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労働新聞 2018年9月25日号 トピックス

世界のできごと

(9月10日〜9月19日)

南北首脳会談、敵対関係終結で合意
 韓国の文大統領は九月十八日、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)を訪問し、金国務委員長と会談した。韓国大統領が平壌を訪問するのは十一年ぶり三度目。両首脳は今年四月の南北首脳会談で発表された「板門店宣言」以降、関係改善が進展したとの認識で一致、その上で、南北の軍事的敵対関係の終結、経済協力関係の強化、朝鮮半島の非核化の推進などをうたった「平壌共同宣言」で合意した。金委員長のソウル訪問でも合意した。南北朝鮮関係は米国などの圧力に抗しながら着実に歩み続けている。

米、3回目となる対中制裁発表
 米国のトランプ政権は十七日、中国の「知的財産侵害」を口実とした三回目となる制裁関税の内容を発表した。対象品目は二千億ドル(約二十二兆円)。発動済みの五百億ドル分と合わせて全輸入品の半分にもあたる。二十四日から発動し、中国から輸入する五千七百四十五品目にまず一〇%の関税を上乗せし、二〇一九年からは二五%に引き上げる二段構え。これに対し、中国は、世界貿易機関(WTO)に提訴すると共に報復関税の実施を発表、貿易協議の取りやめも視野に入れている。トランプ政権は中間選挙を前に策動をエスカレートさせているが、米国の七月の対中輸出が八%減となるなど、自国経済にも悪影響を及ぼしつつある。中国を抑え込み策に狂奔する米国の策動は世界のリスクである。

英、EU「無秩序離脱」現実味に
 欧州連合(EU)は十九日、オーストリアのザルツブルクで非公式首脳会談を行い、英国のEU離脱について協議した。協議では、離脱後に英EU間で「自由貿易圏」を創設するというメイ英首相の提案に批判が集中した。また英国は、EUが北アイルランドを事実上、EUの関税同盟に残す考えを示していることに反発した。十月までの合意をめざしていた離脱交渉の合意は事実上断念に追い込まれた。期限を十一月の臨時首脳会議までに先送りしたものの、EU側は英に対し十月中の「最大限の交渉進捗」がなければ臨時会議を開かないとけん制、合意なしの「無秩序離脱」が想定される事態となった。


中ロ、対米対抗強化で一致
 ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席は十一日、ロシアのウラジオストクで開かれた「東方経済フォーラム」に出席、会談した。習主席はエネルギーなどの分野でのロシアとの協力強化の必要性について述べ、プーチン大統領も「(両国は)発展・繁栄を促進する責任がある」と応えた。両氏は全体会合で演説、名指しを避けながらも、トランプ米政権による貿易戦争などを揃って批判した。また同日、ロシア軍がシベリアで行った軍事演習に中国が参加するなど、軍事面でも協力強化を勧めている。「自国優先主義」を叫ぶ米国に対し、中ロは対抗を強めている。

人民のたたかい

(9月10日〜9月19日)


  米国各地で十八日、外食大手マクドナルドの労働者が店舗におけるセクシャルハラスメントを告発するストライキを行った。ストは本社があるシカゴなど十都市で行われた(写真)。女性労働者は「社内では長い間セクハラが無視されてきた」と証言した。
 アルゼンチンのブエノスアイレスで十七日、マクリ政権による緊縮政策に抗議するデモが行われた。九月から公務員賃金が一〇%削減され、来年はさらに一割削減が予定されている。
 ハンガリーのブタペストで十六日、移民排斥やメディア規制などを強めるオルバン政権に反対する集会が行われ、約千人が参加した。
 コスタリカの首都サンホセを中心に各地で十二日、アルバラド政権の増税や公務員賃金カットなどに反対するデモが行われ、約五十万人が参加した。十日からは全国ストが行われていた。

日本のできごと

(9月10日〜9月19日)

ロシアの「前提なき条約」に反論せず
 安倍首相とプーチン・ロシア大統領が九月十日、ウラジオストクで会談した。北方領土での共同経済活動について内容と行程表を確認したほか、液化天然ガス(LNG)共同プロジェクトなどで一致した。翌日、大統領は「東方経済フォーラム」の席上、「一切の前提条件を設けずに二〇一八年末までに日ロ平和条約を締結する」ことを提案した。平和条約は北方領土の帰属の確認と不可分としてきた、政府の立場と異なるもの。事実上の「領土棚上げ」要求だが、臨席した安倍首相は抗議さえしなかった。元島民からは、共同経済活動への疑問の声も上がっている。粋がる安倍政権だが、許せぬ国益売り渡しだ。

日中、限界付きの関係「改善」
 安倍首相と習近平・中国国家主席が十二日、ウラジオストクで会談した。首相が十月に訪中することなど首脳往来の推進、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の「非核化」に向けた連携などで合意した。中国の「一帯一路」構想を念頭に、第三国での経済協力についても意見交換した。日中は平和友好条約発効四十年を迎え、安倍首相は「両国の協力の地平線は広がりつつある」などと誇った。だが、米国が中国への攻勢を強化するなか、対米従属では対中関係改善には限界がある。

海自、南シナ海訓練を発表
 防衛省は十七日、海上自衛隊の護衛艦と潜水艦が、南シナ海で訓練を行ったと発表した。訓練直後の公表は、初めて。海自艦隊は八月から長期航海中で、米海軍やフィリピン海軍との共同訓練のほか、インドネシアやベトナムなどに寄港している。十月には、米比合同訓練にも参加予定。また、小野寺防衛相はマレーシアとの間で防衛協力の促進に向けた覚書を締結、防衛装備品での協力などが明記された。一連の策動は、安保法制成立から三年を経、南シナ海などで中国への対抗を強める米アジア戦略の片棒を担ぐものだ。

日英戦略対話、中国対抗の意図
 河野外相と訪日したハント英国外相が十八日、戦略対話を開いた。両国は、安全保障協力の強化で一致した。河野外相は「自由で開かれたインド太平洋戦略」を訴え、英国の欧州連合(EU)離脱が日本企業に悪影響を与えないよう求めた。英側は、日本との新たな通商協定に意欲を見せた。また、安倍首相はハント外相との会談で、中国を念頭に海での「法の支配」を力説した。だが、外相は七月に中国を訪問、「一帯一路」構想を評価するなど、安倍政権との溝も鮮明だ。

国民、連合意識した人事に
 国民民主党は十一日、両院議員総会で新執行部人事を承認した。執行部は、大塚、古川両代表代行、平野幹事長、小林総務会長、泉政調会長らで構成される。大塚氏は全トヨタ労連、平野氏は電機連合、小林氏は電力総連の支援をそれぞれ受けており、連合内民間産別との関係に腐心したもの。玉木代表は「安倍政権に厳しく対峙(たいじ)する」と述べたが、自民党から秋波を送られるほどで「対峙」とほど遠い。政党支持率が依然として一%未満を低迷しているのも当然だ。

ふるさと納税「見直し」検討へ
 野田総務相は十一日、ふるさと納税制度の見直しを検討すると述べた。制度開始から十年、一七年度には三千六百五十三億円規模となったが、九月時点でも二百四十六自治体(全体の一四%)で返礼割合が三割を超えるほどに自治体間の「税競争」が加熱、不平等を拡大させていた。総務相は一部自治体の「突出」を指摘したが、自治体への競争原理導入を反省せず、寄付金の大部分が税控除される、富裕層ほど有利な問題には言及なし。小手先の「見直し」ではなく、廃止こそ必要だ。


豊洲市場、開場前にひび割れ発覚
 東京都は十八日、築地市場の移転先である豊洲市場で、十一カ所ものひび割れが見つかったと発表した。都は「安全性に影響はない」として、一部を補修の上、十月十一日の開場を強行する構え。小池知事は「最新鋭の市場出発」などと誇るが、お粗末な実態が暴露された格好。この七月にも基準値の一〇〇倍以上のベンゼンが検出されるなど汚染解消さえ進まないなか、仲卸業者や消費者にとってはさらなる不安材料となる。


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