20010715

日本のできごと

2000.6.30〜2001.7.9


地位協定改定求める声高まる
 沖縄県北谷町で女性が米兵に暴行された事件で七月六日、容疑者が沖縄県警に引き渡された。だが、身柄引き渡しまでに五日もかかったことで、日米地位協定の「運用見直し」ではわが国の主権や国民の人権を守ることができないことが明らかとなり、抜本改定を求める声が大きくなっている。沖縄県議会は五日、日米地位協定の抜本的改正などを求める決議案を全会一致で可決した。北谷町や嘉手納町などでも、同様の決議が採択されている。沖縄では、女性たちや市民団体の抗議行動が相つぎ、き然とした態度をとれない日本政府の対応にも、怒りが高まっている。(関連記事)

日米首脳会談「揺るぎない同盟」確認
 訪米中の小泉首相は六月三十日、ブッシュ米大統領と初めて会談した。ブッシュ大統領は小泉首相の「改革」を支持することを表明し、共同声明では日米の「揺るぎない同盟」をうたいあげた。沖縄で米兵による女性暴行事件が起きた直後に開かれた会談だったが、自国民の被害に抗議一つできない対米従属外交ぶりが、またも鮮明になった。(前号社説参照)

歴史教科書問題、中韓が強い怒り
 中国と韓国が「事実のわい曲がある」として中学歴史教科書記述の再修正を求めていた問題で、政府は七月九日、両国が問題にしている近現代史の表記について修正を拒否した。このことに両国は、強い怒りを表明、日中・日韓関係は戦後最悪ともいえる状況となった。韓国では八日、金大中大統領が訪韓中の与党幹事長との会談を拒否し、日本の大衆文化の開放延期などを決めた。この問題は日本の進路にとってきわめて重大な問題であり、政府の対応が問われている。また、歴史のわい曲を許さない広範な国民運動が求められている。

サミット財務相会合で経済対策を約束
 塩川財務相は七日、ローマで開かれた主要国首脳会議(サミット)の財務相会合に出席した。塩川財務相は「ゼロ成長にはしない」と約束し、改革で生じる失業者増などに対応するために経済対策の追加発動も辞さないと述べた。欧米諸国はデフレに見舞われている日本の景気悪化を強く警戒しており、景気テコ入れを求めた。小泉政権は「景気後退も辞さない」として構造改革を進めようとしているが、対外的には景気テコ入れを迫られており、まったくのジレンマに追い込まれている。

首相が英仏歴訪、議定書調整できず
 小泉首相は日米首脳会談で、京都議定書問題について米国の主張に迎合し、日米で議定書修正を協議することで合意した。続いて二日、英国を訪問した首相はブレア英首相と会談し、米国を復帰させるための議定書修正に向けて協力をとりつけた。しかし、フランスではシラク大統領が「米国の都合で自分たちの態度を変えることはできない」と、修正を強く拒否した。京都会議議長国の責任を果たさず、米国のお先棒担ぎに終始する日本に対して、「日本はなぜ批准しないのか」との批判の声が強まっている。

経団連、日本の農産物開放を提言
 経団連の世界貿易機関(WTO)新多角的通商交渉(新ラウンド)に関する提言案が七日、明らかになった。「日本を含む先進国は新ラウンドで発展途上国の関心が高い農産物の市場開放に積極的に取り組むべきだ」と主張した。途上国は投資に関するルールづくりなどに反対しているため、新ラウンドを開始するためには農産物の市場開放が必要と判断したもの。財界は日本の農業をいけにえにして、世界市場への進出をいっそう進めようとしている。

郵便事業の民間への全面開放へ
 小泉首相は二〇〇三年の郵政公社発足に伴い、郵便事業を民間に全面開放する作業に着手した。また、総務省・郵政事業庁は約三十万人いる郵政三事業の職員を、今後五年以内に二万人以上削減する方向で労働組合と調整に入ったことが四日、明らかになった。郵政三事業の中でも、郵便事業は宅配便会社などとの競合激化で赤字となっている。このため、郵便事業を中心に十七年ぶりの本格的な合理化を進めようというもの。労働組合の役割が問われている。

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