20010725

日本のできごと

2000.7.10〜2001.7.19


教科書問題で、日韓交流中断相つぐ
 わが国政府が、「つくる会」など歴史をわい曲した教科書について中国や韓国からの修正要求に応じない中、韓国国会は七月十八日、教科書の再修正を強く求めるとともに、日韓関係の全面的な再検討を政府に求める決議を全会一致で採択した。決議は、「日本は誠意ある態度でわい曲された歴史教科書をすぐに是正しなければならない」と再修正を要求、受け入れられない場合には、韓国政府に日本の大衆文化開放や高官交流の中断だけでなく、日本の国連安保理常任理事国入り阻止などを求めている。すでに日韓交流は、韓国側から青少年をはじめスポーツ交流などが相ついで中断されている。こうした事態は、わが国政府が歴史をわい曲した教科書を容認し、小泉首相の靖国神社公式参拝発言など、誤った歴史認識をもっているためである。責任はあげて日本政府にある。アジアと共生する内外政治が求められている。(社説参照)

駐日米大使、改憲求める
 ベーカー新駐日大使は十七日、日本政府が米国とミサイル防衛(MD)構想の共同技術研究を進めたり、国際的な平和維持活動(PKF)に参加することによって、近い将来、憲法九条の「改正」か集団的自衛権の解釈変更に関する決断を迫られるとの見直しを示した。駐日大使がわが国の憲法問題にまで踏み込んだのは初めてであり、米国がわが国に「米英同盟」並みの軍事同盟を実現するために改憲を求めていることの表れである。わが国の外交がますます問われており、これまでにも増して、自主・平和の進路をかち取る国民運動が重要になってきている。

規制改革会議が中間報告
 政府の総合規制改革会議(議長・宮内オリックス会長)は十七日、医療、福祉、雇用など六分野を重点にした規制緩和の基本方針を決めた。病院などの医療請求書の審査業務の民間開放、現在最長で三年の有期雇用を五年へ延長、マンションの建て替えを所有者の五分の四以上の賛成があれば可能にするなどを柱にしている。方針案は秋の臨時国会に提出される予定だが、「聖域なき構造改革」とは、医療、福祉などにも民間企業が自由に参入でき、金もうけができる仕組みをつくるものであることが、いっそうはっきりした。

厚生労働省、雇用年齢制限を容認
 厚生労働省は七月十日、求人の年齢制限廃止の努力義務を緩和する指針をまとめた。改正雇用対策法は十月から従業員の募集・採用に際して年齢制限をしないよう事業主に努力義務を課しているが、指針は、新規学卒者や定年直前の休職者などを雇用するなどの十の事例については、年齢制限を盛り込むとしている。指針はかなり広い例外を認めたことから、現状追認との批判も多く、再雇用を求める中高年には年齢制限がネックとなり、厳しいものとなる。

倒産負債総額、戦後2番目
 東京商工リサーチが十三日には発表した今年一ー六月の企業倒産状況によると、負債総額は上半期としては戦後二番目の七兆二千四百二億円となり、前年同期を五・五%上回った。今春に九千八百億円の負債を抱えて倒産した東京生命保険をはじめ、百億円以上の大型倒産が八十七件と、前年同期を四七・四%も上回った。また、中小企業では信用保証協会の特別保証で融資を受けながら倒産に追い込まれた企業が二千二百四十一件と、前年同期に比べて四百十五件も増加した。全体の倒産理由は、販売不振が半数以上を占め、売掛金の回収不能、累積赤字の増大など、不況型倒産が増えている。

政府・自民党が自衛隊の新警備方針
 政府・自民党が武装ゲリラ襲撃などを想定して検討してきた「領域警備」に関する基本方針が、十五日までに明らかになった。領域警備とは戦争状態にないときに自衛隊が出動して、領土・領海の治安維持にあたるもの。現行では、警察、海上保安庁が対処しており、武器使用も厳しく制限されている。方針案では、原子力発電所などの施設への自衛隊の警備部隊を創設、不審船に対しても射撃を認めているほか、治安出動での武器使用の要件を緩和している。これらは秋の臨時国会へ提案される予定という。支配層の狙う有事法制整備の第一弾であり、断じて許されない。

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