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労働新聞 2018年10月15日号 トピックス

世界のできごと

(9月30日〜10月9日)

米、対中敵視で「新冷戦」の声も
 ペンス米副大統領は十月四日、中国に対し、「かつてないほど積極的に権力を利用して影響力を及ぼし、わが国の国内政策や政治活動に干渉している」と決め付け、昨年末に発表した「国家安全保障戦略」を美化、これ以上に中国の海洋進出を阻止する姿勢をあらわにした。対する中国は、八日に北京で行われたポンペオ国務長官と王毅外相の会談で、米国による一方的な関税上乗せや台湾、南シナ海における挑発行動などを念頭に「米国が誤った言動を直ちにやめるよう求める」と厳しく批判した。ポンペオ氏は「われわれには根本的に一致しない」と居直った。また、今回は習近平国家主席との会談が設定されなかった。トランプ政権による「貿易戦争」によって高まった米中対立は安全保障分野に及び、「新冷戦」との指摘が上がるほどだ。

ポンペオ訪朝、改めて武装解除要求
 ポンペオ米国務長官は七日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)を訪問し、金正恩委員長と会談した。両氏は二回目となる米朝首脳会談を早期に実施することで合意、ポンペオ氏は、核関連施設の廃棄に向けて平壌に連絡事務所を設置する意向を示唆(しさ)した。一方で米側は、直接米本土に脅威をもたらす大陸間弾道弾(ICBM)の廃棄を執拗(しつよう)に求めた。米国はあくまで朝鮮の武装解除を求めながら関係の安定化を進めつつ、朝鮮への影響力が強い中国にその矛先を向けようとしている。

インド、ロシアからミサイル購入へ
 インドのモディ首相は五日、同国を訪問したロシアのプーチン大統領と会談した。共同声明では、インドがロシアの最新型防空ミサイルを購入することを明記し、「インドとロシアは特別な関係」(モディ氏)とその意義を強調した。原発建設や鉄道、宇宙分野でも協力していくことで合意した。米国はこのミサイル購入に反対し、インドが購入すれば、対ロ制裁強化法に基づき制裁を発動する姿勢を見せていた。トランプ政権は中国をけん制するためインドを「戦略的パートナー」と位置づけてきたが、その思惑通りに進まないことが示された格好だ。


IMF、米の「貿易戦争」に強い警告
 国際通貨基金(IMF)は八日、最新の世界経済見通しを発表し、米国よる一方的な中国への「貿易戦争」などを挙げ、世界を「より貧しく、より危険な場所に」する危険性があると警告するとともに、二〇一八年と一九年の世界全体の経済成長率予測をともに引き下げた。これに先立つ一日には、IMFのラガルド専務理事の発言で、米国の「貿易戦争」を念頭に企業のサプライチェーン(部品供給網)が崩れ、「先進国を含む多くの国が壊滅的な打撃を受ける」と危機感をあらわにした。米国による「貿易戦争」が世界資本主義の動揺をいっそう加速化させていることを示したものだ。

人民のたたかい

(9月30日〜10月9日)


  スペインのマドリードで十月一日、年金制度の見直しと公的医療制度の拡充などを求めるデモが行われ、労組組合員など数千人が参加した。同国では、六月に発足したサンチェス政権が緊縮政策の見直しを表明したが、デモ参加者は合意の実行を迫った。
 パレスチナのガザで一日、イスラエルによる北部地区封鎖に抗議する行動が行われ数千人が参加、船などでイスラエル領海に迫った。同日、ファタハなどの呼びかけでストライキが行われ、商店や学校が閉鎖された。
 米国ワシントンで六日、トランプ大統領が指名したカバノー最高裁判事が上院で承認されたことに抗議するデモに数千人が参加した。
 アイルランドのダブリンで三日、低価格の住宅を求めるデモが行われ数千人が参加、議会に向け行進した。同国では近年、家賃などの住宅価格は上昇、ホームレスも増加している。

日本のできごと

(9月30日〜10月9日)

内閣改造で支持率下落
 第四次安倍政権は十月二日、初の内閣改造と自民党役員人事を行った。麻生財務相、菅官房長官などは留任、片山地方創生相、吉川農相など初入閣は十二人。党役員では、二階幹事長らは留任、選挙対策委員長に甘利元経財相が起用された。主要閣僚・役員は替わらず、マスコミでさえ「新味がない」などと評するもの。世論調査でも、改造を「評価せず」が四五%に達し、とくに、公文書改ざんの責任者である麻生氏の留任には過半数が否定的(共同通信)。柴山文科相が戦前の教育勅語に「普遍性がある」などと述べて修正に追い込まれるなど、政権の反動的性格はあらわ。日米関係など内外の難題も山積し、多難な船出となった。

沖縄県知事選、与党に打撃
 沖縄県知事選が九月三十日投開票され、無所属新人の玉城デニー候補が、与党などが推薦した佐喜真前宜野湾市長を破って当選した。翁長前知事後継である玉城候補への支持は、同県知事選で過去最多。佐喜真陣営は、前回「自主投票」だった公明党の支持も得、政権幹部を投入、「携帯電話料金の値下げ」などデタラメな選挙「戦術」を駆使したが、県民の怒りにさらされた。総裁選で三選された安倍政権は出鼻をくじかれ、大打撃を受けた。

米、「日米同盟軍」を主張
 アーミテージ元国務副長官、ナイ・ハーバード大教授ら米国の超党派グループは十月三日、報告書「二十一世紀における日米同盟の刷新」を発表した。中国や朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)を「脅威」と名指しし、日米同盟強化を力説した。具体的には「合同統合任務部隊」の創設、米軍と自衛隊基地の共同運用、中国による「一帯一路構想」に対抗して日米で「インフラ整備基金」を設立すべきとした。日本に国内総生産(GDP)一%以上の防衛費支出も求めた。それでも、トランプ政権の「米国第一主義」を「同盟の深刻な危機」と認めざるを得ないほど。同明強化で、日本とアジアの平和は危機にさらされる。

日韓宣言 年、難題続々
 安倍首相は九日、日韓共同宣言から二十年を迎えたことに関し、「未来志向の関係」に言及した。宣言は小渕首相と金大統領がに署名、日本側は植民地支配に「痛切な反省と心からのおわび」を表明、韓国は日本文化の開放などを進めた。だが、国民の反対を背景に韓国は元慰安婦の「和解・癒やし財団」の年内解散を通告、海上自衛隊は韓国の「旭日旗」自粛要請を口実に国際観艦式への派遣を見送るなど、日韓関係は波風が高まっている。責任は、宣言にさえ合致しない歴史わい曲策動などを繰り返した、日本政府にある。

日本・メコン会議、対中けん制策動
 日本とタイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマーによる日本・メコン地域諸国首脳会議が九日、東京で開かれた。会議は、インフラ整備や人材育成などを含む「東京戦略二〇一八」を採択。南シナ海問題では、中国の名指しを避けつつ「懸念に留意」とした。安倍政権は「自由で開かれたインド太平洋戦略」に基づき、政府開発援助(ODA)を活用する方針を示した。会議は十回目だが、中国をけん制・包囲する意図はさらに鮮明だ。

スルガ銀行に業務停止命令
 金融庁は五日、地銀大手・スルガ銀行に六カ月間の一部業務停止命令を下した。同銀は、審査書類を一千五百件以上も改ざんするなど、「企業ぐるみ」の不正融資を行っていた。背景には、日銀のマイナス金利政策で地銀経営が悪化していること。同行のような不正は他行でも広範にあるとされ、発覚が続けば経営が揺らぎ、地域経済のさらなる疲弊につながり兼ねない。同銀を「地銀の見本」などともてはやしてきた政府・金融庁の責任は重大だ。


「国際金融都市構想」で「市長」任命
 小池・東京都知事は五日、中曽前日銀副総裁(大和総研理事長)を、「東京版金融メイヤー(市長)」に選んだと発表した。英国ロンドンの「シティー」をモデルとする「国際金融都市構想」に基づくもの。ベンチャー支援や国家戦略特区を活用した海外人材のサポートなどを掲げる。だが、同様の構想は世界中にあり、成功する保証はない。都民にいちだんの「格差」をもたらす政策で、認められない。


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