ホーム労働新聞最新号党の主張(社説など)/党の姿サイトマップ

2024年2月5日号 1面〜4面

労働党創立50周年の
つどい盛会に

独立・自主と社会主義を
めざす闘い強め
大衆に根ざした
革命政党建設の前進誓う

 「日本労働党創立50周年記念講演・躍進のつどい」が1月27日、東京で開かれた。冒頭、秋山秀男・党中央委員会議長が50周年にあたってあいさつした。秋山議長は党の歴史を振り返りながら、独立・自主の政権をめざす闘いを堅持することを表明した。記念講演は、党中央委員会政治局常務委員の大嶋和広同志が行った。大嶋同志は、米帝国主義が断末魔の状態にあることを暴露し、資本主義が末期症状をさらす中で社会主義こそが打開の道であること、わが国において独立・自主の政権をめざして闘うこと、党建設の前進、特に青年・学生を迎え入れることを訴えた。沖縄から花谷史郎・石垣市議が「石垣島と南西シフト」と題して特別報告を行った。また青年グループ「ナースメン」が、能登半島地震の救援ボランティア活動について報告した。第2部のパーティーでも、服部良一・社会民主党全国連合幹事長、山崎誠衆議院議員(立憲民主党)をはじめ、各界の来賓あいさつが行われた。党地方議員団や現場で闘う同志たちの発言は、情勢に立ち向かう決意に満ちたものとなった。党の取り組みに初めて参加した青年・学生、海外からのゲストも目立つなど、つどいは活気にあふれたものであった。記念講演とつどいは、党創立以来50年を経て揺るがぬ政治路線を堅持して新たな闘いに踏み出す党の姿勢を内外に示した。秋山議長のあいさつと大嶋同志の講演、来賓ほか報告などの発言要旨を、編集部の責任において掲載する。なお、講演全文は別の機会に発表する予定である。

秋山秀男議長のあいさつ

 本日は創立50周年のつどいにご参加いただき、ありがとうございます。
 50年前の本日、日本労働党の結成大会が行われました。大会の「結成宣言」などを読みますと、非常に格調の高い、意欲にあふれた文言です。参加者は労働者が圧倒的多数です。しかもほとんどが20歳代ですね。非常に若々しく、前途を切り開こうという意欲にあふれた結成大会でございました。
 この50年間どうだったかと言いますと、特に大隈前議長が亡くなってから、労働党は大丈夫かという心配の声や意見も一部にはありましたが、皆さん、われわれはここにしっかり立っております。しかも、50周年を記念することで、ますます有利になっている情勢に対応して本格的に闘い、勝利に向けて前進することを 皆さんの前で誓いたいと思っております。
 今後とも共に闘いましょう。ご指導、ご鞭撻をよろしくお願いいたします。

政治闘争、統一戦線、イデオロギー闘争
 労働党が前進できた理由は何か。
 きょう配られた年表を見ていただければ一目で分かっていただけると思いますが、一つは、情勢の発展と大衆の切実な要求に応えて闘ったことです。これが、労働党がこんにちわが国の政治闘争の中で一定の地位を占め、いまだ健在である大きな要因だと思います。
 本来なら、ひとつひとつの闘いを説明したいと思いますが、時間の関係で、労働党の50年間の闘いで、特に目立つ特徴的な闘いにふれます。
 一つは、議会的・平和的闘争にも取り組んだことです。総選挙闘争に確認団体として2回出ました。既存の議会主義政党と争ったわけです。2回出て、その後も1986年、90年と闘いました。それに県知事選挙です。神奈川県知事選、そして福岡県知事選、われわれは県政や地方政治をめぐって闘ったわけです。これも特徴的なことだと思います。以降、地方自治体議員選挙を闘ってきております。これが1点目です。
 2点目は、統一戦線問題で頑張ったことです。最初は左翼連合、それから核兵器廃絶連帯の運動、そして90年代に入ってからは自主・平和・民主のための広範な国民連合。これは意見の違いがあることを前提に、政治方向で大きく一致する皆さんと共につくり上げ、闘ってきたわけです。
 広範な国民連合はこんにち、わが国の政治闘争、言論界、労組指導層・労組活動家、政治家など多くの人たちを激励し、闘い、大きな支持を得ています。
 3点目は、労働党は、帝国主義のイデオロギー攻撃や、思想・政治面における敵(支配層)との闘いを真剣に取り組みました。例えばソ連社会主義が歴史的な敗北を余儀なくされましたが、帝国主義は、長い間「プロレタリア独裁批判」と「市場経済」を掲げて、社会主義をつぶそうと執拗(しつよう)な攻撃を続けてきました。それに対してわれわれは社会主義の擁護という立場から闘い、かつソ連の弱点についても批判してきました。朝鮮民主主義人民共和国の核実験についても、帝国主義の核独占に抗して、国の自主独立を守る闘いとして断固支持の立場をとっています。
 ソ連が崩壊した後、労働党は資本主義批判、帝国主義批判に力を入れてきました。最近、日本共産党が第29回大会を行いましたが、その議案や当日の志位委員長のあいさつは要するに、気の抜けたビールのようなものなんです。例えば、アジアの平和の構築の問題を言っておりますが、誰が平和を乱しているのか、誰が戦争の根源なのか、米帝国主義の暴露は一言もございません。あるいは、戦後の長期にわたる米国の対日支配とわが国支配層の対米従属政治ですね、そのことについても全く触れておりません。要するに、誰が敵で誰と闘うのか、どう闘うのか、これでは全く分かりませんね。
 労働党は、共産党と比べるのも何なんですけど、わが労働党のこの方面での闘いの特徴を皆さんにお伝えしたいために出しました。

党建設で全党員が奮闘
 もう一つは党建設の問題。この50年間、労働党は、とりわけ初期は党建設が重点ということで、日夜オルグ活動、党建設のための活動に汗水たらして動きました。結党大会の参加者は73人でございます。労働党の最盛期には、85年ぐらいだと思いますが、4、5000人いたと思います。例えばトヨタだとか富士電機だとか非常に重要な工場にわが工場細胞が建設されて闘っていた。これはわれわれの誇りです。
 党建設上われわれの指針になったのは結成大会での「党建設について」という決議です。さらに、最も印象的なのは「党は、組織も、思想も、つくるもの」という実践の中で闘い取った教訓です。
 そして、忘れてはならない最後の要因は、全ての党員の皆さんの奮闘、そして党外の支持者、同伴者の皆さんの叱咤(しった)激励でございます。こうしてこそ、労働党は日本の政治、現実政治の中でも一定の地歩を占めるまでになったと思います。ですから、 周年に際して、私は議長として、全ての党員の皆さんと党外の支持者、政治的な友に深い感謝と敬意を表したいと思います。どうもありがとうございます。

政治路線を堅持して時代を切り開こう
 それでもう私に与えられた時間があまりありませんが、要するに、これから労働党がどう闘うのか、どうすれば日本の革命闘争の前進に貢献できるのかということです。確かに労働党は、50年間一生懸命に闘いました。だけど闘えば後はどうでもいいってことじゃないですからね。要するに、独立・自主の実現、民主主義革命の勝利、そして社会主義へというのが労働党の政治路線です。そこに向けてどこまで来たかということですね。いろんな見方ができます。はっきりしているのは、労働党は小なりといえども健在であること、われわれには共に闘っている人たち、数多くの友人・知人・政治的同伴者、批判的ではあるが温かく見守ってくれ人たち、50年間の闘いに耐えこの党を支えた同志たちがいるということです。労働党は意気軒昂(けんこう)です。弱点はありますが、情勢は国際的にも国内的にも、われわれに大きな味方です。
 これから後の同志が述べますが、もう米国はダメでしょう。まあ、覇権再構築のための最後の悪あがきですね。そして、戦後の対日支配を生かして、対中戦争で、広義の意味での戦争で日本を使ってもう一度覇権国に返り咲こうとしております。しかし、私はそれは全くの幻想だと思います。だって、米国の中を見れば内戦状況ですし、労働者階級の闘いが起きております。それから、中国は、今世紀半ばまでに現代化された社会主義強国をめざして闘っております。さらに、これまで帝国主義に搾取され、収奪され、抑圧されてきた多くの新興国、開発途上国が立ち上がり、米国の言うことを聞かず自分たちの利害に目覚めて国づくりに励んでおります。素晴らしい時代です。
 資本主義先進国においては、日本の労働者階級はまだおとなしいですが、米国でもヨーロッパでも労働者が闘っております。アマゾンなんかもいっぱい組合をつくって闘っている。全米自動車労組も長期のストライキ闘争で、労働者の団結した力を示しました。
 日本でも、戦後の対米従属政治はもはや歴史的に限界ということで、それは支配層の内部にも意見や利害の相違として表れてきておりますし、支配層の自主的傾向も進んでいると思います。これはわれわれの闘いにとって非常に有利だと思います。われわれがもう一段とこの党を強化、発展させることができれば、ずっと大きな闘いを組織することが 可能になると思います。そして、広範な国民連合のような政治的な統一戦線を皆さんと共に、支持し、その発展に労働党は貢献します。
 当面の重点は政権を一握りの支配層から国民大多数へシフトさせる、独立自主の幅広い国民的な政権を闘い取ることです。
 そのためには、労働党と統一戦線の拡大強化が不可欠ですから、皆さん、ぜひ今後とも労働党に力を貸してください。共に闘いましょう。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。

党創立50周年記念講演(要旨)

大嶋和広・党中央委員会政治局常務委員

 わが党が50周年を迎えることができたことについて、改めて同志、支持者・友人の皆さんにお礼を申し上げます。併せて、志半ばで亡くなられた同志・友人、そのご遺族の皆さんにも、党中央を代表して哀悼の意を表します。
 私たちはこの50周年を厳粛な思いで受け止めたいと思っています。

労働党の50年、米帝国主義は断末魔
 それにしても、この50年で世界はどう変わったのだろうか、考えざるを得ないですね。結党は1974年で、もう翌年にはサイゴンが陥落して南ベトナムの傀儡(かいらい)政権が打倒された。その前、71年に米国は「金・ドル交換停止」がありました。労働党が創立したのは、第2次世界大戦後の米国中心の世界秩序が大きく揺らぎ始めた時期だったと思うんです。
 それから50年、もう米帝国主義は断末魔の状態だと思います。軍事力やハイテク産業の競争力、基軸通貨ドルでは相対的に強いかもしれませんが、一国で世界を支配する力はありません。わかりやすかったのは、2021年8月にアフガニスタンからぶざまな撤退に追い込まれたことです。
 一方、グローバルサウスと言われる諸国が、政治的影響力を大きく向上させています。ウクライナ戦争や最近のパレスチナ問題に対する動きなどを見ても、米欧とは異なる自主的な動きが強まっています。その客観的な後ろ盾になっているのが、世界第2の経済力を持つに至った中国です。これは、否定しようのない事実です。
 このように労働党の50年間で、世界は激変しました。今後も、ますますそうでしょう。
 最近の新聞で、イアン・ブレマー氏が率いる「ユーラシア・グループ」という米国のシンクタンクが、今年の「世界の10大リスク」を発表しています。一番目は「米国の敵は米国」。つまり、米国内の矛盾が激化することが、世界最大のリスクだと見ています。ブレマー氏は主に、今秋の大統領選挙に向けた党派間対立を問題にしており、その背景である階級闘争にはほとんど触れていません。
 ブレマー氏は米国内の「分断」が激しくなり、今回の大統領選挙を「史上最悪の大統領選挙になる」と指摘しています。この大統領選挙は、選挙運動、投票、さらに政権移行は平和的に完了しないのではないかと思います。前回、バイデン政権が成立した時、トランプ支持者を中心に「国会議事堂突入事件」がありました。同じような、あるいはもっと大きなことが起きる可能性があります。宗教右派を中心とする勢力が銃を買い集め、武装化を進めているという報道もあります。
 ちなみに、「10大リスク」の2番目は「瀬戸際に立つ中東」で、紛争がパレスチナだけでなく、各地に拡散・激化すると予想しています。3番目が「ウクライナの分割」で、ウクライナ戦争が長期化し、ロシアによる占領が「固定化」することです。
 米国中心の世界秩序が健在であれば、これらの紛争は起きないか、早々に抑え込めたかもしれない。この2番目と3番目も、世界の激変、米帝国主義の断末魔を示すものといえます。
 その中で、私たちは独立・自主、社会主義を目指すという政治方向で闘ってきましたし、これからもその旗を堅持して闘っていきます。きょう、創立50年を迎えたわけですが、これを再確認して、新たな闘いに臨んでいきたい。

労働党50年の意義
 労働党50年の意義についてですが、秋山議長も述べていますので、簡単に触れたいと思います。
 一つは、独立・自主の政権を目指すという政治路線に基づいて、74年の党創立以来一貫して闘ってきたことです。
 2番目に、理論・政治上の役割を果たしてきたことです。1990年前後の社会主義崩壊の問題にとどまらず、2006年の朝鮮民主主義人民共和国による最初の核実験に際しての態度は、米帝国主義と闘う角度から、他の党とは大きく異るものであったと自負しています。
 3番目は、統一戦線形成のための実践です。わが党が、きょうご参集の皆さまのような多くの支持者に恵まれ健在であるのも、統一戦線の方向をとってきたからだと確信しています。
 4番目に現場同志の奮闘です。
 こうした成果はあったと思いますが、政党の使命は政権を奪取することです。その角度から言うと、50年たって成功していないわけです。現状のわが党の力量も、支持者の皆さまのご期待には及んでいないことを、率直に認めざるを得ません。
 ですから、50周年に際して、皆さんのご期待に応え労働者人民の解放事業のために奮闘することを、改めて決意したいと思っています。

資本主義の末期と社会主義の必然性
 情勢を長期的に見ると、資本主義が末期、やっていけないことが非常にあらわになったということです。
 秋山議長は新年の「労働新聞」インタビューで、7点を指摘しています。いくつかについて、私なりに触れてみたいと思います。
 1番目は、こんにちの資本主義の下で、労働者人民への収奪がますます厳しくなり、貧困化が広がったことです。生ぬるい表現だと思いますが、「格差」と言われるものですね。
 リーマン・ショック以降の金融緩和政策で、株や土地などの資産価格が上昇しました。投資家や金融機関が非常に潤う一方で、それと無縁な人たちとの格差が大きく開いた。直近では物価が上がってます。これは、大多数の貧しい人々から、ごく少数の企業・金持ちに所得が大規模に移転したということです。
 もう一つ、技術革新の急速な進展も影響しています。技術革新は大多数の人々のために使われるのであれば、本来、生活を便利にし豊かにするものです。
 ところが資本主義の下では、ごく一部の金持ち、企業の手に技術が握られ、かれらのカネ儲(もう)けのためだけに使われます。日本政府が進める「DX(デジタルトランスフォーメーション)」も、実態は公務員を減らすことによる「効率化」です。労働者の職を奪うことになるわけです。
 もう一つ、最近の中東問題と絡めて話すと、イスラエルが世界有数のハイテク国家になったことと関連しています。イスラエルは、ハイテク製品を開発するとすぐ武器として使える国です。車で1時間くらい行けば、難民キャンプやガザ地区、ヨルダン川西岸地区で、パレスチナ難民を相手に「大量虐殺」(ジェノサイド)の「人体実験」ができる。イスラエルから輸出される兵器には、「イスラエルで検証済み」というシールが貼ってあるらしいです。
 このように、技術革新の成果が金持ちの利益のために、非人道的な使われ方をしています。
 全世界で労働者人民が反抗に立ち上がるのは当然です。米国では、一昨年から昨年にかけてストライキ件数が2倍になり、45万人がストライキに参加しています。パレスチナでハマスが立ち上がったのも、その一つでしょう。
 資本主義における「格差」、米帝国主義による世界支配を倒すには、米国民、労働者が自国政府を倒すことが決定的です。もちろん、アジア、日本においても闘いを前進させることが重要です。
 2番目は、気候変動です。皆さんも、「地球沸騰」を言われた昨夏を経験して実感したのではないでしょうか。気候変動は、資本主義の下では解決できない段階にきています。
 昨年末のCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)で、産業革命以降の平均気温の上昇を1・5度以内に収める目標を再確認し、化石燃料からの「脱却」で合意しました。
 この合意も「妥協の産物」でしたが、誰も「1・5度以内」が可能などと信じていない。「2度以内」も信じられていない。
 こうなると、太平洋の島しょ国が水没するというレベルでは済みません。世界中の大都市が水没します。世界の食料生産量が激減し、「水不足」になります。未体験の感染症もまん延する。
 現在の人類社会のあり方を大きく変えない限り、人類自身が滅ぶ。もうそこまで来ています。
 3番目は人口減少の問題です。
 世界の人口は、資本主義の発展とともに増えてきました。現状は「少子高齢化」という水準ではなく、深刻な人口減少に陥っています。
 日本では、2080年の人口は現在の約1億2000万人から約7400万人ぐらいに減ると予想されています。日本だけではなく、2100年には23カ国の人口が今の半分に減る。これは、社会の機能が成り立たなくなるということです。
 本質的には、資本主義の維持に不可欠な「労働力の再生産」ができなくなっているということです。背景は、貧困化です。子供をつくり育てるお金がない、余裕がない労働者が多数です。統計で見ると、非正規労働者で未婚の男性は、 歳代でも結婚できない人が6割以上と言われています。結婚という関係がすべてではないですが、これで子供が増えるはずがない。
 わずかな「子育て対策」で解決できるレベルではありません。資本主義自身が持続できなくなっています。
 「労働力の再生産」と絡めて、もう少し。
 労働者が家に帰ってきて食事をし、寝て、翌朝元気になっで職場に行く。これを「単独の」労働力の再生産とすると、世代を超えた再生産もあります。次の世代の労働者である子供たちを誰かが養育しない限り、資本主義は存続できない。
 現状、これを担うのはほとんどの場合は女性による家事労働、すなわち「無償労働」です。これなしに労働力の再生産ができず、資本主義も成り立たない。
(中略)
 医療・介護・保育などのケア労働も、労働力の再生産にかかわる仕事ですが、ご存じの通り、低賃金で厳しい労働環境下に置かれています。こうした結果が、人口減少です。
 結論的に、資本主義は、どれだけ格差が広がろうと、地球環境が悪化しようと「カネ儲(もう)けできればよい」という体制です。資本家、大金持ちは「格差是正のために私の財産を提供します。どうぞ分けてください」などということをするはずがない。
 今の格差は、資本家が「納得」するような税金をかけた程度では片付きません。その「納得」さえ得られる保証はない。「そんな税金をかけるな」という連中の代理人が政治を握っているわけですから。
 以上のようなことで、資本主義的生産様式が変わることは、ますます必然的だと申し上げたい。かつてマルクスが言ったように「収奪者を収奪する」こと、そのためには、労働者、貧しい人々が政権を握る必要があります。そのための政党が必要で、私たち労働党はそのために活動しています。

党の政治路線について
 わが党はその目的を「米帝国主義の支配・圧迫・干渉を一掃し、わが国の売国反動派を打倒して、国の完全な独立・自主の確立と国内での政治、経済、社会における徹底した民主主義を打ち立てる人民民主主義革命を経て、連続的に社会主義社会を建設する」(党規約)と定めています。
 この政治路線の下で 年間活動してきました。
 わが党は、この日本を、米帝国主義によって半ば占領された事実上の従属国であると規定しています。従属国であるということは、一つは、当面する革命で人民的課題だけでなく民族的課題、つまり米帝国主義による民族的な圧迫を一掃する課題が大きく残っているということです。もう一つは、その問題の解決は労働者階級だけではなく、支配層も一定程度必要としていることを認める点です。この後者が、わが党と日本共産党の異なる点です。
(中略)
 昨今の情勢を見ますと、米帝国主義と日本との間の矛盾あるいは支配層の中での矛盾が、ますます激化する方向です。
 例えば日中関係では、1972年の日中国交正常化は、自民党内の異論を押し切って、田中首相・大平外相が決断しました。
 最近でも、経済界3団体が訪中団を出しました。財界が、日中関係の打開を願っていることは間違いありません。「経済安保」の名の下、中国との関係で規制を強化されたら、財界はたまったものではないでしょう。
 自民党のある政治家は、「日米同盟一本足打法」ではなく「多国間主義」を主張しています。公明党の皆さんも、日中関係ではさまざまな動きをしています。
 では、自民党や財界に任せて「安心」なのかというと、そんなことはない。先ほど紹介した自民党政治家は、米国との関係できっぱりとした態度を取るというということは決して言わない。むしろ中国をなだめて、何か日米中心の「秩序」に取り込むというようなことを言っています。非常に中途半端ですね。
 また、自民党や保守の皆さんは、アジアへの侵略と植民地支配の歴史について、謝罪や反省の態度を取ることは難しいでしょう。
 やはり私たちのような政党、あるいは国民が主導権を握り、日中関係をはじめ国のカジ取りを行うことが必要です。保守や財界を含む広い連携を持ちつつも、こうした戦略性を持つ政党をめざします。

独立・自主の政権を目指す党の闘い
 詳細については近々行われるしかるべき会議で決定される予定ですが、独立・自主の政権をめざす党の闘いとして、5点挙げさせていただきます。
 まず一つは、米帝国主義の暴露を強め、アジアから一掃するために闘いたい。
 立憲民主党の代表の泉さんも「外交問題は自民党と一緒でよい」と、堂々と言っています。世間では「反米」と見られている日本共産党も、実態は、米帝国主義を全く暴露していません。これでは、仮にかれらが政権に就いたとしても変わらないですね。
 衰退する米国ですが、自分たちから「もう世界には関わりません」などと言って退くはずはありません。逆に、ウクライナや中東での画策を強化しています。自分たちは手を汚さず、世界中から「停戦」の声が高まっているのに、ウクライナに武器を与えてロシアと戦わせています。パレスチナだってそうです。
 アジアでも、米国は日本と中国を争わせて「漁夫の利」を得ようとしています。日本の政治勢力はこれに乗せられずに、アジアと平和・共生の関係をつくっていく必要があります。
 2番目に、岸田政権による中国敵視政策に反対して戦線をつくって闘います。
 内部にはさまざまな意見があるのでしょうが、岸田政権は、昨年の広島サミットをはじめとして、米国の中国包囲網の最先頭に立っています。後で詳しい報告があると思いますが、沖縄や南西諸島にミサイルを配備しています。
 どうしても触れたいのは、台湾問題に対する態度の問題です。
 1972年の日中共同声明で、日本は台湾が中国の不可分の一部であるという中国の立場を「十分理解し尊重する」と約束しています。この「一つの中国」という立場は、以降の日中関係で繰り返し確認されています。
 「一つの中国」の立場を抜きにして、日中関係は成り立たない。当面、「日中不再戦」などの形で幅広い連携を追求しますが、その上で、台湾問題への態度はきわめて重要な問題であると表明しておきます。
 3番目に沖縄県民の闘いを支持し、全国で連帯して闘います。
 私も昨年11月23日に行われ、1万人が結集した「県民平和大集会」に参加しました。そこで実感したのですが、花谷・石垣市議も含めて、比較的若い地方議員が中心になって準備されたと聞いています。これが、私たちが評価している1点目です。
 もう一つは、その集会宣言で、台湾問題について「中国の国内問題であり決して軍事介入して事の決着を図る問題ではありません」と明言され、続けて「対話を通じた相互理解」に言及されています。
 私たちは、この二つは非常に重要だと評価しています。労働党は、この県民運動と連帯し、前線基地に変えられつつある九州をはじめ、全国で闘います。
 4番目に、売国農政に苦しめられてきた農民の闘いを支持することです。
 日本の農業は市場開放などで、トヨタをはじめとする輸出大企業が米国市場で儲けるため、犠牲にされてきました。この売国農政、米国の市場開放要求に付き従ってきた政治こそ、農業を衰退させた元凶です。
 ウクライナ戦争、さらに気候変動もあり、世界で食料の奪い合いになる情勢です。日本政府は、今になって、総括抜きに「食料安全保障」と言っています。すでに、酪農家の皆さんなどが各地で行動を始めています。私たちも連携して、可能な行動を起こしていきたいと思います。
 5点目が、労働運動の活性化、生活困窮者の改善のために闘う問題です。
 最近の物価高で実質賃金は低下し、生活はますます厳しくなっています。大企業は、今春闘でも何%か賃上げするでしょうが、大多数の中小企業や非正規労働者に対し、物価高に見合った賃上げは期待できません。さらに岸田政権は、増税を準備しています。
 国民の生活を打開する上でも、労働運動が果たすべき役割は非常に重要です。併せて、日中関係を中心とする国の進路の課題でも、労働組合が役割を果たすことを呼びかけたい。
 また各地で、生活に困った人たちを支援するさまざまな団体が活動しています。子ども食堂や炊き出し、医療相談など、活動内容も多彩です。こういった活動はますます重要性を増しています。
 東京のある支援団体に聞くと、かつては貧困問題の「代名詞」であったホームレス労働者の数は減っているそうです。しかしコロナ禍を経て、炊き出しに並ぶ人は3倍近くに増えている。住む家があり、スマホも持っているけど、満足に食べられない。その団体の代表者は「新しい貧困」と呼んでいましたが、その実態や要求は「これから調査する」と述べていました。
 このような真剣な努力を支持し、地方自治体や国に要求するなどして政治を変えるため、私たちも汗をかきい。
 昨年、そごう・西武労働組合がストライキを闘いました。これは、労働運動の変化の兆しだと思います。併せて、闘いに共感する機運が結構あったことが重要だと思います。
 もしかすると、労働組合幹部の皆さんは「ストライキを闘っても支持されないんじゃないか。孤立するかもしれない」と思っているのかもしれません。でも、そごう・西武の闘いではそうではなかった。
 幾人かの青年・学生と話してみて感じましたが、「社会主義とか革命の話をしたら『引かれる』のではないか」と思っていたら、そんなことはありませんでした。
 ですから、大胆に闘う必要があるということを言いたいんです。そういうつもりで、今年も頑張っていきたいというふうに思っています。

党建設で成果を上げる
 最後に、党の建設についてです。
 激動する情勢に対処するためにも、党をつくらなければならないと思います。特に青年・学生の諸君を迎えたいと思っています。
 労働党は結党時、「どのような党でなければならないか」ということで、3点指摘しています。
 一つは、文字通り、労働者と結びついた党ということです。2番目に、議会闘争にも対処でき、だけれどもその本質、つまりその限界もまた見失わず、実力的な闘争にも対処できる党、これが2番目です。3番目には、民族問題を含む統一戦線で、理論的・政治的な能力を持つ党。この3点を確認しました。
 この3点は、非常に重要だったと思っていますし、これからも変わらないと表明しておきたい。また「党はつくるものである」、つまり自然にはできず、意識的な努力であることを再確認したい。
 1番目の労働者階級と結びつく点ですが、大隈前議長が最後の講演でこの問題に触れたんです。こんにちにおける労働者階級は、どのような人々なのかということです。前議長の問題提起は、私たちに課せられています。
 改めて言うまでもありませんが、日本の産業構造は大きく変わりました。私たちは結党以来、製造業を中心とした組織労働者の中での党建設を重視してきました。今後も重視しますが、それだけではどうなのかと考えているところです。
 コロナ禍を通じて明らかになったのは、「エッセンシャルワーカー」と言われる、宅配、清掃、看護・介護・保育、道路や水道などのインフラ設備で働く労働者です。「エッセンシャルワーカー」は、感染症がまん延する中でも働くことを余儀なくされ、社会を支える不可欠な存在であることが示されました。ただ、「エッセンシャルワーカー」の多くは未組織労働者で、難しさもあると思っています。
 私たちはかれらにより注目し、ここでの闘いを進め、組織する努力を強めなければいけないと思っているところです。先ほど述べた家事労働も労働の一種と位置づけて、知恵を絞っていきたい。
 私たちは「結党宣言」にある通り、労働者大衆こそが歴史と革命の推進者であるという立場を堅持し、この人たちと共に闘い、信頼され、運動の発展に役立つ党であり続けます。
 生活困難に追い込まれている労働者の皆さん、果敢に闘い続けている沖縄県民の皆さん、売国農政に苦しめられている農業者の皆さん、それから能登半島地震をはじめとする被災者の皆さんなど、そういった苦しめられている人たちとの結びつきを絶やさない、そういう党であり続け、共にに頑張っていくと表明したい。
 多くの青年・学生に、わが党への結集を呼びかけるものです。
 50周年を機に、皆さんといっそう団結して、日本革命のために頑張っていきたいと思います。ぜひ、今後ともよろしくお願いしたいと思います。
 ご清聴、ありがとうございました。

Copyright(C) Japan Labor Party 1996-2024