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労働新聞 2018年12月15日号 トピックス

世界のできごと

(11月30日〜12月9日)

米中首脳会談、対立さらに激化
 トランプ米大統領と習近平国家主席による米中首脳会談が十二月一日、アルゼンチンのブエノスアイレスで行われた。懸案の通商問題では、中国が米国産自動車への関税を引き下げるほか、知的財産権問題などで協議を行うことが合意された。だが、具体的合意は先送りになったほか、南シナ海など安全保障問題では一致できなかった。しかも直後、米当局の要求でカナダ司法省が、中国の中心大手・ファーウェイ(華為技術)の役員を逮捕した。米国は中国を抑え込むための策動をエスカレートさせている。

G20首脳会議、宣言めぐり紛糾
 ブエノスアイレスで行われていた二十カ国・地域(G20)首脳会議が一日、閉幕した。会議では世界経済のほか、トルコでのサウジアラビア人記者殺害問題、黒海でのウクライナ艦船拿捕(だほ)問題などが話題となった。首脳宣言をめぐっては、二〇〇八年以来初めて、米国の要求で「保護主義と闘う」という文言が見送られた。一方、米国などが求めた「公正な貿易慣行」という文言に中国が反対した。米国などが求めた「世界貿易機関(WTO)改革の推進」が盛り込まれたが、具体策は明記されなかった。辛うじて宣言は発表されたが、米中対立を最大の背景に、国際協調は事実上、吹き飛ばされている。

マクロン政権、増税延期に
 フィリップ・フランス首相は十二月四日、来年一月に予定していた燃料増税の延期を発表した。反増税を契機とする反政府デモ「黄色いベスト運動」が全国に拡大、八日にはパリを中心に十二万人以上が参加、一九六〇年代末の「五月革命」以来の規模。マクロン大統領は、最低賃金引き上げ、年金生活者増税の撤回などの譲歩に追い込まれた。一方で「非常事態」を宣言、強硬姿勢も示している。闘いが広がった背景は、景気低迷と高失業率に加え、労働法制改悪などの改革政治がある。金融資本の「期待」を受けて登場したマクロン政権は、大きく揺さぶられている。


独新党首、求心力維持できるか
 ドイツの与党、キリスト教民主同盟(CDU)は七日、メルケル首相に代わる党首に、クランプカレンバウアー幹事長を選出した。十八年間党首を務めたメルケル氏は、地方選の連敗の責任を取って辞任した。新党首は僅差で当選したが、極右政党などが台頭し、党内矛盾も激化するなかでの就任。党幹事長に、政府の難民政策を批判したツィーミヤク氏を指名するなど党内融和に腐心しているが、求心力を維持できるかどうかは不透明だ。

人民のたたかい

(11月30日〜12月9日)


  韓国のソウルで一日、民主労総などが「全国民衆大会」を開き、約二万人の参加者が非正規職撤廃や農業予算の拡大、労働組合への弾圧中止、開発計画に伴う強制退去の中止などを要求した。
 アルゼンチンのブエノスアイレスで十一月三十日、G20首脳会議に反対するデモ行進が行われ、労働組合など数千人が参加した。
 スイスのベルンで十二月九日、地球温暖化対策の実行を求めて七十団体・一千人が「騒音デモ」を行い、楽器や鍋などを打ち鳴らした。
 ハンガリーのブダペストで八日、残業時間の上限引き上げなどを含む労働法の改悪に反対して、労働組合員など五千人がデモ行進を行った。
 ギリシャのアテネで三日、「国際障害者デー」に合わせ、障害者団体が削減された予算の復活を求めてでも更新した。
 ベルギーのブリュッセルで二日、国連の気候変動枠組み条約第二十四回締約国会議(COP24)に合わせ、環境団体六万五千人が各国に有効な対策を求めてデモ行進した。

日本のできごと

(11月30日〜12月9日)

辺野古土砂投入、海に大打撃
 防衛省沖縄防衛局は十二月三日、名護市辺野古の米軍新基地建設に伴う埋め立て土砂の投入開始を十四日と記載した沖縄県赤土等流出防止条例に基づく通知書を提出した。また岩屋防衛相は同日、同市安和の民間会社の桟橋から積み出しを開始したことを明らかにしました。土砂投入の強行は二〇一五年十月に着工した辺野古本体工事の「本丸」ともいえる工程で、辺野古の海の自然環境に取り返しのつかないダメージを与える。県からの「違法な工事」との指摘もかえりみず、安倍政権の蛮行はかつてなく強まっている。

入管法で全労働者の待遇引き下げも
 外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法「改正」案が八日、参議院本会議で自公与党などの賛成多数で可決、成立した。新たな在留資格「特定技能」を創設することで単純労働者を受け入れるが、受け入れ枠は未定、業種なども詰められないままのデタラメな内容。与党議員からも批判の声が出るほど。現状でさえ劣悪な外国人労働者の労働環境をさらに悪化させ、日本人を含む全労働者の待遇引き下げにもつながるもので、今後の労働条件引き下げ攻撃は避けがたい。

国民の命・健康売る改悪水道法成立
 水道事業の広域化や運営権の売却(コンセッション方式)を推進する水道法改定法案が六日、衆議院本会議で可決、成立した。「経営効率化」の名目だが、水の安全性・安定性の後退や水道料金の値上げなどを懸念する国民の声には応えず、海外での水道事業の再公営化にも目を背ける愚行。水道事業を手掛ける多国籍大企業に国民の命・健康を売り渡すことにつながる売国行為だ。

改悪漁業法成立、漁村荒廃も
 漁業法等一部「改正」法案が八日、参議院本会議で可決、成立した。安倍首相が「七十年ぶりの抜本改革」と強調する同法により、沿岸漁業の漁業権を地元漁業者に優先してきた仕組みが廃止され、知事の裁量で地元外の企業に与えることが可能になる。大企業の参入により、これまで漁業協同組合の下で円滑に管理されてきた漁業権が分割されて浜に混乱と対立が広がるのは必至。沿岸漁業者や漁協の権利を奪い漁村の荒廃に拍車をかけかねず、まさに海を売り渡す蛮行だ。

日欧EPA承認、経験ない市場開放へ
 欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)が八日、参議院本会議で賛成多数で可決、承認された。その後欧州議会でも承認され、来年二月に発効する。農林水産物の八二%の関税を撤廃、重要品目でも関税削減・撤廃や輸入枠を受け入れる。EUが強い関心を持つソフトチーズでは環太平洋連携協定(TPP )を上回る譲歩を受け入れた。政府は農林水産物の国内生産額が最大千百億円減少すると試算するが、これは控えめな見積もり。TPP も十一月三十日に発効、日本農業はかつてない市場開放に直面する。


改憲案提示断念、弱さ露呈
 自公両党は五日、国民投票法「改正」案の成立を来年の通常国会に先送りすることを決め、翌日に予定されていた憲法審査会の開催を見送った。自民党は自衛隊の存在明記など四項目の党改憲条文案の今国会での提示もすでに断念、来年通常国会での提示をもくろんでいる。安倍首相は所信表明演説で、憲法審査会で「政党が具体的な改正案を示す」「国会議員の責任をともに果たしていこう」と発言、改憲に強い意欲を示していた。他の法案成立を優先させた結果だが、世論調査などを見ての回避でもあり、安倍政権の弱さが露呈した格好。


中国通信機器、政府調達から締め出し
 安倍政権は七日、「情報漏洩や機能停止の懸念がある情報通信機器を調達しない」などとして、政府調達から中国のファーウェイ(華為技術)とZTE(中興通訊)の製品を事実上排除する方針を決めた。政府機関のほか、電力や水道、金融など十四分野のインフラを担う民間企業・団体にも要請した。両社をめぐっては、米国は国防権限法を元に政府機関や取引企業に両社機器の利用を禁じ、同盟国にも共同歩調を求めていた。両社は次世代通信の中核を担う企業で、米国はあらゆる手段でこれを抑え込もうとしているが、日本も加担を強めている。


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