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2024年4月5日号 1面

新たな段階迎えた
沖縄県民の闘い

米国追随に一段と
踏み込む岸田政権打倒

 「再び沖縄を戦場にするな」という沖縄県民の闘いは新たな段階に踏み出している。
 名護市辺野古への米軍新基地建設をめぐって最高裁は県の上訴を棄却、県に「敗訴」を強要し、「代執行」という形で基地建設の強行を続けている。
 また嘉手納基地では沖縄県や周辺自治体からの反対の声を一切無視して、米軍のパラシュート降下訓練が立て続けに強行された。そして、3月には昨年11月の墜落事故を受けて中止されてきたオスプレイの飛行が再開され、初日から市街地上空をわがもの顔で飛び回る状況となっている。
 石垣・八重山、宮古などの先島諸島では自衛隊のPAC3などミサイル配備や部隊の常駐、米軍艦船の寄港の常態化が進んでいる。
 また、沖縄市では自衛隊弾薬庫、うるま市では自衛隊の訓練場の新設が計画されている。
 米軍のみならず自衛隊を含めた新たな基地負担の例は枚挙にいとまがない。
 こうしたなか、3月にはうるま市で自衛隊訓練場の新設に反対する集会が1200人もの市民が集まって開催された。元自民党県議や市議会保守系会派、青年から高齢者まで、保革、世代を超えた強力な反対の声が上がった。
 この間、辺野古新基地をめぐる裁判闘争で沖縄県の訴えがことごとく退けられ、「あきらめムード」が喧伝(けんでん)されてきた。しかし、県民の声を一顧だにしない米軍、そしてそれに付き従う岸田政権に対する怒りと憤りが充満していた。こうした声に押されて、自民党県連も「白紙撤回」を言わざるを得ない状況に立ち至った。うるま市民の立ち上がりは反転攻勢のきっかけになり得るものであり、県民の闘いはまた新たな段階に踏み出したといえる。

沖縄県民と連帯する闘いを
 沖縄県民は昨年の「11・23県民大集会」をはじめ、あらゆる闘いを続け、「再び沖縄を戦場にするな」とともに「日中不再戦」が多くの集会でスローガンとして掲げられた。
 こうした県民の声を背景に昨年3月には「沖縄を再び戦場にしないよう日本政府に対し対話と外交による平和構築の積極的な取組を求める意見書」が県議会で可決された。
 玉城デニー県政も「地域外交室」を発足させ、中国を訪問するなど、岸田政権による対中対抗に対峙(たいじ)している。
 もともと琉球王国時代から中国とは600年余にわたる交流・交易関係があり、中国との友好・協力関係のポテンシャルを持つ地域でもある。昨年12月には「沖縄平和友好訪中団」が組織され、「戦争を望まず、平和を求める」県民の思いが中国側に伝えられ、日本、沖縄と中国との友好協力のいっそうの強化が確認された。「地域外交」を進める玉城県政、これを支える運動をいっそう促進させることが重要である。
 岸田政権は、九州・西日本での基地機能強化にも拍車をかけている。鹿児島・馬毛島での自衛隊基地工事も急ピッチで進められ、奄美群島でも自衛隊基地強化が進んでいる。最近も、自衛隊や海上保安庁が訓練などで円滑に使えるよう「特定利用空港・港湾」を九州や四国を中心に全国16の空港と港湾を指定するよう調整に入った。日米の共同訓練も九州・本土の自衛隊演習場で繰り返されている。沖縄県民の闘いと連なって、九州や本土での中国敵視の軍備強化に反対し、中国との友好・協力関係を広げ、確立する闘いもきわめて重要な意味を持つものとなっている。

時代錯誤の岸田外交
 岸田首相は今月10日、訪米してバイデン米大統領と首脳会談を行う。
 岸田政権は、一昨年12月の安保防衛戦略の改定で、敵基地攻撃能力の保有などわが国の防衛政策を大転換させ、米国とのさらなる同盟強化のもとで防衛力の大幅増強を進めている。さらに最近では防衛装備品や戦闘機の輸出拡大にも道を開いた。
 バイデン米大統領は、秋の大統領選挙を控え、対中抑止を共和党と競い合っている。そのためにもわが国に対して「世界での日本のリーダーシップの拡大」などと岸田を持ち上げ、対中国の最前線に立たせ、よりいっそうの荷物を背負わせようとしている。
 世界は、米国を頂点とした秩序が大きく変わり、中国・インドやグローバルサウスと呼ばれる新興・途上国の政治的発言力が増大している。衰退する米国は巻き返しを図ろうとしているが、ウクライナ戦争に加えて中東での戦火の拡大など二正面に力を割かれ、さらにアジアで中国と対抗するためには、日本の力を利用する以外にない。日本も米国の力を利用して中国と対抗しようとしている。これは、米国の対中戦略に乗せられた、戦争につながるきわめて危険な道である。
 グローバルサウスの動きが世界政治の動向を左右するようになって、世界の潮流は明らかに変わった。「新時代のリアリズム外交」を掲げる岸田首相なら、そうした世界のリアルな変化に沿った外交政策をとる必要があるのだが、依然として日米同盟を基軸として、米国に自国の運命を委ねようとしている。

独立・自主の国の進路を
 こうした岸田政権の外交政策では、日本の国益が守れないことは明らかで、支配層の一部や財界のなかにも自主的な傾向も生まれており、決して一枚岩ではない。対米追随ではない国の進路をめざす政治的条件は広がっている。
 今度の日米首脳会談を通じて現れるであろう新たな情勢に対応して、自主・独立の国の進路をめざす闘いがますます求められる。そして、わが国の完全独立と自主をめざす政権樹立に向けた闘いのなかで、沖縄は重要な「砦(とりで)」である。沖縄を孤立させず、沖縄県民と連帯する闘いを全国に広げなければならない。(H)

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