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労働新聞 2018年3月5日号 トピックス

世界のできごと

(2月20日〜2月28日)

米、制裁拡大も受け身の対応
 米国は二月二十三日、「核・ミサイル」を口実に、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)や中国など九カ国・地域の計五十六の企業、船舶、個人を対象とする独自制裁を発表した。朝鮮への海上輸送を妨害するとともに、中国や韓国をけん制する狙いもある。だが、文在寅・韓国大統領は二十五日、平昌冬季五輪の閉会式出席のため訪韓した金英哲・朝鮮労働党副委員長らと会談、大統領は「南北関係を広範囲に拡大」する意思を表明、金副委員長は「(米朝対話の)十分な用意がある」と表明した。朝鮮の核放棄へ「最大限の圧力」をかけると粋がるトランプ米政権だが、南北対話の進展に受け身の対応を余儀なくされている。

米国、対中制裁を発表
 米商務省は二十七日、中国から輸入するアルミニウム箔に最大一〇六%の反ダンピング(不当廉売)関税を課す方針を示した。米国際貿易委員会(ITC)の判断を経て、四月に発動する予定。これとは別に、アルミニウムについても輸入制限が検討されているほか、ロス商務長官は中国や日本を標的とする鉄鋼の輸入制限も勧告済み。「安全保障」を口実としているが、保護主義の拡大で自国産業を防衛しようというもので、秋に控えた中間選挙対策でもある。「米国第一」を掲げたトランプ政権による通商要求は際限がなく、強く反発する中国を中心に、対立はさらに深刻化しよう。

エルサレム移転前倒しを発表
 米国務省は二十三日、在イスラエル米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転を五月までに行うと発表した。トランプ政権は昨年十二月、エルサレムを首都と認定するとし、大使館移転を発表していたが、ペンス副大統領が「二〇一九年末まで」としていた期日を前倒し、イスラエルの建国七十周年に合わせる。中間選挙で「ユダヤ教徒」や「福音派」の支持を得るためのものだが、東エルサレムをパレスチナ独立国家の首都とする意向のアラブ諸国・人民の反発激化は必至だ。


トルコ・シリアの衝突拡大
 トルコ軍は二十日、シリア北部アフリンを支配する「人民防衛隊」(YPG)と連携していたアサド政権側民兵に越境攻撃を行った。これによって、シリア軍とトルコ軍との間の緊張が高まっている。米国はクルド勢力へのテコ入れを強めているが、トルコのエルドアン政権にとっては、国内の反政府党・クルド労働者党(PKK)との関係を有するとして敵対関係にある。一方のアサド政権にとって、YPGはときに連携する勢力という複雑な関係にある。国連安全保障理事会は二十四日、「三十日間の停戦」決議を全会一致で採択したが、大国と周辺国の介入で、シリア内戦は収まる気配さえない。

人民のたたかい

(2月20日〜2月28日)


  パレスチナ自治区ガザ地区で二十六日、漁民がイスラエル軍に射殺されたことに抗議し、漁業組合がストライキを行った。
 イスラエルのエルサレムで二十五日、政府の土地没収法に抗議して、キリスト教司祭が聖墳墓教会を閉鎖した。
 イタリアのミラノなど各地で二十四日、極右政党「同盟」による集会に反対する労働組合が集会とデモを行った。
 フランスの航空会社エールフランスの労働者が二十二日、六%の賃上げを求めてストライキに入った。
 米国フロリダ州パークランドの高校での銃乱射事件を機に、高校生が二十一日、半自動小銃の販売禁止を訴えてデモ行進を行った。ワシントンなどでも連帯デモが発生、一部がホワイトハウスに押しかけた。

日本のできごと

(2月20日〜2月28日)

裁量制削除へ、安倍政権に打撃
 安倍首相は二月二十八日、開会中の通常国会で提出を狙う「働き方改革」一括法案から裁量労働制にかかわる部分の全面削除を厚生労働省に指示した。首相は翌日、裁量労働制をめぐる同省のデータ捏造(ねつぞう)などへの追及が相次いだことを受け、「精査せざるを得ない」と述べる一方、労働時間規制の対象から外す「高度プロフェッショナル制度」や残業を過労死ラインの月百時間まで認める「上限規制」は予定通り一括法案に盛り込む姿勢も示した。「働き方改革国会」と位置付けた目玉を損ない、安倍政権には大きな打撃となった。

18年度予算案が可決、成立へ
 衆議院本会議で二十八日、二〇一八年度予算案が可決され、参議院に送られた。憲法の規定により年度内の成立が確実になった。自公与党は裁量労働制をめぐる厚生労働省の不適切データ問題や森友学園への国有地売却問題などで追及されながらも強引に可決した。一般会計の総額は九十七兆七千百二十八億円で、六年続けて過去最大を更新、引き続き社会保障費を削減する一方、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)の「ミサイル」を口実にさら防衛費を増額するなど、国民生活をさらに追い込み、米国や多国籍大企業、投資家に奉仕する内容だ。

青森で米軍機が湖にタンク投棄
 米空軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が二十日、エンジントラブルを理由に燃料タンク二本を同県東北町の小川原湖に投棄した。米軍は「人のいない場所に投棄」と発表したが、タンクは湖でシジミ漁をしていた漁船から約二百メートルの地点に落下、重大事故と紙一重だった。またタンクからは燃料オイルが流出、シジミの廃棄を強いられるなど漁民の経営と生活に大きな打撃を与えた。だが、米軍は「空軍基地で能力がない」と回収を拒み、漁業補償も居直ることが予想される。米軍の態度は許し難く、弱腰の安倍政権の責任でもある。

総聯本部へのテロ、安倍政権も共犯
 朝鮮総聯中央本部(東京都)の建物に向かって右翼活動家が二十三日、拳銃の弾を数発撃ち込む事件が発生した。総聯の南昇祐副議長は同日、「許し難い暴挙」と実行犯を強く非難すると同時に「偶発的事件ではなく、共和国と朝鮮総聯に対する日本当局の敵視政策を政治的背景とした計画的な犯罪行為」「日本当局の圧力と制裁が対立と緊張激化の悪循環を生み不信と憎悪を増幅させた。責任を免れることはできない」と、日本政府の責任も厳しく追及した。指摘は正当で、歴代のわが国政権、とりわけ安倍政権は共犯に等しい。

遅すぎる強制不妊の被害救済
 自民、公明両党は二十一日、旧優生保護法下で不妊手術を強制された障害者らに対する救済策を検討することで合意した。一月に六十歳代の女性が「手術強制で子供を産み育てるという自己決定権を奪われた」と仙台地裁に国を提訴、違憲性を問う初の訴訟を起こしたことを受けたもの。同法は一九四八年に施行、ナチス・ドイツの断種法を参考にした戦前の国民優生法を引き継ぎ、戦後の「人口増による食料不足」を理由にしたが、高度成長期に入っても強制不妊手術は多数実施された。同法は九六年に母体保護法に改正、強制不妊手術などの条文は削除されたが、国は「当時は適法な手術だった」と、被害者への謝罪と補償どころか調査にさえ及び腰だった。救済策検討は遅すぎる。

小池都知事、築地市場問題で約束反故
 東京都議会第一回定例会が二十一日に開会した。小池知事は施政方針演説で、築地市場の豊洲新市場への移転について、業界団体の皆様と合意した」と強弁、土壌汚染問題など追加対策によって「豊洲市場の信頼を高める」と移転を推し進める姿勢を示した。実際には「業者との合意」などなく、土壌汚染問題が解決したかのような物言いなど、問題が多い。この直前に知事は「都として築地に市場をつくる考えはない」と業者側に説明しており、昨年六月に豊洲移転方針を発表した際に「築地は守る」「築地の市場機能は確保する」と業者や都民にした約束を反故(ほご)にしている。この課題を選挙に利用し続けた挙句、裏切る小池都政は許し難い。


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