20010615

資料 7県知事が緊急アピール

地方交付税削減に反対


 小泉首相が議長となった経済財政諮問会議は五月三十一日、「聖域なき構造改革」の具体案の一つとして、地方交付金や特定財源の見直しなどを掲げた。これに対し、橋本大二郎・高知県知事ら七県知事が六月二日、地方交付税見直しに反対する緊急アピールを発表した。全国市長会も七日、同様のアピールを決議している。早くも始まった「小泉改革」への抵抗は、今後さらに広がることは間違いない。アピールの要旨を掲載する。

地方財政改革に対する緊急アピール(要旨)

 最近の国における一方的な地方交付税制度の見直しの議論、あるいはその総額の削減が行財政改革につながるといった短絡的な議論には、重大な懸念を抱かざるを得ない。
 そもそも、現在の地方交付税は、教育・福祉などその多くが国が地方公共団体に歳出を義務付けた地方負担額を積み上げたものである。そのため、こうした義務付けをそのままにして地方交付税を削減したとしても、国・地方を通じた行財政改革にならない。
 地方交付税は、さまざまな個性と役割をもつそれぞれの地域において、必要とされる公共サービスの提供を保障するための制度であり、効率性を追求するあまり、そうした現実を否定し、すべて市場原理の下に解決できるかのような議論は、机上の空論に過ぎず、強い危ぐの念を抱くものである。
 われわれは、地方交付税制度をはじめとする現行の地方財政スキームについて、次のような改革を提言する。

・地方交付税制度については、地方財源の保障を目的として計上される地方財政計画の歳出の中身を、「時代のニーズとの乖離(かいり)がないか」という観点から、いま一度総点検すること。
 なお、地方交付税が補助金化されているという批判があり、投資的経費に重点化され硬直化がみられる点は、見直すこと。
・国庫補助金の整理縮小、国から地方への税源の委譲など自治体経営を展開していく上で望ましい制度的環境を整備すること。
 地方財政制度についての議論は、国と地方が同じテーブルについて、地方分権の実質を阻害するさまざまな要因を徹底的に排除するという観点に立ち、抜本的かつ幅広く展開されるものでなければならない。
 以上、有志知事の連名により、緊急にアピールする。 

青森県知事  木村 守男
岩手県知事  増田 寛也
宮城県知事  浅野 史郎
秋田県知事  寺田 典城
岐阜県知事  梶原 拓
三重県知事  北川 正恭
高知県知事  橋本 大二郎

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