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2024年4月25日・2面

第3回「民主主義サミット」

宣言支持されず中国包囲は破綻

 第3回「民主主義サミット」が3月18日から、韓国で開かれた。首脳会議はオンラインで開かれ、デジタル技術を活用した「偽情報」への対策などについて討議された。
 同サミットは2021年12月、バイデン米大統領の呼びかけで始まった。当時、各国から「世界の分断をあおっている」などの不満表明や不参加が相次いでいた。「日経新聞」でさえ「(民主主義という)招待の基準は明確ではない」と言わざるを得なかった。
 バイデン政権の狙いは「民主主義」を口実に、台頭する中国を「権威主義」などと決めつけて包囲し、抑え込み、自らの衰退を巻き返して世界支配を維持することである。中国の一部である台湾を招請していることは、中国の内政への公然たる干渉である。
 こうした狙いは今なお変わっていない。「民主」は、トランプ前政権下で揺らいだ欧州諸国などをひきつけるためのアドバルーンでもある。
 そもそも、米国が「民主」を掲げる資格などない。バイデン政権成立時、連邦議会議事堂乱入事件が起きたことはよく知られるが、それだけではない。米大統領選挙は徹底した金権選挙で大金持ちに有利である。民主・共和の二大政党以外の政治勢力は、選挙制度や慣習などにより事実上、登場できない。
 「衣食足りて礼節を知る」と言う。「格差」や人種差別などの「分断」は深刻で、多くの労働者が「ダブルワーク」を強いられ、多くの米国民は、投票所に行く余裕などない。しかも米国の選挙では、有権者自らが登録を申請しなければならず、名簿の不備や機械の老朽化で投票できないトラブルも多発している。米国内の世論調査では、「自国の民主制に不満を抱いている」との回答が %に達したという。米国は「民主」の名の下に他国を圧迫するのではなく、まずもって、自国で民主主義を実現すべきである。
 日本も同様である。低迷続きの投票率は、政治・政党不信の根深さを示して余りある。何より対米従属の日本政府は、国政や県知事選挙、さらに県民投票などで何度も「新基地反対」の意志を示している沖縄県民の民意を踏みにじり続けている。どこに「民主」があるというのか。
 こんにち、世界資本主義は末期症状を呈している。危機の深まりを背景に階級矛盾が激化し、欧州諸国を中心に、さまざまないわゆる「ポピュリズム勢力」が台頭している。米欧流民主主義は、その足元から崩れつつある。
 諸国間の力関係も大きく変化した。米国を中心とする帝国主義による支配は崩れ、グローバルサウス諸国の台頭が著しい。ウクライナ戦争の勃発と、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの侵略を契機に、その速度は加速している。
 台頭し、政治的発言力を増大させるグローバルサウス諸国の政治体制は多様で、米欧流民主主義は必ずしも主流ではない。
 今回のサミットでも、共同宣言に署名したのは、招待された120カ国・地域のうち約6割にとどまった。グローバルサウスの有力国である、ブラジルや南アフリカは署名しなかったし、サミット共催国の一つであるザンビアや、インド、メキシコなども「一部留保」した。鳴り物入りの「民主主義サミット」だが、「トランプ再登場」が有力視される11月の大統領選挙の結果を待たずともすでに「死に体」である。
 これらが、世界の現実である。
 わが国はこのすう勢を見据え、国の進路を展望しなければならない。「民主」を口実に他国に干渉する米国への追随をやめ、中国をはじめとするグローバルサウス諸国と連携する道を歩むべきである。そのためには、独立・自主でアジアと共生する政権を樹立しなければならない。(K)


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