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2023年12月15日号 1面

南西諸島基地強化で事故多発は必至

米軍と自衛隊は
オスプレイを完全撤去せよ

 米空軍横田基地所属のCV22オスプレイが11月29日、屋久島沖で墜落し、搭乗していた8人が死亡した(2人は行方不明)。
 事故後も、米国防総省は、日本政府の日本国内での飛行停止要請について「公式には確認していない」として飛行停止には応じず、米軍はオスプレイの飛行を続け、屋久島での捜索活動にも投入した。
 米軍は、事故機と同型の「CV22」に限って飛行を停止していたが、事故調査の進展を踏まえ、6日になってようやく全世界ですべての種類のオスプレイの飛行を停止する方針に転じた。米空軍は声明で、予備調査で機材の不具合の可能性が示されたとし、操縦ミスが原因ではないことを認めている。一方、飛行停止措置については「事故の調査が続く間、リスクを軽減するため」としている。
 岸田政権は、飛行停止を「お願い」したが米軍に無視され、日米地位協定に阻まれて、事故調査にさえ加われないというふがいなさである。
 しかも宮沢防衛副大臣は当初、パイロットが最後まで機体の制御を続けていたという米側の説明を理由に、墜落ではなく「不時着水した」という念の入れようで、奴隷根性丸出しの対応だった。

全国で飛行停止求める声
 繰り返される墜落事故に対して沖縄をはじめ全国で飛行停止やオスプレイの撤去を要求する声が上がっている。
 沖縄では12月4日、事故後も米海兵隊などのオスプレイが沖縄県内で飛行を継続していることに対する抗議集会が同県嘉手納町の防衛省沖縄防衛局前で行われた。集会の参加者は「飛ばすな!欠陥機オスプレイ」と書かれた横断幕を掲げ、「オスプレイの配備を撤回し、当たり前の暮らしや命を守ってほしい」などと訴えた。
 また、沖縄県議会は7日、日米両政府に対しすべてのオスプレイの飛行中止などを求めた意見書と決議を全会一致で可決した。意見書と決議は、日米地位協定を抜本的に改定し、日本の航空法を米軍にも適用することも求めている。
 米軍三沢基地(青森県三沢市)周辺の自治体からも、防衛省東北防衛局や在日米軍に、事故の原因究明や飛行停止を求める動きが相次いだ。横田基地所属のオスプレイは21年4月から三沢基地に飛来し、小川原湖や三沢対地射爆撃場で訓練を実施している。小川原湖に面した東北町や射爆撃場に隣接する六ヶ所村は11月30日、三沢防衛事務所に対して、事故原因の究明や情報提供、オスプレイの飛行停止を要請、青森県知事も12月1日、安全が確認されるまでの飛行停止と小川原湖での訓練中止を求める文書を提出した。
 11月30日には、東京都と周辺市町連絡協議会(会長・東京都知事、副会長・羽村市長)も米軍横田基地等に対してオスプレイの安全性が確認されるまで、飛行停止措置を講ずることなどを要請した。

米軍の特権的横暴一掃を
 わが国には戦後 年を経たいまでも、日米安保条約のもとで、沖縄をはじめ全国に130もの米軍基地が置かれており、世界でも群を抜いている。
 在日米軍は、不平等で従属性が際立つ日米地位協定のもとで、不当な特権をほしいままにしている。沖縄県・辺野古での新基地建設や鹿児島県・馬毛島の空母艦載機訓練場など、新たな基地建設が強行されている。オスプレイをはじめ米軍機による超低空飛行訓練、危険な空中給油訓練、事件や事故の続発、有機フッ素化合物(PFAS)の漏出など、在日米軍による被害が激化している。今回の墜落事故の調査にさえ日本は口出しできない。日米地位協定の抜本改定、米軍の特権的横暴の一掃は、急務である。
 今回の屋久島沖墜落事故で明らかになったように、南西諸島防衛強化のため、本土・沖縄間での米軍機の往来は激しくなっている。本土と沖縄の中間にある奄美諸島でも自衛隊基地強化が進んでいるが、この間も、点在する屋久島や奄美、徳之島などの民間空港への米軍機の飛来、オスプレイの緊急着陸もたびたび行われている。奄美など離島の空港は、民間機の離発着回数が少ないため、航空管制官を置かない「レディオ空港」「リモート空港」として運用されており、鹿児島空港や那覇空港の「航空管制運航情報官」によって情報提供が行われている。離着陸はパイロットの目視以外になく、ますます強化される米軍機や自衛隊機の緊急使用でいつ事故が起きてもおかしくないのが実態である。

オスプレイ購入は日本だけ
 米国防総省がオスプレイの新規調達を見送り、26年にも生産停止の可能性と8日に報道されたが、予算権限を握っている米上下両院の軍事委員会が6日発表した24年会計年度の国防予算の大枠を決める「国防権限法案」には海軍向けオスプレイを新規調達する方針を盛り込んでいる。国防総省の新規調達見送りに待ったをかけた形。ただ、屋久島沖での事故を受けて、米議会内でも安全性への懸念が出ている。オスプレイの構造的欠陥は明らかで、世界でオスプレイを購入しているのは米国のほかには唯一、日本の自衛隊(17機)だけである。
 事故調査結果について米軍発表を鵜呑(うの)みにせざるを得ない日米地位協定のもとでは、安全性の証明などできるはずもなく、岸田政権は、自衛隊配備のオスプレイをすべて撤去すべきである。また、米軍は保有するすべてのオスプレイの撤去をすべきである。(H)

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