日夜、米空軍嘉手納基地(沖縄県嘉手納町など)でのパラシュート降下訓練を強行した。今年四回目で、一九九六年の沖縄に関する特別行動委員会(SACO)合意で訓練を伊江島に移転するとして以降、過去最多に。同日の訓練には部品落下事故を起こしたばかりのMC130J特殊作戦機の同型機が使われるなど、相変わらずの県民の安全軽視が横行している。日本政府は嘉手納基地での降下訓練を「例外」として追認しているが、六五年にはパラシュートで投下された米軍トレーラーの下敷きになって小学生の女児が圧死する事故が起きるなど危険きわまりないもので、野放図な訓練を黙認する日本政府の姿勢は許せない。


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