20010825

日本のできごと

2000.7.30〜2001.8.19


靖国参拝強行に内外の怒り高まる
 小泉首相は八月十三日、内外の激しい反対を押し切って靖国神社参拝を強行した。小泉は終戦記念日の十五日を見送り、「近隣諸国の疑念は望むところではない」などとする「談話」を発表することで反発をそらそうとした。だが、この姑息(こそく)な態度は、かえって自らの政権基盤を弱めた。一方、平沼経済産業相ら閣僚五人や石原都知事などが、十五日に参拝を行った。こうした動きに対し、「軍国主義が引き起こした犯罪行為をあがめる行為」(中国)、「日本当局が軍国主義、国粋主義の思想的精神的代表者であることを公式に示した」(朝鮮民主主義人民共和国)など、アジア諸国から怒りの声がわき起こっている。靖国参拝は、アジアと共生すべきわが国の進路を誤らせる暴挙である。(関連記事)

特殊法人改革に早くも抵抗
 石原行革担当相は十日、特殊法人等改革推進本部(本部長・小泉首相)において、特殊法人の廃止・民営化などの見直し案とそれへの反対論を併記した「個別事業見直しの考え方」を報告した。同案は、廃止などが決まった六法人を除く七十四の特殊法人などを対象としたもの。だが、日本道路公団に建設中の事業の凍結などを求めた見直し案に対して、国土交通省が反論するなど、所轄省庁などの抵抗は根強い。なお、民主党は十六日、三十一法人の廃止と十九法人の民営化を含む独自案を提案、「改革」を競っている。特殊法人は、戦後、大企業のための産業基盤整備を目的に生まれ、自民党の「利益配分型」政治を支えてきた。だが、「効率」を口実とする一律的な廃止・民営化は、中小企業の経営や国民生活にも悪影響を与えかねない。

日銀、量的緩和の効果は不透明
 日銀は十四日、さらなる金融の量的緩和策を決定した。これは、日銀の当座預金残高目標を一兆円積み増して六兆円とし、長期国債買い入れ額を月二千億円増やして六千億円としたもの。量的緩和策は、資金供給量を増やすことでデフレスパイラルを防止する狙いがあるとされる。日銀の金融緩和策は、三月にゼロ金利を復活させたのに続き、今年四回目となる。だが、こうしたなりふり構わぬ政策にもかかわらず、景気回復への「決定打」とはなりそうにない。米国経済の減速を背景に、八月の月例経済報告では「景気はさらに悪化している」と認めるほどの深刻さであり、政府の取りうる手段はますます限られてきている。

ODA削減、アジアとの関係悪化も
 タイ、カンボジアなどアジア五カ国を歴訪中の山崎・自民党幹事長は十六日、インドネシアを訪問し、メガワティ大統領と会見した。山崎はインドネシアの求めた債務削減を拒否した上、政府開発援助(ODA)の一〇%削減方針を伝えた。日本のODAは多くがアジア諸国に対してのものであり、一方的な削減はわが国とアジアとの関係をさらに冷え込ませる可能性が強い。政府は財政危機を理由としているが、支配層内には、「核開発」を口実に中国への援助を大幅に見直そうという動きもある。

民主党、「海兵隊不要」を撤回
 民主党の岡田政調会長は十六日、米ワシントンで講演し、参院選期間中に同党の菅幹事長が提起した在沖海兵隊の撤退論について、「民主党の公式な見解ではない」と否定した。岡田は、幹事長発言は「沖縄での選挙にぜひ勝ちたいと思った」からと言い訳した。海兵隊撤退を求める沖縄県民の切実な感情を逆なでするものであり、自民党と変わらぬ民主党の対米追随ぶりが、またも明らかになった。

富士通、NECが大リストラを発表
 富士通は十九日までに、半導体などの海外生産から撤退し、埼玉、静岡、長野、兵庫の設備を集約、国内外で労働者の一割に当たる一万六千四百人をリストラする方針を決めた。これは、四・六月期の連結営業利益が赤字となったことを理由としている。また、NECも七月三十一日までに、米英での生産を半減、九州三カ所の半導体工場を一つに統合するなどで、約四千人のリストラを行う方針を決めた。すでに松下電器も四千人規模のリストラを決めるなど、電機関連大企業は、首切りで不況を乗り切ろうとしている。労働者への犠牲転嫁は、許されない。

ページの先頭へ