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労働新聞 2019年9月15日号 トピックス

世界のできごと

(8月30日〜9月9日)

独2州選、メルケル与党が退潮
 ドイツ東部のブランデンブルク、ザクセン両州議会選挙が九月一日投票され、極右「ドイツのための選択肢」(AfD)が得票率をほぼ倍化させ第二党となった。メルケル政権与党のキリスト教民主同盟(CDU)と連立与党の社民党(SPD)は、合わせて約四割にとどまった。旧東独政権党の流れを汲む左派党も失速。また投票率は大幅に上昇、新たな有権者の多くがAfDを支持したと思われる。両州の失業率は約六%で全国的にはそう高くはないが、ブランデンブルクは褐炭が主要産業で、エネルギー政策の転換による雇用不安がAfDを押し上げた。SPD内では連立離脱の声も大きくなっており、メルケル政権に赤信号がともっている。

EU離脱めぐり早くも政権暗礁に
 英下院は三日、与党・保守党と野党・労働党の非閣僚議員が欧州連合(EU)離脱をめぐり共同提出した合意なき離脱延期をめざす法案の緊急討議を求める動議を可決した。先にジョンソン首相は十月十四日までの議会閉会を一方的に決定、議会を封じようとしていた。採決では、保守党からも前財務相などが「造反」した。また保守党議員が野党・自民党に鞍替えし、ジョンソン政権は下院で少数政権に転落した。七日にはラッド雇用・年金相がジョンソン首相に抗議して辞任するなど政権内の混乱も続き、合意なき離脱がいよいよ現実化している。

中国・香港、「条例改定案」撤回
 中国・香港の林鄭行政長官は四日、「逃亡犯条例改定案」を撤回すると表明した。香港では、学生グループなどが改定案に反対し、混乱が続いていた。反対派は八日、米国による「香港関連法」の早期成立を求めてデモを行うなど、トランプ米政権による対中敵視に呼応する姿勢をあらわにしている。だが、香港への観光客は激減、飲食店、薬品店、高級衣料品店などが打撃を受け、反対派に対する香港市民の支持は急速にしぼんでいる。


アマゾン火災、危機前に協調ならず
 アマゾン熱帯雨林の火災が国際問題となる中、南米諸国の首脳らが集まる国際会議が六日、コロンビアのレティシアで開催された。各国はアマゾン保全のため、衛星データの共有などで協力することを確認した。七カ国の首脳や閣僚らは違法伐採の監視などで協力することを決めた協定に署名した。議長国コロンビアのドゥケ大統領は、森林保護に加え、麻薬組織対策や鉱物資源の違法採掘に共同で立ち向かうべきとの見解を示した。ただ、テレビ電話で参加したブラジルのボルソナロ大統領は「アマゾンは我々のもの」と背を向けた。ボルソナロ政権は放牧地を獲得するために森林に火をつけることを推奨、アマゾン地域に住む先住民の生存権をないがしろにする言動を繰り返してきた。こうした環境問題についても国際協調がもはや成り立たない。

人民のたたかい

(8月30日〜9月9日)


  米国ニューヨークの国連本部前で八月三十日、気候変動への対策を求める若者の抗議行動が行われた。デモには学生を中心に数百人が参加、「将来のために学校で学んでも、大人に未来を壊されたら意味がない」との声が上がった。
 英国各地で三十一日、欧州連合(EU)離脱をめぐりジョンソン首相が長期の議会閉会を決めたことに対するデモや集会が開かれた。参加者は離脱の是非に関わらずデモに参加、「クーデターを止めよう」と訴えた。
 フランス各地で九月七日、マクロン政権に抗議するデモが行われ、「黄色いベスト運動」を中心に警官隊へ実力闘争を展開した。仏南部モンペリエの集会には約五千人が結集、警察車両を燃やすなどして闘った。

日本のできごと

(8月30日〜9月9日)

概算要求、社会保障費削減続く
 財務省は八月三十日、二〇二〇年度予算に対する各府省庁の概算要求を締め切った。総額は二年連続で過去最大の約百五兆円。消費税増税に伴う景気対策費は含まず、さらなる拡大は必至。防衛費が約五・三兆円と八年連続で前年を上回る一方、社会保障費は「自然増」を五千三百億円以下に抑える。それでも、国債費は今年度比約一・五兆円も多い約二十五兆円と過去最大。国民生活無視の悪政が続く。

岩手県知事選、与党に打撃
 岩手県知事選挙が九月八日、投開票され、現職で野党四党が推薦する達増候補が当選した。自公与党が推薦する及川候補は「国とのパイプが詰まっている」と現職を批判したが、約二十五万票という大差での敗退。与党としては、八月末の埼玉県知事選挙に次ぐ敗北で、安倍政権への不満が地方に充満していることが示された。

TICADで対中対抗
 日本政府が主導する第七回アフリカ開発会議(TICAD)が横浜市で開かれ、八月三十日、「横浜宣言」を採択して閉幕した。安倍首相は、三年間で二百億ドル(約二兆一千億円)以上の民間投資を後押しすることや、人材育成支援策を表明、アフリカとの関係で先行する中国に対抗する姿勢を鮮明にさせた。だが、アフリカ開発銀行のアデシナ総裁は、日中に「補完的な役割」を期待すると明言。安倍政権による対中対抗は、アフリカ諸国には「迷惑」この上ない。

RCEP、年内合意は微妙
 日本、中国、韓国など十六カ国は九月八日、タイのバンコクで東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の閣僚会合を開いたが、新たな合意は発表されなかった。妥結すれば世界人口の約半分を占める市場だが、合意できたのは約二十分野のうち半分。米国による対中制裁激化や日韓関係の悪化、技術革新への対応など、課題も山積み。世耕経産相は年内合意が可能としたが、困難さは増している。

日ロ首脳会談、領土問題進展せず
 ロシアを訪問した安倍首相は五日、ウラジオストクでプーチン大統領と会談した。首相は、共同経済活動や元島民の墓参など「合意事項が着実に実現」と強調した。両首脳は、平和条約交渉を「未来志向」で行うこと、観光ツアー事業を試行することなどで合意した。だが同日、大統領は国際会議「東方経済フォーラム」の会場から、色丹島に建設された水産加工場の稼働式典にテレビ中継で参加、領土問題で譲歩しない態度を示した。両首脳の会談は二十七回目だが、領土問題はほとんど前進していない。


第2四半期成長率を下方修正
 内閣府は九日、第2四半期(四〜六月)の実質国内総生産(GDP)二次速報値を発表した。前期比〇・三%増(年率換算一・三%増)と3四半期連続のプラス成長となったが、一次速報の年率一・八%増から下方修正した。とくに、民間設備投資が前期比〇・二%増と、一次の同一・五%増から大きく下方改定されたことが影響した。七月の有効求人倍率も〇九年以来の三カ月連続低下。米国による対中制裁強化への懸念で、設備投資を控える動きが広がっていることが示された。


ベトナム人実習生に除染強要
 技能実習生として働いていたベトナム人男性三人が三日、損害賠償を求めて福島県の建設会社を提訴した。労働者は鉄筋・型枠施行の技能実習目的に来日したが、同社は三百日以上も「避難指示解除」前を含む場所での除染作業に従事させた。全統一労組によると、会社は謝罪と補償を拒否している。技能実習制度は低賃金労働の温床となっているが、今回は単なる「契約違反」にとどまらぬ悪質さ。それでも「氷山の一角」だ。外国人労働者受入拡大の危うさが、改めて露呈した。


北海道地震から1年、支援強化急務
 北海道胆振東部地震から、六日で一年を迎えた。関連死を含め四十四人が犠牲になり、二日間のブラックアウト(停電)となる災害。大きな被害を受けた厚真など三町では、今も約二百世帯が応急仮設住宅での生活を強いられている。三町は「基金」創設や職員不足への支援を求めている。国の責任で、住民のための復興を急ぐべきだ。


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