20010615

日本のできごと

2000.5.30〜2001.6.9


地方交付税、7県知事が見直し反対
 青森、秋田、岩手、宮城、岐阜、三重、高知の七県知事は六月二日、政府による一方的な地方交付税制度の見直しに反対する緊急アピールを発表した。アピールは「(交付税は)教育、福祉など国が地方自治体に歳出を義務づけた地方負担額を積み上げたものである」と指摘している。その上で、地方財政については、(1)地方財源の保障を目的とする地方財政計画の見直し、(2)地方財政について国から地方に税源移譲を進める、などとしている。すでに道路税などの特定財源の見直しについても二十四県知事が反対しており(朝日調査)、小泉改革の犠牲押しつけに対し、早くも地方から反対の声が起こっている。(関連記事)

小泉改革原案、国民、地方に犠牲
 政府の経済財政諮問会議(議長・小泉首相)は五月三十一日、経済・財政運営の基本方針の原案を公表した。原案は、「聖域なき構造改革」として、不良債権処理、特定財源や地方交付金の見直し、社会保障の負担の「適正化」などをあげている。だが、不良債権処理一つをみても、断行すれば百万人以上の新たな失業者が出るとの予測もある。また、地方交付金削減などには、国民と地方の反発の広がりは必至である。

対米追随の与党3党幹事長訪米
 自民党の山崎幹事長ら与党三党の幹事長が六月一日訪米し、パウエル国務長官、アーミテージ国務副長官と会談した。会談で米国側はアジア情勢について、中国がアジア安全保障の最大の問題とした上で、三十日に予定されている日米首脳会談では、中国問題が最重要課題になるとした。さらに、米国側は日本が集団的自衛権行使のための議論を行うことを歓迎した。国連平和維持活動(PKO)についても、「日本の部隊を外国が守る状況は改めるべき」と、国連平和維持軍(PKF)への参加凍結解除を促した。一方、沖縄の米軍基地削減問題については具体的な議論にはならず、またも国民を裏切るものとなった。予定される日米首脳会談は、さらにわが国を米戦略の一部に組み込む、売国的な結果をもたらすものとなるだろう。

個人資産狙いの郵政民営化
 郵便、郵便貯金、簡易保険の郵政三事業の民営化を狙った小泉首相の私的諮問機関「郵政三事業の在り方について考える懇談会」(田中直毅座長)は四日、初会合を開いた。これは、二〇〇三年に独立採算の郵政公社に移行した後をにらんだもので、(1)郵便事業の民間への全面開放、(2)郵貯・簡保の分割、(3)郵貯・簡保に依存する財政投融資制度の改革が主な論点になる。だが、主な狙いは郵貯・簡保の三百六十兆円の個人資産を民間金融機関が自由に使えるようにするためのものであり、小泉首相の持論である郵政民営化は銀行、財界のためでしかない。

公共サービスつぶしの公務員制度改革
 政府が六月末までにまとめる公務員制度改革のうち、新たな人事制度の案が五月三十日までに明らかになった。同案は、審議官以上の幹部職員には年俸制の導入を盛り込み、課長以下の一般職には給与の構成要件を、(1)能力給、(2)職責給、(3)業績給の三つとし、勤続年数に応じて自動的に決まる現行の給与制度を根本的に改めるという。また、公務員制度に「競争原理をもちこみ、緊張感あふれる組織風土を醸成」させるというが、競争原理、市場主義によって、国民へのサービス低下、切り捨てが懸念されている。また、自治労など公務員労働組合への組織破壊攻撃でもあり、労働組合の対応が問われている。

厚生年金、243基金が引き下げ
 老後に備えるための社員と企業が折半で負担し合う厚生年金基金で、今年三月末までに二百四十三の基金が年金水準を引き下げる改定を行ったことが、厚生労働省の調査で六月八日までに明らかになった。このうち五基金は、すでに年金を受け取っている受給者の年金さえも引き下げていた。政府は企業の負担を減らすため、すでに九七年度から年金水準の引き下げを認めている。このため、年金引き下げがこの二年間で急増した。上場企業が膨大な利益を上げている中、老後のための年金さえ引き下げることは、高齢者医療の負担増などともに、高齢者の生活をさらに追いつめ、国民の将来不安を高めることになる。

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