20010605

日本のできごと

2000.5.20〜2001.5.29


小泉首相、地方交付税見直しを表明
 小泉首相は五月二十五日、「地方交付税も聖域なき歳出の見直しの例外ではない」と述べた。塩川財務相も二十八日、二〇〇二年度予算で地方自治体に総額一兆円の支出削減を求める考えを明らかにした。国債発行額を三十兆円以内に抑えるためには三兆円以上の歳出削減が必要となり、このうち一兆円程度を、地方への支出見直しで節約するというもの。小泉首相は、道路特定財源の見直しや公共事業の削減などを相ついで打ち出している。こうした「改革」は厳しい地方財政をいっそう圧迫するもので、地方自治体や住民の反発は必至だ。(社説参照)

日中外相会談、政府は打開策示せず
 田中外相は二十四日、アジア欧州会議外相会合出席のため中国・北京を訪問し、日中外相会談に臨んだ。日中関係は教科書問題、李登輝訪日、靖国参拝問題があり、最悪の状態となっている。中国の唐外相は「正常化以来の困難さが生じている」と指摘し、小泉首相が靖国神社を公式参拝すれば日中関係に大きな影響を与えると強く警告した。田中外相はこうした事態を打開する具体策を示せず、会談は厳しいものとなった。アジアの共生、平和にとって日中の友好は欠かせず、日本外交が厳しく問われている。

下地島空港の自衛隊使用案が浮上
 中谷防衛庁長官は二十五日、沖縄県宮古島に隣接する下地島空港を航空自衛隊の基地に利用する案が浮上していることについて、わが国の安全保障上必要だと述べ、検討に前向きな姿勢を示した。ランド研報告にあるように、米国は台湾有事の際の前線基地として、下地島の基地化を狙っており、最近も米軍機が着陸を強行している。この空港は、七一年に琉球政府と日本政府が民間空港以外に使用しないことで合意しているものだ。米国の戦略のお先棒をかついで下地島を基地化しようとする動きは、中国との緊張を一挙に高め東アジアの平和を乱す危険な道である。

失業率4.8%に悪化
 総務省が二十九日発表した四月の完全失業率は四・八%となり、前月比〇・一ポイント悪化した。完全失業者数も三カ月ぶりに前年同月を上回って三百四十八万人となり、前年同月より二万人も増加した。都市部を中心に自営業者や商店などの廃業による失業が、失業率を増加させている。男性の失業率は五・〇%で前月比〇・一ポイント増加している。同月のサラリーマン世帯の実質消費支出も前年同月より四・四%減っており、勤労国民の生活がさらに追いつめられていることを示している。

いすゞ自動車、リストラで9700人削減
 いすゞ自動車は二十八日、二〇〇四年三月期までの再建計画「いすゞVプラン」を発表した。三万八千人のグループ従業員を九千七百人(二六%)削減し、大型トラックを生産している川崎工場(川崎市)を二〇〇五年に閉鎖する。筆頭株主の米ゼネラル・モーターズ(GM)との共同調達などで購買費を二〇%削減し、現在四十一ある販売会社も三十社程度に縮小する。労働者の削減率は日産や三菱の一四%を大幅に上回るもので、労働者、下請けに容赦ない犠牲を押しつけ、生き残りをはかろうとしている。

刈羽村住民投票、プルサーマルを拒否
 東京電力・柏崎刈羽原発(新潟県)でのプルサーマル計画実施の是非を問う刈羽町住民投票が二十七日行われ、反対が五三・四%と過半数を占めた。刈羽村は九九年三月にプルサーマル受け入れを事前了解していたが、品田村長は二十八日、「民意を無視できない」と語り、プルサーマルの受け入れに慎重な姿勢をみせている。東海村の臨界事故やデータ改ざん事件を背景に住民の不安が高まっている。政府が推進しているプルサーマル計画は、住民パワーの高まりによって追いつめられている。

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