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2024年3月25日号 1面

パレスチナ解放の
闘いを支持しよう

米国追随やめ、自主・
独立の中東外交を

 イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃が始まってから5カ月が過ぎた。ガザ地区を実効支配するハマス壊滅を目指すとして、絶え間ない空爆や地上軍の侵攻で無防備な住民への虐殺が続いている。
 言うまでもなく、イスラエルによるパレスチナ人民への長年にわたる迫害・抑圧・搾取への反撃と解放を求める闘いは全世界人民の解放闘争の重要な一翼であり、正義の闘いである。
 わが党は、イスラエルやその背後にいる米国に対するパレスチナをはじめアラブ人民の闘いを断固として支持する。

ラファへの攻撃許すな
 イスラエル・ネタニヤフ政権は3月15日、ガザ地区南部のラファへのイスラエル軍の攻撃計画を承認、あくまでハマス壊滅をめざすことを表明した。
 今月11日からのイスラム教の断食月(ラマダン)入りを前に、ラマダン期間中の停戦をめぐってエジプト、カタールなどを仲介にした交渉が断続的に行われたが、イスラエルは、ハマス側の提案を「非現実的な要求」などと一貫して難色を示しており、停戦を拒否している。
 この期間も、攻撃は続行され、食料など人道支援物資の配給に並ぶ人の列がイスラエル軍に攻撃されたり、ガザ北部の病院が再攻撃に遭ったりして犠牲者は増え続けている。食料、飲料水、医薬品などの欠乏で、国連人道問題調整事務所はガザ地区の人口約230万人の4分の1の57万6千人が飢餓まで一歩の状態だと警告している。ガザ当局によると子ども27人が餓死した。
 すでに3万1千人以上の死者が出ており、大半が女性や子どもである。

米国の国際的孤立深まる
 パレスチナ人民の闘いを支援するとして隣国ヨルダンの民兵組織ヒズボラやイエメンを実効支配するフーシによるイスラエルや米英にへの攻撃に対して、ヨルダンへのイスラエル軍の越境攻撃や米英軍によるフーシ拠点への空爆などが拡大している。
 停戦を求める声を無視して虐殺行為を続けるイスラエル・ネタニヤフ政権やその背後にいる米国に対して世界各国から非難が集中している。
 米国内でも、イスラエルを擁護し続けるバイデン政権に対して、民主党内からも批判の声が上がっているし、大統領選挙を控え、若者層の支持離れが広がっている。バイデン大統領やブリンケン国務長官は、イスラエルに対して自制を求めるが、ポーズに過ぎない。先の大統領一般教書演説でもハマスへの非難が先で、イスラエルへは自制を求めるだけであった。
 それにしても、米国のイスラエルへの影響力の低下は、以前から始まっていたが、今回の事態でますます明らかになっている。
 周辺国であるサウジアラビアとイランが中国の仲介で国交正常化するなど地域の地政学的な関係が大きく変化するなかで、中東での米国の存在感は薄れてきていた。
 今回の事態で、イスラエルと米国の国際的な孤立は一段と深まり、米国の中東戦略は大きな変更を迫られよう。

中東支援の責任果たせ
 日本は、この3月は国連安全保障理事会の議長国となっている。
 にもかかわらず、パレスチナの事態を打開するための動きはほとんどやっていない。そればかりか、国際司法裁判所が暫定措置命令を出しているにもかかわらず、米国に追随して国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)への資金拠出を停止している。直ちに拠出を再開すべきである。
 上川外相は、安保理で演説し、「核軍縮・不拡散」をテーマに閣僚級会合を主催し、核兵器製造に使う物質の生産禁止条約の交渉開始を目指す友好国会合を創設するなどと表明した。ウクライナ戦争でのロシアによる核の「威嚇」を非難することには熱心だが、目の前で進んでいるイスラエルによるガザでの大量虐殺に対して、議長国としてやるべきことは山ほどあるはずで、日本独自の中東外交政策を示すべきである。
 米国は安保理でのパレスチナ停戦決議に対して一貫して「拒否権」を使って、停戦を実現させなかったし、これからも米国の態度は変わらないだろう。こうした米国に追随して日本はどうやって世界で生きていけるのか。岸田首相は、4月に予定されている日米首脳会談でこの間進んできた日米の軍事一体化を一段と強化させられることは目に見えている。
 これは亡国の道である。

時代錯誤の生き方変えよ
 世界は米国を頂点とした時代から大きく変わっている。ウクライナ戦争ではロシア非難に加わらないグローバルサウスの諸国が政治的にも大きく登場した。パレスチナ人民の闘いに連帯する声は世界中に広がり、イスラエルと米国は完全に孤立している。米国に追随していけば日本の中東外交は破綻する。
 米国に追随する時代遅れ、時代錯誤の生き方を変え、独立・自主の道を歩まなければ大きく転換する世界の中で日本が生きていく道はない。(H)

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