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労働新聞 2019年6月25日号 トピックス

世界のできごと

(6月10日〜6月19日)

トランプ大統領、再選出馬表明
 トランプ大統領は六月十八日、フロリダ州で演説し、二〇二〇年の大統領選挙への出馬を表明した。大統領は株価上昇や失業率低下などに言及、「米国の経済は世界の羨望の対象」などと誇り、「米国第一主義」の継続を掲げた。中国には「米国から雇用や富を奪う時代は終わった」と批判した。「米国を偉大なままにする」と粋がる大統領だが、シャナハン国防長官代行が国防長官への昇格指名を辞退するなど、政権内のゴタゴタは続き、「ロシア疑惑」なども続いている。民主党の候補が乱立しているが、世界の緊張を高める態度を鮮明にさせた。

タンカー攻撃、緊張高める米国
 中東のホルムズ海峡近くで十三日、日本の船舶を含むタンカー二隻が攻撃を受けた。ポンペオ米国務長官は「イランに責任がある」と一方的に主張、軍事攻撃も選択肢になると語った。米軍は「証拠」とされる映像を公開したが、信ぴょう性は乏しい。英国やサウジアラビアは米国に追随したが、ドイツ、フランス、中国などは「証拠が不十分」(マース独外相)など慎重姿勢を崩していない。イランは関与を否定、さらに「核合意」の維持を求めて欧州などに行動を迫った。米軍はミサイル駆逐艦をオマーン湾に派遣、さらに米兵一千人の増派を決めるなど、イランへの圧迫をさらに強化している。

米、香港条例問題で干渉
 ポンペオ米国務長官は十六日、香港の「逃亡犯条例」をめぐるデモについて、大阪で開かれる二十カ国・地域(G20)サミットで問題提起することを明らかにした。さらに国務長官は「重大な懸念」などと述べた。条例案は容疑者の中国本土への引き渡しを可能にするもの。林鄭行政長官は条例の延期、次いで廃案を決めた。米国では、ペロシ下院議長(民主党)が「一国二制度」を「再評価」する法案を呼びかけるなど、香港問題を通商要求などと絡め、対中攻勢の材料とする動きが強まっている。中国の内政問題に干渉すべきではない。


インド、米国に報復関税
 インドは十六日、アーモンド、リンゴ、リン酸など米国からの輸入品約三十品目に対する関税を引き上げた。これは、トランプ米政権が、インドへの一般特恵関税制度(GSP)を撤廃したことに対する報復関税。インドはGSPを活用し、医薬品や化学品など、米国に年間約六十億ドル(約六千五百億円)を輸出している。経済低迷に悩むモディ政権としては、対米妥協はきわめて困難。中国を抑え込むためにインドの取り込みを図る米国だが、「米国第一」は譲れず、ジレンマは深い。

人民のたたかい

(6月10日〜6月19日)


  ブラジルで十四日、右翼政権による年金制度改悪に反対し、労働組合がストライキを実施した。これにより、地下鉄や銀行の大部分が休業した。
 米国のラスベガスで十四日、ファストフード店の労働者がストライキを行い、最低賃金の時給十五ドル(約一千六百三十円)への引き上げを求めた。現在の給与は、八ドル程度という。
 国際労働機関(ILO)の創設百周年年次総会に際し、スイスのジュネーブで十七日、四十カ国以上の労働者数千人が集会を開き、賃上げとスト権の保障を要求した。
 スイス全土で十四日、男女間の賃金格差の是正などを求め、労働組合連合(SGB/USS)傘下の約五十万人の女性労働者がストライキを行った。
 韓国のソウルで十三日、三千人の露天商が強制撤去と管理強化に反対して大会を行った。
 インド全土で十七日、医師数十万人がストライキを決行した。西ベンガル州で、医師が死亡した患者の家族に襲撃された事件を機に、安全確保を求めたもの。

日本のできごと

(6月10日〜6月19日)

41年ぶりの首脳イラン訪問も成果なし
 安倍首相は六月十二日からイランを訪問、ロウハニ大統領や最高指導者のハメネイ師と会談した。現職首相のイラン訪問は四十一年ぶり。首相はトランプ米大統領のメッセージを伝えようとするも、ハメネイ氏は「トランプ大統領はメッセージを交換するに値する相手ではない。返事もしない」と拒否、核合意から一方的に離脱した米国を批判し、「地域の緊張の根源はイランに対する米国の経済的戦争にある」と語気を強め、歩調を合わせる日本に暗に苦言を呈した。安倍首相はハメネイ師の「核兵器を製造も保有も使用もしない」との発言を「外交の成果」と強弁、参議院選挙を前に誇示する思惑だったが、従来の発言と同様で、内外のマスコミから「成果なし」と厳しく評価されている。米国に意見できない安倍首相の対米従属外交の限界と無力を、あらためて示した格好となった。

「報告書」撤回も政策は変わらず
 九十五歳まで生きるには夫婦で二千万円の蓄えが必要などとした金融庁金融審議会の報告書について、麻生財務相兼金融担当相は十一日、「著しい不安や誤解を与えており、政府の政策スタンスとも異なる」と述べ、正式な報告書として受け取らない意を示した。参議院選挙を前に国民の反発が強い報告書を事実上撤回した形。だが、同報告書は国民に貯蓄から投資へと個人資産の運用を促す内容で、安倍政権の政策スタンスに沿ったもの。国民の資産を吸い上げ大銀行・大企業に差し出す政策が変わるわけではなく、受け取り拒否はごまかしに過ぎない。

1年ぶり党首討論も追及不発
 安倍首相と野党党首らによる党首討論が十九日、国会で開かれた。討論の開催はほぼ一年ぶり。持ち時間を四野党が分け合った結果、討論は細切れとなり議論は深まらず、内容もほぼ金融審議会の報告書の扱いに集中、通常の委員会審議のような質問と答弁の繰り返しに終わった。参議院選挙を前に有権者に「仕事ぶり」を示す思惑の野党だったが、「国の針路を競い合う制度本来の趣旨からはかけ離れた討論」(日経新聞)、「党首同士が政権をかけて骨太の論戦を展開するという期待された姿とほど遠い」(産経新聞)と、御用マスコミからも正面から批判される結果となった。

F35墜落は「空間識失調」、空自分析
 航空自衛隊は十日、四月に三沢基地の最新鋭ステルス戦闘機F35Aが青森県沖に墜落した事故原因について、パイロットが平衡感覚を失い、機体の上下の姿勢や方向などを錯覚する「空間識失調」に陥っていた可能性が高いとする分析結果を発表した。機体の異常が発生した可能性は「きわめて低い」とし、岩屋防衛相は今後計百四十七機取得する同機の配備計画について「見直す考えはない」「同型機の飛行を再開する方針」とした。フライトレコーダーも発見されないなかでの早期の幕引きで、米国への遠慮も甚だしい。

陸上イージス、秋田知事「白紙」
 陸上配備型迎撃ミサイルシステム(イージス・アショア)の陸上自衛隊新屋演習場(秋田市)への配備計画で、岩屋防衛相は十四日、津波対策の必要性を認めた。地元への報告書では津波の影響は影響はないとし、同演習場を「適地」とする判断の根拠としていた。イージス・アショアをめぐる相次ぐ不祥事に、秋田県の佐竹知事は十七日、「スタートに戻って検討をされないことには協議に入ることはできない。計画は白紙」と強調、国への反発姿勢を明確にした。米国の意を受けたイージス・アショア配備だが、その計画推進は大きくつまづいている。


基地実態隠すドローン禁止法施行
 米軍や自衛隊基地上空での小型無人機(ドローン)の飛行禁止を加えた改定ドローン飛行禁止法が十三日に施行された。今回の改定で飛行禁止の対象に米軍や自衛隊基地など「防衛関係施設」を追加、対象は防衛相が指定し、施設の敷地・区域とその周囲おおむね三百メートルの地域上空を飛行禁止にする。これまで市民や報道機関が上空からドローンで沖縄県名護市辺野古の辺野古新基地の工事現場を撮影し違法工事を告発してきたが、今後は今後は撮影が困難となる沖縄を含む日本全土の基地機能強化を推し進める一手でもあり、反撃が必要だ。


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